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栄翼の瞳  作者: 水城四亜
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06回 転2

遺跡へ向かう道中で、聞くところによると倒れた原因が定かではないらしい。


ただ、昨日夜承さんの同僚が承さんの部屋をうかがったところ、彼は床に倒れていて、窓の鍵が開いていたという。他人によって倒されたようではないから、連日の疲れが出てのだと思い、その夜は寝かせてやったらしいが、次の日のー今朝になっても目覚めない。それも、同じ姿勢のまま、何の反応も無いということで、おかしく思った友人が、たまたま居合わせた医師に聞いてみると、なんと仮死状態にあるではないか。

「それで、緊急連絡先があたしの所でしょ、びっくりしたわよ。あのぜったいそういうことから無関係の承がそうなるなんて。」私達は向かい合う席に座って、T市へ向かっている。

「そういうこと?」意味がよく判らなくて、涼子さんに聞く。涼子さんはこちらを見て、にやりと笑う。

「霊害、よ。」

ざぁ、と音をたてて血の気の引くのがわかる。昨夜の事を思い出したのだ。上月は、それを見て説明は無理と判断したのか、涼子さんに昨日のことを話しはじめる。

「まったあ!?もーー、京ちゃん、おかしすぎー!!・・・何のために彰といたのよー…っははははは。でも良かったわねーもしかしたら今頃京ちゃんのお通夜だったかも・・・冗談よ、そんな怖い顔しない。でも、本当無事で良かったわ。」聞いた途端笑い出した涼子さんは、上月に向きなおり、

「京ちゃんて、ダーリンと気が合いそうだわ。ねぇ?彰。」

「人の人畜無害につけ込んで、陰謀巡らさないで下さいね、奥様。」

「いやあねぇ、そんな陰謀なんて。京ちゃんはみんなのものよ。独り占めする気?」

「と・ん・で・も・な・い。こんなのでよろしければいつでもお貸ししますよ。レンタル料払ってくれます?」

「やっぱり所有なんじゃないの。ま、考えとくわ。」

「二人とも!・・・俺はCDでもDVDでもないんだからね!?話がそれてるよ。」

「・・そうだったわね、危うく彰のペースになるところだったわ。」

(だから、嫌なんだ。・・・だいたい、上月も涼子さん相手だといつもにまして容赦がなくなるんだから…)

だから、この二人の間にいたくないのだ。幸いN線もN駅を出たあたりから客は少なくなっているし、まして今日は日曜日だから良かったものの、斜め右側に座っているサラリーマンがちろちろこちらを窺っているのは、気のせいなんかじゃないはずだ。

ちなみに、右に上月前に涼子さんという水と油を抱えた状況での小一時間を耐えられるようになったのはつい最近の事だ。習慣というのは怖い。

「CDやビデオの方がまだ楽しめる。比較するのは失礼だぞ。」

「はいはいはい。で、はっきし言って、昨日俺んとこに現れた幽霊さんと、承さんの状態は、関係あると思いますか?」

「当然よね。」

「まあ、パターンでは関係しない方が少ないよな。」この二人にこうまで断言されたらもう、決まったも同然だ。何せ、見えるどころかそういうものと渡り合える奇妙な体質を持っているのだから。


DVDのところ、ビデオでした。時代を感じる。いつかBRとかになるのかなぁ。

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