「伝説の団地妻」をめぐる中年勇者たちの一夜の冒険
「即興小説」で執筆した作品の改稿版です。
2015/7/28 お題:団地妻の略奪 必須要素:爆弾 制限時間:15分
「いよーし、いいかお前らぁ、今日はこのダンジョンに眠ると言われる伝説の『あるもの』を略奪しにいくぞぉ!」
「いええい! よっ一宮課長……じゃなくて、勇者一宮ぁ!」
「ちょっと、一宮課長、二見先輩。深夜なんだから静かにしてくださいよ。なんですかダンジョンって。ただのマンションじゃないですか」
「『あるもの』がなんだかわかるか……そう、『団地妻』だああ!」
「いええええい! ダンチヅマ! DANCHIZUMA!」
「まったく……酔っぱらいども……」
「三上ぃ、ぼけっとしてると危ないぞ! このダンジョンには我々侵入者を阻む罠が仕掛けられているのだ!」
「ええっ、課長、その罠とはなんですかっ!?」
「二見先輩、悪ノリはやめてくださいよ」
「爆弾だあああ! 触ると爆発するぞおおお」
「ひゃあ怖い!」
「めんどくせえ……」
「つれないなあ三上。なんだお前、綺麗な奥さんもらったからって調子に乗ってるな? よし、いまから三上の奥さんを略奪しにいくぞぉぉ!」
「わっしょぉぉおいい!」
「ちょ、なんでそんなことになるんですか!」
「お前の部屋どこだっけ……見つけた、三○三号室! 二見ぃ、突撃ィィイ!」
「イエッサーーー!」
「あ、課長、先輩! その部屋は課長の……」
がちゃ。
「……あんた、こんな時間になにしてんの」
「……あ、課長の奥さん、こんばんは」
「……どもっす」
「……」
「あぁらこんばんは! ……あんた、今月の小遣い無しだからね」
「……はい」
「課長」
「……なんだ二見」
「爆発したのは罠の爆弾じゃなくて、課長の奥さんの堪忍袋でしたね」
「うるせえやい」