お針子12
「可愛いですね、これ。メリットさんやり方わかりますか」
「そうねえ、見ればなんとなくわかると思うけど」
前世ではスモッキングは良くやったから多分覚えていると思うけど、問題はそこじゃない。
問題、それはどうして聖女様がこれを知っているかだ。
「これに似た感じの物が良いのかな? 」
この国にはないデザインのドレスを眺めながらデザイン画を起こしていく。
貴族の女性が好んで着ているドレスと比べたらこのドレスは貧弱に見えると思う。
裏地は一応ついているとはいえ大袈裟なフリルも重ねた布もない、よく言えばシンプルなデザイン。悪く言えば飾り気のない面白味の欠片もないドレス。というか、なんとなくちぐはぐな感じを受けるドレスだ。
「これは聖女様の希望を伺って作られたのよね、聖女様はあまり装飾が付いたものがお好きではないのかしら」
聖女様の感性は現代の日本人に近いのかもしれない。なんなとなくこのドレスを見るとそう感じる。
現代の日本の感性をこの世界の意匠に無理矢理当てはめた様な違和感がある。
「メリットならどんな感じに作る? これだと町で浮いてしまうだろ?」
「そうね。町で悪目立ちしない、でもこのドレスに似た感じのワンピースということでいいかしら」
袖をふくらませ、胸の下に太めのリボンをつける。その下は控えめのドレープをつける。白い丸襟をつけたいところだけどこの世界には襟の付いた服は男性でも着ないから避けた方が良いかもしれない。
スクエアのラインに縁にレースをつけてみようかな。
「こんなのはどう?」
この世界の常識からは少し離れているけれど、これなら可愛いワンピースになるだろう。
「いいね。喜んで頂けそうだ」
「色はどうする?」
「そうだな。あ、メリットこれは作れるか? 聖女様が下さったんだ。聖女様が作られたものなんだがこの飾りが可愛いからこの飾りを使って何か作ってもらえないかな」
懐から出して私の目の前に置かれた巾着をみて思った。聖女様は本当に向こうの世界の人かもしれない。
六角形の布を縫い合わせて作られた柄はこの世界では見たことがない。パッチワークのおばあちゃんの花園と言われる形だ。そして、口のところを絞る為の紐の先に付いているのは和装小物なんかに使われる事が多い花の形になっていたのだ。
「メリット?」
「あ、うんそうね。このワンピースを作る生地で小さな手提げ袋を作ってみようか」
思い付いた形を紙に書く。
「作り方分かるのか?」
「今見たから大丈夫。聖女様は器用なのね、凄く綺麗に作られているわ」
「聖女のお部屋にはこういう小物が沢山あるぞ。部屋におられる時は本を読まれているか縫い物をされているからな、私以外の護衛にもくださったんだ」
困った様な顔で説明しているのは何故だろう?
「何か問題があるの?」
「いや。メリットには言ってもいいかな。聖女様は神殿に出掛けられる以外の殆ど外へお出にならないんだ。自分が動くと回りに迷惑をかけると思われているらしい」
「迷惑?」




