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―一 銀色のナイフと金色のヒマワリ、1―
―一 銀色のナイフと金色のヒマワリ、1―
とある真夏のある日。
狭っ苦しいアパートの自室、薄い布団の中で俺は目を覚ました。
時計に目をやる。
朝の九時過ぎといったところだった。
普段なら絶対に目を覚まさない時間だ。
世間様で言う清々しい朝日というやつの中、俺は苛立たしく身を起こした。
「・・・ちっ。」
こんな時間に目を覚ましたのも、こんなにも胸糞悪い気分になっているの久々だ。
しかし、原因だけはハッキリと分かっていた。
忘れかけていた昔の夢を見た。
いや、違うな。
「忘れようとしていた」昔の夢だな。
そう、幼いころの夢。
―――――白髪のクソガキ。
―――――親無し子。
―――――太陽園の問題児。
そう呼ばれバカにされていた、思い出したくもないガキの頃の夢だ。
「・・・・・・ちっ。」
渇いた舌打ちばかりが音を立てる。
気だるい身体を無理やり起こし、今日一日活動する準備を始める。
本来なら二度寝でも決め込むところだが…。
「・・・ちっ。」
渇いた舌打ちばかりが音を立てた。