15閉 鎖(※ようやく異世界です。)
「変だな・・・」なんだか、よくわからないが奇妙なズレが胸の奥にちらついている。
とりあえず一回り目を通したところで、3メートルくらい先に(私の後ろ側に。)よく見知った人間が倒れていることに気づいた。
「・・・かみつき。」私は側までいき、確認する。
「上月!上月!?」私が不安になり肩を揺さぶると、指先が少し反応をし、上月は目を覚ました。
「ーーーーーー馬鹿野郎。」開口一番ものすごくきつい目でこちらを睨む。
「すまん。」私はその意味するところを知って、苦笑する。また、面倒なことにひきこんでしまったと。
「・・・ここは、どこだ?」上月はすぐに周りに気づいて、私に問う。
「裏山の裏かと思ったんだけど…なんだか、ものすごーく嫌な予感するよ、俺。」ゆっくりと歩きながら言い返す。
「同感。お前の予感は悪いときほどよく当たるからなぁ。」上月も笑いながらーー実際目は笑ってないから結構怖いんだけど。
風が、違うのだ。空気からして違う。排気ガスや排水の臭いもしない。ぞくぞくするようなこれは。
ーーーーー木々だ。
圧倒的な畏怖感が、この木々には宿っている。
そんな気がするのだ。
私たちの見慣れた木々とは違う、その存在感。体中の血がふつふつとわき上がるような奇妙な高揚感が体を占める。脈打つ鼓動が早くなる。
生命力?
「プレハブは北だったな。・・・北極星を基準にすればいいか。」
「・・・・聞いてもいいか?どれが、北極星なわけ?」私は空をぼうっと眺めながら、上月に聞く。
「・・・お前ねぇ。北極星はど真ん中だろーそれを中心にしてだなあ・・・」上月も私と同じように夜空を見上げて絶句した。
「おいおいおい。本当にここは、何処だ?」私たちは途方に暮れた。
星は、見えるのだ。しかし。
都会で雲の合間を縫って煌めく星をながめるのとはわけがちがう。
昴のでかいのが何十個か集まったようなーーー例えるなら、それこそ群青の上に白い絵の具が飛び散ったどうしようもない状態で、 一体どこを基準にすればいいのか、まるでわからなかったのだ。
これで第一部は終了です。