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エクストラクリーチャーズ  作者: Crow.Online
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9話 一時帰宅。新自宅と立河駅にて

 新たな自宅へと帰宅した。ギッシリ詰まった買い物袋をキッチン前に下ろし、松葉杖を壁に立て掛け、時間を確認しようとガラパゴスケータイをパカっと開ける。電源が切れていた。

「充電器〜、充電器〜。」

奏でるように口ずさむ。充電器。どこいった。・・・。あった。充電器を本体に差し込み少し待つ。そして起動する。するとSMSを受信した。そこには『留守番 着信通知』と表示されている。たぶん、バイトの面接の件だ。

「その前に。」

カーテンを取り付けよう。やっぱりカーテンがないと落ち着かない。ここは四階ではあるが、向かいには俺の住まうアパートと同型の4階建アパートがある。覗いちゃいやん。取り付けはスムーズだった。地元である海形から上京し、アパートに移り住んだ時、一度同じ作業をしたからだ。無事にカーテンの取り付けが終わると、携帯電話に着信があった。

「はい!もしもし!」

「もしもし、こちら立河市環境保護センターのヴェスタと申します〜!」

ヴェスタさん。エクスチャーの方だね。

「求人情報を見て頂いき、ありがとうございます。早速ですが、面接日時を決めたいのですが。」

「はい!」

「来週の月曜、19日はご予定ありますでしょうか?」

だい・・じょうぶだな。うん、余裕。超ヒマだ。

「大丈夫です!」

「で、は、・・少々お待ちください。」

待機中になった。お忙しいところ、本当にすみませんだぜ。

「お待たせしました。では、19日の午後1時に面接を行いますので、立河市環境保護センターのロビーにてお待ちしております。それでは、失礼致しました。」

「はーい!」

ガチャ。なーんて携帯電話からは音はしないが、電話が切れたことを表現してみた。19日の午後1時。どこかにメモしておこう。あ、ペンと紙ないや。あ、『紙』はそもそも『ない』んだった。そうして、俺は携帯電話のスケジュール機能『カレンダー』に新しい予定を刻むのだった。


 昼食はサンドイッチと麦茶だ。価格は合わせて70レクス。美味しい。ただ、ミックスサンドイッチに使われているハム、何だろう。弾力があって・・、美味しいけど、普段食べるようなハムに感じない。そう思いながら充電中のガラケーをポチポチ弄る。佐倉先生にメールするのだ。休憩中だろうか。まぁ、休憩中でなくとも少ししたら返事があるだろう。俺は、だいぶ遅れてしまったが、『避難所に着きました。^^』と、報告を入れて送信した。ふと思い、電話帳を開く。親、友達、先生。友達。(たかし)。ゆうちゃん。けんちゃん。元気にしているだろうか。俺は貴のプロフィール画面を開き、電話の『掛ける』ボタンに指を置く。いや、やめておこう。例え、今元気でいてくれたとしても、今日は平日。もしかしたらだが、就職して、勤務中であるかもしれない。俺はそれ以外のことは考えず、パタンとガラケーを閉じ、食事に専念することにした。


 時刻は午後1時を回った。大学に行こう。俺は外に出た。荷物を入れておけるカバンやら、時間をすぐに確認できる時計やら、さらに生活に必要なもの、というより便利になるものが欲しくなった俺は、忘れていなければどこかのお店で買おうと脳内に刻んだ。

 俺の通う大学。通っていた大学は『一王子』にある『一王子文理大学』だ。そこの『文学部哲学科』に席を置いていた。そこへ行くには、ここからなら電車で行くしかないだろう。5年前なら父さんから買ってもらった新車で通っていたのだが・・。凹んでいてもしょうがない。相変わらず人で賑わっている立河駅へ着くと、切符売り場へと足を運ぶ。立河駅。昨日訪れたはずなのに、何だか懐かしい。そうだ、俺はずっと俯いて歩いていたんだ。『世界』を直視できなかった。コンビニでの『失敗』によって。だが、今はもう違う。俺は『世界』を知った。俺はこの『世界』に生きる人間なんだ。受け入れなければならない。今の現状を。もっと知りたい。もっと詳しく。切符、と言ってもちっちゃなプラカードを受け取り、改札を通る。システムは何も変わらない。

 もう俺は何を見ても驚かない。


 『一王子文理大学』は『無かった』。


 『一王子市』すらも『無かった』のだ。


 俺は、驚愕した。



_____ _____ _____ _____ _____

 この世界で発生した『災害』と『それによって直接的に受けた影響』について説明したい。まず、ここで書かれる『災害』とは、いわずと知れた『宇宙大戦』のことを指す。『宇宙大戦』は、地球人からしたら『エクスチャーの奇襲作戦』であったが、エクスチャーからしてみれば『半強制的移住計画の一つの勘違い』であった。なぜこのようなことが起きたか、前者から解説していく。

 地球人側からの言い分では、『宇宙人からの侵略』として認識されている。今現在は、エクスチャーと交わした『平和条約』によって『解決』しているが、世界では一部納得していない。これは『人類』の偏見ではあったが、『人間規定』が定まってからというもの、『人間』への冒涜は『罪』とされるため、外観は落ち着きを見せている。『解決』は、『「人間側の思い込みだ。」』と発言したアメリカ合衆国のとある企業家は発し、その鶴の一声によって、暴君と化していた周辺市民は冷静になり、徐々に支持するものが増えた為に、実現した。

 一方のエクスチャー側は、金星から脱出後、地球周囲を漂う人工衛星に近づき、ロシアの宇宙航空国営企業『ミハイル』と交信に成功。地球への着陸をロシア連邦が独断許可し、ロシア全土から見て南東区域の広大な大地に着陸計画を立てる。3ヶ月程経ち、遂に実行とする日、事態が急変。機体の降下中に地球からの対空砲火を乗組員が確認、計画が中止することになる。エクスチャーは、『人類存続』の使命がある為、緊急脱出シャトルに『金星の未来』を背負っていた為、ロシア連邦に強く抗議した。激昂した一部エクスチャーは武力を行使し、人工衛星『ミーティア12号』を占拠。シャトルの通信機で地球へ声明を発信することが困難と判明した為に『ミーティア12号』を鹵獲、そして地球に在する全航空宇宙局に最後通牒を通達、2013年11月4日に改めて地球に降下する。この『宣戦布告』は地球のあらゆる国家は寝耳に水であり、至急と緊急の大抗戦を要する事態になる。よって、この日から『宇宙大戦』の開戦とされた。

 『宇宙大戦の三日間』は長く、短いものであった。エクスチャーの緊急脱出シャトルは全6機であったが、この全機に、当時地球人の知らない新エネルギー『エクス』を動力源としたを整備用電磁砲を所有していた。整備用というのは、機体の着陸時にその地点が安全に到達させるためのものだった。光学兵器を実用化していたエクスチャーだが、地球表面では照準を合わせても屈折し、『流れ弾』となり、使い物にならなかったので、早い段階で使用をやめる。こうして交戦しながらもアフリカ北部に一機を着陸させるも、他シャトルは大苦戦。北極地点を目的地としていた緊急脱出シャトル三番号機は滞空で大破し、約30万人の『人間』を乗せた機体は大西洋沿岸に沈んだ。これを機に、白旗を揚げたのはエクスチャー側。宇宙大戦は終戦した。

 整備用電磁砲は地球にとっては脅威であった。なぜなら、全長約2000メートルほどのある超巨大宇宙船を着陸させるため、大地を更地にするものであったからだ。これの被害を受けた全国家は、国民の保護と対戦に力を尽くす。敢えなく被弾した地域は、『消えた』。そこはかとなく、『消えた』のだ。

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