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不老少女の罪  作者: 嶺緒
生贄の人魚と不老少女
3/3

喫茶店・Chronos

 

「おはようございます、伊織さん。昨日はありがとうございました、服まで借りてしまって……」

 白いワイシャツと黒いズボンを纏って、昨晩の部屋へ行く。

 伊織さんは朝食を並べ終え、椅子に座っていた。

「おはよう、カルタシス。その服は君にあげるよ。制服のようなものでもあるしね」

「……制服、ですか?」

 椅子に座り、先程の伊織さんの言葉の意味を問う。

 しかし伊織さんは微笑むだけで、真意を知ることは出来なかった。


 AM.10:00。太陽も昇ってきて、街は賑やかになりつつあった。

「伊織さーん、どこにいますかー?」

 これからのことを聴きたくて、伊織さんのもとへ向かう。しかし、その姿は見当たらない。

 仕事かな、と思いつつも最後の部屋となる緑色の扉を開ける。

「わぁ……!」

 目の前にひろがった光景に思わず声をあげる。新鮮なコーヒーの香りが鼻孔をくすぐった。

 喫茶店だった。カウンターには、白いブラウスに黒いスカートを纏った伊織さんが立っている。

「お、やっと来たね。待ちくたびれたよ、カルタシス」

 おいで、と手招きをされカウンターに向かう。棚には、何種類ものコーヒー豆とカップが並んでいた。

「うん、似合ってる。カルタシス、今日から君は喫茶店・Chronos(クロノス)の従業員だ」

 ぽん、と頭に手を乗せて、「よろしく」と言う伊織さん。

「え……?あ、はい」

 突然言われたその言葉に、曖昧な反応しかできなかった。


「何で頭に手を乗せてるんですか?」

「んー、乗せやすそうだったから」

 良い笑顔で言う伊織さん(マスター)

「あの子、これから大変そうね」

 小さく呟く。少年が振り返った。耳が良いのだろうか。

 私は気づかないフリをして、淹れてもらったばかりのカプチーノを啜った。

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