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お針子10

「綺麗な方なんですか」

「綺麗とは違うな」

「え」

 あれ、聖女様なんだよね。

「どんな外見なの。話して問題ないなら教えてよ」

 なんとかアイロンをかけ終えて、ドレスをハンガーに掛けるとアイロンを片付け椅子に座る。

「背は小さい。私の胸位の高さだな」

「小さいなあ」

 日本なら標準位だけど、この国で言えば子供サイズだ。

 私は前世で百六十五センチあったけど、こっちの世界ではそれでも小さい方だ。

 今の私は百七十を超えている、もしかしたらもう少し伸びるかもしれない。

「真っ直ぐな艶のある髪、大きな黒い瞳。ふっくらとした頬。綺麗というより愛らしいという表現がぴったりな方だよ」

 フランの説明だと日本人でもおかしくない感じだ。背も低いし、黒髪だし。日本人は童顔も多いからこの国の人には愛らしい感じに見えるかもしれない。

「へええ。なんか想像と違うなあ。イシュル様の絵姿は金色の髪でしょ。聖女様も同じかと思ってた」

「私もです。でも、愛らしい聖女様の方が親しみがありますね」

 ファルシオさんはなんとなく嬉しそうに頷くと店のカウンターから紙とインクとペンを持ってきた。

「ええと、黒い目と髪で、お顔の形は」

 ファルシオさんはフランに聖女様の特徴を聞きながら絵を描き始めた。

 この店に勤めるまで神殿の近くで似顔絵描きをしていた事もあり、ファルシオさんはとっても絵が上手い。

「少し丸い感じかな。メリットの妹の様な頬をしている。前髪は目の上位で揃えていて、耳の下のところだけ少し短いんだ、後は真っ直ぐ背中まで」

 姫カットと言われてる髪型に近いのかな。前世の私のお客さんはしてる子が多かったなあ。

「結構丸い感じ?」

 あれ、聖女様ちょっとぽっちゃりなタイプ?

「いや、ふくよかなわけじゃなく、印象が失礼ながら小動物というか。上手く説明が出来ないな」

「しょ、小動物」

 聖女様に対して何という不敬。不敬すぎて笑ってしまう。

「馬鹿にしているわけじゃないぞ。メリットも聖女様とお会いすればわかる」

 膨れた顔でフランは否定するけど、小動物といえばハムスターとかミニ兎とかふわふわした感じの生き物だし、それと聖女様を一緒にするって十分不敬だと思う。

 笑うなという方が無理だ。

「お会いする機会なんかないわよ」

 日本人の雰囲気がありそうな聖女様なら一度是非あってみたい。

 この世界、黒髪の人なんて見たことないし。

「そうだな。でも服を作る事は出来るぞ。冗談では無く、聖女様のドレスだ」

「え」

 今なんて言ったのよ。服を作るですって?

 私が聖女様の? 嘘でしょう。

 

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