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鬼神との再会

 現在、アルスとセナは南西の国、ケルベウスへと戻るため北の国であるケルヘウス王国を出たのところだ。

 元いた場所に戻るのはケルヘウス王が気を失う直前、この国を壊滅させた魔物が『次はケルベウス様ですね』と言ったのを聞いたからだ。

 そしてこの鍵を絶対に取り返さなければならない理由だが、これを使うことで地獄の魔物であるケルベロスが復活してしまうらしい。

 ケルベロスは今からずっと昔に獄炎の神殿に封印され、鍵を3つ台座にはめ込むことで復活するとか。

 それを阻止し、魔人の国に行くための船を出してもらう。


「絶対取り返そうね。アルス」

「もちろん。ケルベロスなんて実際に会いたくもないしな」


 そう2人が決心した時上からなにかが降ってきた。

 すごい速さで落ちてきたせいで地面がえぐれ、砂埃がすごい。


「男のお前! 姉様の匂いがするぞ!」


 そう言い砂埃から出てきたのは水色の髪をしたポニーテールの美少女だった。

 少女は額に角を2つもっていて少しボロボロな鎧をまとっている。


「もしかして鬼神か?」

「え?」


 鬼神というワードを聞いてセナが目を見開いている。

 だが俺はこの顔を知っている。

 前に会った時暗くてあまり顔見えてはいなかったが、目の前の少女は莫大な魔力を帯びている。


「鬼神? それは姉様のことだろう? 我は妹だ!」


 と、ガハガハと笑いながら言ってくる。

 今のどこに笑う要素があったのかは分からないが、鬼神には妹がいるらしい。


「そうだお前! 姉様と会ったことがあるのか?」

「一応。一瞬ですが」

「タメ口でいい!」


 俺からなぜ鬼神の匂いしたのだろうか。かなり出会ったのは前のはずだが……。それもほんとに一瞬だ。

 しかし、ずっと鬼神妹のテンションが高い。

 セナに関してはずっと黙り込んでしまっている。


「よかろう! お前たちを地底に案内してやろう!」

「「へ?」」


 すごいマヌケな声が二つ重なった。

 その次の瞬間、上から降ってきたなにかによって視界が真っ暗になった。




 しばらくすると暗くて硬い地面に放り出された。


「イテテ、ここ地底か?」

「そうっぽいね。もう何がなにやら」


 展開が早すぎて全くついていけていない2人を他所に、


「あ、姉様~~!」


 そういい少女に飛びついていく鬼神妹。

 アルスはふとそちらを見る。

 するととんでもない事に気がついた。


「鬼神妹が二人!?」


 そう、容姿、身長が全く同じの鬼神妹がもう一人いた。

 しかしそれが誰なのかはすぐに分かる。

 鬼神だ。魔力の量が圧倒的に違う。


「あれ、あなたはダンジョンにいた」


 まさか覚えられているとは。


「え、ダンジョンに潜ったことあるの? 危ないだけじゃない?」


 セナからそんな言葉が飛んでくる。

 確かに危ないだけだと俺も思う。

 なので首を縦にだけ振っておく。


「驚いた顔してる。そりゃダンジョンの最下層にいるもんだから覚えるよ」


 この二人の言葉からして恐らくダンジョンに潜る人は少ないのだろう。

 確かにモンスターは次々出てくるが修行にはなると思う。だから俺がおかしいわけじゃない。

 それにしても、前にあった時とはかなり雰囲気が違う気がする。

 落ち着いているというか。


「前はもっと怖い感じだっような……」

「ダンジョンの最下層で青龍と対面してた人だよ? あなた。そりゃ警戒するよ」


 鬼神は警戒と言ったが、彼女ならそんなことしなくとも簡単に殺すことができるだろう。

 今も少し震えてしまっている。


「でもどうしてこんな所へ?」

「そちらの妹様に無理やり……」


 アルスがそう言うと鬼神姉が妹の方を睨み、頬をつねった。


「痛いです! 痛いです姉様! これも全てお前たちのせいだー!」


 最後の方の声が裏返った。

 恐らく少しつねる力を強くしたのだろう。


「あなたが連れてきたんでしょ!」

「ごめんなさーい!」


 鬼神につねられるとかもはや恐怖でしかない。

 鬼神姉が鬼神妹をつねっている所を見て見を震わせるアルスとセナ。

 しかしそれは一人の鬼人によって止められた。


「鬼人様、おやめください」


 つねっている後ろから声をかけたのは黒い巨大な鬼人。

 この顔も見たことがある。

 ダンジョンに穴を開けていた筋肉ゴリゴリ男だ。


「おや、あなた方は?」


 筋肉が話しかけてきた。

 思っていたよりも優しそうなひとだ。

 正直もっとオラオラしているかと思っていたのだが……。

 少し申し訳ない。


「その人たちは我が連れてきたのだ!」


 つねられていたところから解放され、頬が腫れている妹が言った。


「返そうにも今は無理だ。相棒も眠ってしまった」


 妹がアルスとセナの後ろを指さす。

 それを見て後ろを振り返ると衝撃的なものがいた。

 目がいくつもある蛇のような魔物で、大きすぎる口を持っている。


「うわぁ」


 セナが横で引いてしまっている。

 恐らくこいつがうちの村に穴を開けたのだろう。


「こいつは百眼と言います。ところでうちの村にいらしてはどうでしょうか。今すぐに地上へは難しいですし」

「それがいい! そうしよう!」

「ちょっと黙って。すみません妹が。さっきも言われた通り、すぐに地上に返すことができません。なので一度村に寄っていかれてはどうでしょうか」


 勝手に決めていく妹の口を塞ぎ、姉の方が改めて聞いてくる。

 すぐに帰れないのであれば、正直地底に行く宛てなんてあるはずがない。

 となれば答えはひとつだ。


「はい行かせてもらいます」

「分かりました。ではこちらです」


 黒い鬼人に案内され、鬼人達の住む村に行くこととなった。














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