道中とケルヘウス王国
北の国、ケルヘウス王国へと歩き始めてから3日ほど経過していた。
かなり歩いたように感じるが、距離はまだまだ遠い。
その3日間で貰った刀をそこら辺にいたブラックパンサーで試してみた。
村の人達から食糧は沢山貰っていたが、やはりそれは緊急時などに取っておき自分たちで取れる時は取るべきだろうと考え、刀を試してみた。
するとこの刀は魔法を付与できるものだった。
火魔法を使えば火属性に、風魔法を使えば風属性になるのだ。
これは魔法使いにとってはかなり便利なものになるが、やはり刀は使えない。
アルスは刀と魔法を戦闘時に両方使う魔法剣士的なやつになろうと考え、それぞれの訓練を行っていた。
一方でセナのことはというと、寝る前に数回模擬戦を行うこと。水魔法を常に出し続け、魔力向上に努めていた。
彼女の使う武器は基本的に短剣だ。
しかし竜人と人とのハーフということもあってか、かなり魔力が増える速度が早い気がする。
そういえば俺も魔力が増えるのが割と早かったような気がする。
これはやはり魔人だからだろうか。
そんな事を考えながらも、また数日が経過していた。
すると、北の方からやってきたという商人からとある情報を聞いた。
「ケルヘウス王国が魔物の軍団に襲われたらしいぜ」
「それは本当ですか?」
「さぁ。聞いたことだから本当かどうかは。でも行くのは一応やめといた方がいいと思うぜ」
「そうですか。ありがとうございます」
ケルヘウス王国が魔物の軍団に襲われたというものだ。もしかすると、この前のオーク集団と関係があるのかもしれない。
そして商人からは行かない方がいいと言われたが、魔人の領土に行くためにはやはりあの国の港からでしか行くことは出来ない。
それにこの情報がデマという可能性も無くはない。
デマだということを信じて進もう。
それから1ヶ月程が経過し、やっと中間地点辺りまでやってきた。
途中風魔法を使ったおかげで予定より早く進んでいる。が、これだと寝る前の模擬戦の時にセナの魔力がすぐ無くなってしまった。
というわけで残り半分は風魔法を使わないで進もうと思う。
また、1ヶ月たったことでアルスとセナの両方の魔力量がかなり増え、魔物と戦っても以前よりもスムーズに勝てるようになってきた。
このままケルヘウス王国に着くまで、魔力向上と模擬戦は続けようと思う。
また1週間が経過した頃、少し前に聞いた情報が事実だったことを知った。
たまたまそこから逃げ出した人々の集団と出くわしたのだ。
正確には王国の近くの村かららしい。
魔物達はそこを拠点とし、1ヶ月ほど前から国を攻めているとか。
それで国のほとんどは壊滅したが、王や貴族などの連中はかなりの兵をつけて城にこもっているらしい。
アルスはこれを聞いて確信した。
ドーハ率いるオーク集団がケルベウス王国を攻めようとしたことを。
なんのためにそんな事をするのかは分からないが、とりあえず急ぐべきだろう。
しかしこの状況では、魔人の領土へ船を出すのは難しいかもしれない。
それでも一応行くべきか。
アルス達は少し急ぎ気味にケルヘウス王国を目指した。
もう1ヶ月が過ぎケルヘウス王国に到着した。
国内は悲惨なことになっていた。
家や店はほとんどが崩れ、残っている建物もいつ崩れるか分からない。
一部の場所では建物が焼け落ちたようなところもある。
残っているのは中央にある城だけ。
それでも静かすぎて人がいるのかどうか……。
「とりあえず行ってみるか……」
「うん……」
アルスとセナはほとんど何も言うことが出来ず城に歩き出した。
門から城に着くまでに死体がかなり転がっていた。
ここに着くまでに逃げてきた人々とすれ違うことがあったが、それはこの国の一部の人達だった。
しばらくして、一言も交わすことなく城の前にたどり着いた。
門の扉は無理やり開けられたのだろう。鉄でできているはずのそれは曲がり、倒れている。
アルスとセナはそれを通り過ぎ城の中へと入っていった。
中に人は居なかった。
居なかったというよりも倒れて動かなくなっている。
鎧を着ているものがほとんどだが、中には貴族であろう服を着た者もいた。
そして城の中を散策していると、息のある者を見つけ出すことができた。
かなり服がボロボロで、恐らく国民の一人だろう。
アルス達はすぐに駆け寄り声をかけた。
「大丈夫ですか?」
「ああ……旅人か?」
「はい。そんなところです」
「ところで何があたんでしょうか」
セナが聞いた。
それは俺も知りたいことだ。
魔物たちは何を目的にこんなことをしたのだろうか。
「私は……この国の王………ケルヘウス。今から……あなた達旅人に……4日前までのことを……話そう」
この国の王という言葉にアルスとセナは驚きつつも話を聞いた。
結論から言うとやはり魔物達が急に攻めてきたということだった。
そしてこいつらの目的は鍵。犬の頭がついた鍵だったという。
その鍵を見つけるために国を壊滅させた。
果たしてそれは国を壊滅させるまでのことなのだろうか。鍵になんの秘密があるのだろうか。
気になることは沢山ある。
すると、
「そこの……少しでっぱている石レンガを……押してくれだろうか」
急に王がそんな事を言ってきた。
それに従いアルスは石レンガを押すと、その周りの石レンガの壁が開かれた。
恐らく魔法が使われたものだろう。
その壁が開いた途端、たくさんの人が出てきた。
その人たちは王様達に駆け寄っていく。
この人たちはもしかすると王様がこの部屋に隠して救った国民なのかもしれない。
生きている人がいて良かった。
「ところで旅人よ……どうしてこの国に?」
「魔人の国に行こうと思いまして」
「そうか。すまない……この状況だ、それはしばらく難しい……あの鍵だけは取り返さなければ」
「わかってます」
それはもちろん分かっていることだ。
そしてこのこの国の復興、つまり港を再開させるためにやることも。
「俺達が鍵を取り返してきます。いいか? セナ」
「もちろん」
「いいのか?……いや、頼む……おねがいします……あの鍵を……取り返してください」
「「はい!」」
そうして鍵を取り返すべく、魔物と戦うことを決めた。




