習作
・俳句
1.晦冥や 狐来たりて 菊ゆふべ
文法的に誤っていたので一部修正。狐から菊を導くのは『白氏文集』中の『凶宅詩』の表現である「梟鳴松桂枝、狐藏蘭菊叢。」をふまえたもの。
2.氷室の桜食むつくねんと鹹し
春日野の氷室神社を訪ねた際に詠んだもの。
3.ひとひとと 夕立ち浸むは 地瀝青
2020年の俳句の日に際して詠んだもの。
・和歌
1.熟田津に 月見しかとて 夢ならむ 舟見しかとて かこの声なき
「熟田津」は、現在の伊予、松山市のあたりの港の名。「かこ」は、「水夫」と「過去」との掛詞だがどうもこなれていない。掛詞を強調するにあたって原文を一部かなに改めた。この歌が本歌取りと言えるのかは甚だ疑問だが、『万葉集』にある額田王(斉明天皇作とする異説もある)が歌「にきたつに ふねのりせむと つきまてば しほもかなひぬ いまはこぎいでな」を踏まえたもの。
2.いめひとの ふしみのたもは なつのみす かみいさしらず れいうゐるまじ
「射目人の」は地名の「伏見」にかかる枕詞。「たも」は「たもの木」を指す。「言ふなかれ野は涼し(いふなかれのはすずし(じ))」という折句を強調するにあたり全文をかなに改めたのと、歴史的仮名遣いに誤りがあったので当該箇所を修正。
3.月映ゆる やよひのみかは 水も勢に 花の盃 散りぬべしかな
『新続古今和歌集』中、花山院家賢(妙光寺内大臣)が歌「めぐりあふ けふはやよひの みかはみづ なにながれたる はなのさかづき」の本歌取り。本歌と同様に、「やよひのみかは」と「みかはみづ」で掛詞となっている。