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塔の魔女

「君、魔法が使えるね?」


 上からそんな声がかけられた。見上げるとそこにはホウキに乗っている女性がいる。

 髪で片目が隠れていて、緑色のローブに身を包んでいる不思議な雰囲気を持つ人である。


「使えますが、それは物を少し浮かせたり、火、水などを少しの間出せたりするだけですよ」

「最初はそんなもんだよ。じゃあ行こうか」


 そう言ってその女性が座っている後ろをポンポンと叩いている。

 ここに乗ってということだろう。

 意味が分からない。


「なんで?って顔しているね。」

「そりゃあ」

「今から私が暮らしている塔にいくよ!」


 意味が分からない。

 村に帰るとでかい穴ができてるし、急にホウキに乗って! とか言われるし。

 なぜ?そう言おうとした瞬間視界が暗くなった。




 目を開けるとそこは全く知らない場所だった。

 ただ森の中。そして目の前には雲にもとどきそうな塔がある。


「え……?」

「ようこそ我が家へ!!」

「え……?」


 状況が分からなすぎて言葉が出てこない。


「ここは?」


 そんな困惑しているアルスを見てかエリサが言った、


「君の村からはるか西にある魔女の塔さ! あ、あたし一応魔女ね!」

「なぜ俺はここに?」

「連れてきた。眠らせて」


 誘拐されてしまった。

 そして彼女は今自分は魔女だと言った。

 それを聞いてアルスは多少驚いたが、村のことを思い出す。

 今は村で大変なことが起きているのだ。それなら早く帰った方がいいのではないか。


「帰りたいんですが……」

「帰さないよ。だって君には才能がある。あたしの直感がそう告げているからね!」

「えぇ……」


 直感。

 それでもし才能があったらいいが、無かったらどうするのだろうか。


「あの、無かったら?」

「ある!! だから君はここで特訓するんだ!」


 即答された。そして魔女のテンションが常に高い。

 てか特訓? なぜ? それを聞こうとした瞬間答えを言われた。


「才能があるのにもったいないじゃないか」


 そんなに俺に才能があるのだろうか。

 直感でなぜそこまで言い切れるのかが分からない。

  ていうか家族、村の人達が心配しているのではないだろうか。


「あ。そうだ。あの村の人達にはちゃんと許可取ってるよ。なんならあなたのお母さんから、『びしばし鍛えてやってくださいお願いします』なんて言われたよ。というわけで、ここで魔法の特訓をしよう!」


 この魔女は親からすでに許可を貰っていた。

 もうここで魔法の特訓するしかないじゃないか。まぁでも魔法に関しては前から鍛えたかったし。いいか。

 そう自分の中ですぐに答えを出し、答える。


「………よろしくお願いします………名前はアルスと言います……」


 小さな声でボソッとそう言った。

 しかしそれはしっかりとエリサの耳に届いていた。


「うん! あたしの名前はエリサです! これからよろしく!」


 今日一の笑顔を見せ、魔女は身を乗り出し名乗った。

 そして、魔法の特訓をすることに決まった。


「それじゃあもう暗くなるし、入ろうか」


 そう言われエリサに塔の中へと促される。

 塔の中に入ってみるとただ空間が広がっていた。上を見上げると丸い穴があるが、そこに登るための階段かはしごがない。


 少し歩いて空間の中央までくると、エリサに制止され、立っている床が光り出す。

 そして急に浮かび出し、上へと昇り始めた。


「うぉ!」

「どう? 驚いた? 特定の範囲内に立つと自動で浮かびあがるんだよ。すごいでしょ!」

「はい。どうなってるんですか?」

「床に魔法陣を組んであるんだよ!」


 ???……。

 魔法知識がゼロの俺が聞いてもあまり分からない。まぁこれから学んでいけばいいのだ。

 こんな会話をしているといつの間にか着いた。


「まずは夕食にしようか」


 そう言われ。右の方にある扉を開け、テーブルに着いた。


「そういえば、どうして自分の村に来たんですか?」


 ずっと気になっていた。どうしてあんな小さい村に来たのか。あの大きな穴と関係があるのか。


「あー。それはものすごく強い魔力を感じたからかな。もしかしたら神と呼ばれる人達に会えるかもと思ってね」


 エリサは座りながらも料理の乗った皿を浮かして運んでいる。

 ていうか神とは?


「あの、神とはなんでしょう?」

「えっとね。この世界には龍神、魔神、海神、鬼神、獣神って呼ばれてる人がいるの。まぁどこにいるのかなんて誰にも分からないんだけど……」


 どこにいるのかがわから無いとか。それは本当に実在するのだろうか。ていうか、そんな人に会って何するんだろう? 怖くない?

 そんなビビるアルスとは対照的にテンションが上がっていくエリサ。


「でも! あの魔力は絶対に神だよ! 今まであんな強力なもの感じたことないから!」

「自分は何も感じなかったのですが」

「そりゃそうだよ。魔力が見るようにならないと感じることなんて出来ないからね。それにしても君はなぜ魔法を使えるんだい? 人は魔法を使えないんだよ? 」

「それは……全く分かりません」


 エリサは不思議そうな顔をしている。

 人は魔法を使えない? あの村が小さいから俺だけしか使えないと思っていた。

 てかあれだけ本が高かったのって、人以外が買うからか。前に街に行った時、猫耳生えてた人いた気がする。差別的なものがあるのだろうか。


「まぁいいや。とりあえず明日から特訓開始ね。まずはその少なすぎる魔力量を鍛えるよ。君はあまりにも少なすぎるからね」


 そんな二回も言わなくても……。

 しかしほとんど魔法が使えなかったから分かってはいたことだ。

 でも楽しみだなぁ。俺が魔法を使っているところを想像したらワクワクが止まらない。

 あ、忘れていたことがある。


「早くご飯を食べましょう。冷めてしまいます」

「もう私は食べ終わっているよ」


 なにぃ!!!! 早すぎますよ師匠!

 それを聞いて、急いでご飯を口に詰め込む。

 もうすでに夕食を食べ終わっていたエリサが立ち上がり、部屋を出ようとした時言った。


「下手したら死んじゃうから。ここ探せばいっぱい強い魔物いるしね。じゃあ明日から頑張ろー!」

「ブフッ」


 衝撃的な言葉に驚き、口に詰めていた食べ物が喉に詰まりそうになる。

 そんなアルスを気にもとめず、エリサはバタンと勢いよく扉を閉めた。

 死ぬ。その一言でワクワクが一気に消えた気がした。いや、気のせいだ。

 とりあえず、本気で頑張ろう。やるしかないのだから。

 そう決心して、残りの食べ物を口に詰め込んだ。






















夕食

お米、紫色の謎の肉、禍々しい何かが溶けているであろう水

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