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第3章(9)ここまで来たのに

 海賊が投下した機雷の数発が、のどかのすぐ横で炸裂した。

 その破壊力は魔力防壁に食い止められ、『ガルーダ』に損傷は無い。

 問題だったのは、予期せぬ乱流に機体が横殴りにされたことだ。


「わわっ……」


 激しい揺れに耐えながら、のどかは機械腕を展開させた。

 そこであることに気付く。

 機械腕にレーネが装着してくれたはずの、磁石吸着式爆弾が見当たらない。


「無い! ひょっとして、今の揺れで?」


 瞬間、『エルデマクト・リアクター』との生体同期が停止した。

 推進力が失われ、『ガルーダ』は重力に絡めとられ、海底へと沈下を始める。

 軋み。

 風防の硝子に、蜘蛛の巣状のひびが入る。

 ひびは大きくなり、足元に海水が流れ込んでくる。

 全てはまるで、魔法が解けたようだった。


 そんな、ここまで来たのに。


 後ほんの少しで、手が届くのに。






 海の中、翠色の輝きがふっと消えた。


「涼宮さん!」


 届かないと知りつつ、レーネは通信機に叫んだ。

 やはり、無理だったのだ。

 奇跡は続かなかった。

 いいや、違う。

 奇跡なんて、最初から無かった。

 レーネの胸に、悔恨が押し寄せてくる。

 何故、私はあの時、涼宮のどかを止めなかったのか。

 今思えばあれは冷静な判断ではなかった。

 ナターシャを助けたかった?

 本当にそうだろうか。

 そうではなくて心のどこかに、自分の手でナターシャを殺したくない、仲間殺しの罪を背負いたくないという感情があったのではないか?

 そうやって、ナターシャを殺さずに済む選択肢を探していた自分は、のどかの生体同期の数値を見た瞬間に、思考を停止させて無責任に逃げ込んだのではないか?

 もしそうだとしたら、私の偽善が涼宮のどかを殺したのだ。

 『アパレティエーター』を使って自分が悪者になることから逃れようとして、優しくて勇敢な少女を死なせてしまった。


「……私は、また罪を犯したのね」


 レーネの声に、嗚咽が混じった。


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