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聖水紀ーウオーター・ナイツー第10回聖水騎士フガンはレインツリー組織から、歌姫ベガを連れ去り、聖水神殿に連れていく。


聖水紀ーウオーター・ナイツー第10回

(1976年作品)

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/




「フガン、我々が何故、このような多雨地帯にいるのか、わかるか」


「ははあ。そうなのですか」


「きさまの想像どうりだ」


水にたいしては水を使う。地球の水がレインツリーの呪術師の念力により一種のバリアーとなっている。分がわるいとフガンは判断する。臨機応変の処置だった。フガンは一瞬飛び上がり、ベラの真後ろに着地した。


「さてさて、レインツリーの皆さま、今日はこれで幕にしておきましょうよ。変に手だしをなさると、いいですか、このお嬢さんが傷つきますよ。これでも私聖水騎士フガンは諦めのいいほうなのです」


「皆、構わないで、このフガンをやっつけてよ」歌姫ベガは叫ぶ。


「レディ、そう騒がれてはこまりますねぇ。あなたは本当に諦めの悪い方ですね」


フガンはベラに当て身をあて、気を失わせる。


「フガン、きさま」ロイドの顔は激怒の色。


「皆さん方、お静かにせれませ、彼女が目をさまします」


聖水騎士フガンは歌姫ベラを担ぎあげ、走り去る。


その時、上空から飛翔機が降りて来る。


「ちょうど、いい時間です」


「では皆さま方、またお目にかかりましょう。あ、それから、シマさんよろしく」


飛翔機は飛び上がっていった。 


第5章


「水鳥をとばせろ」


ロイドは一言つぶやく。


「聖水をあらためて手にいれるのだ。ツラン、君の出番だ」


レインツリーのメンバーのひとりツランにロイドは言う。


「ということは瓢衣の方法を使うのだな」


ツランが答えた。


「そうだ。水鳥もまだベラの残留思念があるうちに、君が操ってくれ。そして、君の力で聖水騎士団をたぶらかし、聖水を手にいれろ。それを分析しょう。素早く彼ら聖水に対する対抗手段を打ち立てよう。そしてベラの手ががりも手にいれるのだ」


ロイドは自分自身に言い聞かせるようにつぶやく。


ベラを失った怒りが潮のようにロイドの心に押し寄せていた。


ロイドはすさんでいた。建物にもどったロイドは床にうずくまったままのタンツを目にする。


タンツの胸倉をつかんで、抱き起こす。せきたてる様に言う。手荒く扱う。


「タンツ、早く思い出せ。宇宙要塞ウェガの位置を思い出すんだ」


 が思わず、ロイドはのけ反った。


「こ、こいつは」


起き上がったロイドを見るタンツの目は先刻の男の目ではなかった。生気が戻ってきている。かっての宇宙連邦軍大佐ウェーゲナー・タンツの目だった。


不思議に、昔の威厳も取り戻したとうなのだ。


「乱暴なまねはやめろ。ロイドとやら、私は今、宇宙要塞ウェガの位置を思い出した」


タンツの心の中で何かが弾けたようだった。別のいきものに変化した。そんな気持ちがした。


この青二才め、目にもの見せてくれるわ、ウェーゲナー・タンツの怖さをな。タンツは心でロイドをののしっていた。


「残念ながら、君たちの仲間は、私に追いつけなかったようですね」 


聖水騎士フガンの問い掛けに歌姫ベラは無言でいた。


「まあ、気にしなくてもよろしいですよ。悪い扱いはいたしませんよ。レディ、ベラ君は賓客ですからね。さて、もうすぐ、我々の神殿につきますよ」


 上空からは聖水神殿を中心に発展しているハドルン市の市街地がベラの目に飛び込んでくる。敵の本拠地ながら、ベラはその広さに圧倒された。


飛翔機はズンという音と共に着地した。


「さあ、我々聖水騎士団の本部へようこそ、レディベラ」


フガンは先に飛翔機から降り、ベラにたいして最敬礼のお辞儀をする。


 フガンの飛翔機のそばに、聖水車がとおりかかる。


「フガン、帰ったのか、首尾はどうだった」聖水騎士団長アマノの声だった。


「隊長、上々です。レディベラをお連れしました」聖水車に向かい、フガンは叫ぶ。


「我々は布教活動の途中なだ。あとで説明を聞こう」


「楽しみは残しておいてくれ」聖水車にいる聖水騎士団仲間の一人、内藤が叫んだ。


「自分だけ手柄をたてるなよ」同じく同僚のコンノも声をかけた。


聖水車はゆっくりと町並みのほうへ降りて行った。それを眺めていたフガンがベラの方をふりむく。


「さて、レディ、聖水にあっていただきましょう」


フガンはいやがるベラをつれ聖水神殿へと入っていく。


聖水紀ーウオーター・ナイツー第10回

(1976年作品)

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/

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