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怪奇討伐部Ⅵ-Star Handolle-  作者: グラニュー糖*
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位置について……

第七話 第一、第二の関門




「なぁ、レイン」

「……」

「明日は虹の向こうにあるんじゃなかったのかよ?」


 目の前には大きな壁。おそらくオレたち三人を縦に並べても足りないのではないかというくらい高い壁だ。


 つまり『行き止まり』……!!


「すんません……闇の中っす……」


 顔に手を当て、メソメソと泣き言を言うレイン。……情けない。


「まったく……本当にこの粉、役に立つのかよ?」

「むっ、聞き捨てならねぇな。オレのことは何とでも言って良いが、その粉を悪く言うのはオレが許さんぞ!」

「そ、そう怒るなって……。今のは俺が悪かったよ。ごめん」

「わかればいいんだよ、わかれば」


 満足そうに両手を腰に当てて頷くレイン。だが目の前にあるのは壁だという現実は変わらない。


「それより二人とも」

「ん?」「なーにー?」

「その粉、どこで見つけてきたんだよ。てかよく見つけてこれたな」


 ヘラは「あー……」という顔をした。


「そんな顔をするなんて、ヤバいところで取ってきたのか?」

「ヤバいっちゃあヤバいさ。……ちょっと……神話の生き物に貰ったんだ」

「はぁ~~?神話ぁ?生物ぅ?バカ言うな!そんなもんいるかよ!」


 大口を開けて笑うレインだが、その顔は明らかにひきつっていた。


「あー、その顔は知ってる顔だなー?吐けー!全部吐けー!」

「……そんなに知りたい?」

「知りたい!」

「しょうがねーなー……」


 レインが目を逸らす。すると何かに気づいたようにその目を丸くした。


「!」

「どうかした?」

「なんかプレートがあるぞ」


 レインはしゃがみ、砂を払う。

 そこには何かが彫られたプレートがあった。そこまで大きくはないようだ。


「どれどれ……?『この守りを打ち砕け。さすれば道は開かれる』……?壁壊すのかな?」

「いやいや、そんな単純な____」

「ふん!!!!!」


 バカにしたようなレインの後ろで赤い閃光が見えた。

 直後、爆風と砂ぼこりと轟音が響く。

 場所が場所なので音が響くのなんの……。って、壁壊すな!!


「「ギャー!?ヘラぁー!?」」

「道が開けたぞ」

「うそぉ……」


 穴の中に松明の揺らめきが見える。本当にこれが正解だったんだ……。


「結構硬いな」

「そりゃ仕掛けだからな……」


 苦笑いしてレインは目の前の壁のボタンをバンバン叩く。


 横長百メートルはあるだろう。

 今は壁の方向のボタンを弄っているが、本来は両端、壁にボタンがあるのでおそらく同時に押さないと出られないか、それとも押している間のみ通れるという仕掛けだったのだろう。まぁ壊したので意味はないが。


「レイン、叩いたら作動するかもしれないからやめろ」

「へいへい」


 ……今思えば、ボタンはフェイクだったのかもしれない。

 だって『この守りを打ち砕け』ってことは、ボタンって一言も書いてないし、砂ぼこりが払われてなかったのなら先人は解けなかったということだ。壁が壊れていないのなら、そういうことなのだろう。


「ヘラー、もうちょっと大きくしてー」

「しょうがねーなぁ……オラァ!!」

「ワイルド!」


 慎重に大きくなった穴の中に入り、辺りを見渡す。

 さっきより幅が狭くなった気がする。

 もしかすると奥に行くにつれ狭くなっていくのかもしれない。通れなくなったらどうしよう?


「松明の光だけだから少し怖いな」

「あは、ヘラ怖いのー?」

「アホか。耐久性の話をしてるんだよ」

「なーんだ」


 松明は左右に一つずつ、奥に等間隔で壁に付いている。

 よく見ると下に白線がある。本当によく見ないとわからないほどうっすらとだ。それが奥まで、見えないくらい奥まで続いている。


「んー、どこだろ」

「何探してるの?」

「プレートだよ、プレート。さっきのところだけとは限らないだろ」

「なるほど!オレも探すー!」

「よし!競争だ!」


 直後、ブザーの音が響いた!


「は!?今度は何だよ!」

「うおっ、足元からなんか……あ、プレートが出てきたぞ?なになに……『亡霊とその速さを競え。勝者には栄光の光が与えられる』……だって。たぶん、その足元の線って……信じたくないが、陸上競技の線なんじゃないか?」

「なんでそんなピンポイントなやつなんだよ!」

「ここは『競争』という言葉に反応して作動したらしい。音もそれらしいだろ?ということは、だ。速い誰かが前に出ないといけない」

「……。しょうがねぇ!オレが行く!ムジナ、応援よろしく!」

「りょーかいっ!」


 レインが面倒くさそうにスタートラインに立つ。とりあえずマフラーは預かった。


『よーい!』


 ____パン!!


「っ!!」

「頑張れー!!負けるな、レイーン!!」


 どこからともなく聞こえてきたピストル音に合わせて走り出すレイン。よく見ると隣にお化けがいるようだ。レースゲームで出てくる『ゴースト』ってやつだろう。


「くそ……!あいつ、足はやっ!」


 レインとの距離を詰めていくゴースト。

 そしてレインは何か閃いたかのように上に飛んだ!


「おい、レイン!コースは前だぞ!上じゃない!」

「わかってるよ!……うおおおお!競争は、誰が先に到着するかが問題だ!飛んでやるぜ!!」


 レインは大きな翼を広げ、爆速で進んでいく。そしてゴーストを一瞬で抜いた!


「すごい!さっすがレインだ!」

「いいのか?本当にあれでいいのか?」


 しばらくして、辺りにファンファーレが響いた。レインが勝ったのだ!


「本当に勝っちまったな……」

「でもレイン戻ってこないね」

「テレポートでもやってんじゃねーの?」

「先に行かずにちょっと待ってたら戻ってくるかな?」

「だな。もうちょっと待ってようか」


 オレは床に座り、ヘラは壁にもたれて待っていると後ろから荒い息が聞こえた。驚いて振り向くと、そこにはボロボロになったレインがいた!


「うわぁ、ゴースト!」

「誰がゴーストじゃい!!……ぜぇ……はぁ……はあああぁ……」


 レインは大きなため息をつきながらどこからか持ってきた枝……改め杖を軸に座り込んだ。


「どうして後ろから?」

「いや……オレさ、テレポート使ったんよ。そしたら……森に戻されちまったんだ」

「……?セーブポイントやチェックポイントが無く、この空間は一か百しかないってことか?」

「だと思う……。戦うときにうっかりテレポートを使わないように気を付けないとな……」

「お水いる?」

「サンキュ」


 嬉しそうにゴクゴクと飲んでいるレインを見て、オレは異界から予備の飲み物を取り出した。


「あまり飲みすぎるとトイレに行きたくなったり、あとの分がなくなるから調子乗るなよ」

「「わかってるわかってる~♪」」

「……本当だろうな……?」


 もうすでに気分はピクニックだ。

どうも、グラニュー糖*です!

現在、「怪奇討伐部完結直前・pixivと同じところまで進める祭り」を開催しております!

こっちでは表紙を載せられないことが本当に残念ですが、楽しんでいただけると幸いです。

本当はイラストを見て読むほうが良いんですけどね!


なお、pixivからそのままドンしてるのでルビやら何やかんやがpixivのコマンドのままになっている場合があります。それを見つけた際はお手数ですがお知らせしていただくととても嬉しいです。もちろんコメントなどもお待ちしております!


ではでは〜

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