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栄翼の瞳  作者: 水城四亜
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「まぁ、お二人ともよくお似合いですこと・・・さ、お座りになって。」通された広間にはすでにトヨとオミヤがいて、私たちの分の朝食も用意されていた。膳の前に座って、フジエたちが出ていくのを確かめると、まず私はトヨに聞いた。

「・・・具合の方はどうですか?」

「ええ、ご心配をおかけしました。もう、大丈夫です。」トヨは思い出したように言うと膳に手をつけ、

「いただきません?」と言った。

いわれれば昨日の夜は何も食べていなかったので食欲はあった。

メニューは白米を砕いて雑炊・・・いや、これは粥か?とにかくそういうものに、おみおつけ・・・でも材料は謎な液体。それから、焼き魚の切り身に多分薫製にした動物の肉、らしきもの。それと漬け物。わりと、平凡なメニューで私は安心した。

てっきりわけのわからないものが出てくるかと思ったからだ。さっそくそれを食べながら・・・あまり行儀のいいことではないが、トヨに質問した。

「あの、僕たちが都から来たってことになっているんですけど・・・」おずおずと切り出した私にオミヤが、

「実は、そのことで謝らなければならないことがある。姫の客ということで、滞在してもらうことにしたのだが、まずいことになった。」

「ま、・・・まずいことですか?」その瞬間、摘んでいた豆を皿に落として、オミヤをうかがう。

「・・・実は、姫の弟君の姉君にアヅミヒメという方がおられるのだが、その方がたいそうな都好きでな・・・ぜひとも宴を開かせたい、ということなのだ。」

「・・・つまり、俺達に何か芸をしてみせろ、と?」

「まあ、そういうことだ。アヅミヒメは都によく訪れるというから、下手な真似は出来ない。」

「じゃあ、どうすればいいのさ。だいたい、フジエさんとアキジさんもすっかりその気で都の話を楽しみにしてるんだよ。」

「・・・・わたくしは姉さまからあまり好かれておりませぬゆえ、お会いする機会も少ないのですが・・・最近は近隣の村にまで戦の影が差し迫ってきており、都行きは大変困難とか。では、いくら姉さまといえど都にゆける機会は無かったのかもしれませぬ。それでしたら、皆様に何か中つ国の芸をしていただいた方があやしまれずにすみます。・・・こちらにも中つ国の人間はおりますが、高い位のものはほとんど都へ連れて行かれましたので、上月様たちが中つ国の人間だとは思いますまい。」

「あのーう、さっきから思ってたんだけども。・・・僕たちが中つ国の人間だとばれると何か都合が悪いわけ?敵だ!とか言われて供儀の生け贄にされたりして・・・」

「馬鹿。」


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