勝負2
年明け前に投稿したかった
さて、カルロ殿下はこの前みたいに闇雲に攻めては来ないか。
さすがにあの時のカウンターは効いたかな?
油断戦法使えないなら私から攻めましょうかね?
「炎よ、我の力となりて彼の者を追い焼き払え。ファイヤーボール」
まずは普通に詠唱で魔法を使う。詠唱破棄出来ることを知ってる人もいるけど知らない人にまで教えるつもりはありません。
因みにそこまで魔力込めてないから普通のサイズ。
「ふん。これくらいのファイヤーボールで僕が負けるとでも?」
やっぱりなんなくファイヤーボールを避けたカルロ殿下が余裕な表情を見せた。
甘いな。ちゃんと詠唱きこうね?
私はにっこり笑いながらもう一つの魔法を発動させた。
「追跡」
詠唱の中にファイヤーボールとは別の詠唱も組み込んだんだー。追跡の魔法だから打ち消さない限り追ってくるよ?
「なっ⁉」
突然軌道を変えたファイヤーボールに驚くカルロ殿下。ギャラリーもどよめき、教授やお兄様達もびっくりした表情。
およ?なんでだ⁇
「貴様!なにをした⁈」
まだなんとか避けているカルロ殿下が叫んだ。
「なにをしたと言われても、普通に魔法を組んだだけですわ。それより、もう息が上がっておりますわ。大丈夫なんですの?」
「っくそ」
いやー言葉使い悪いね。人のこと言えないけど。
でもそれ以上息上がると詠唱出来なくなるよ?
「はぁっ‼」
カルロ殿下も詠唱が出来なくなるとふんだのか直接私に攻撃してきた。
魔法は集中しないとダメだからね。なんらかの魔法でファイヤーボールを操ってるって考えたのかな?違うけど。
カルロ殿下の剣を受け止めファイヤーボールが来るタイミングをみて弾く。いきなり弾かれたカルロ殿下はバランスを崩し今度こそファイヤーボールに当たった。
「っぐ」
カルロ殿下はなんとかまだ立ち続けていた。あら、意外と打たれ強い。
「っち。ファイヤーアロー‼」
っえ?詠唱破棄⁈
魔術を込めた魔具か⁉
詠唱破棄出来ないって言ってたしなぁ。しかも魔具にかなり魔力込めてない⁇
出現してるファイヤーアローかなりあるし、360°周囲囲まれてるし。
殺す気か⁉
「ウォーターウォール‼」
本来なら一方向に水の壁を作る魔法だが少し応用させドーム状の壁を一瞬で作る。
ジュッ‼
次の瞬間に水が蒸発する音が聞こえ、あたりが真っ白になる。
またこの展開か⁉
くるかな?
水蒸気の中動く影が2つ。って2つ?どういうこと?
どっちも向かってくる⁈
「アイスウォール‼」
向かってくる影に向かって氷の壁を作る。
がんっ!
影が壁にあたり止まる。
一つはナイフ、もう一つはカルロ殿下だった。
ナイフの方はディアやアンが追ってくれるはず。その他の怪しい人間も皆が見張ってくれてると思うからこっちは問題無。
ってことでカルロ殿下との勝負に戻りますか。
カルロ殿下は弾かれたあと体制を崩している。その隙を逃さずに攻める。
一度目の打ち合いでカルロ殿下の剣を弾き、足払いをかける。
「バインド」
次に魔法で動きを封じカルロ殿下の首に剣を突きつける。
「まだ続けますか?」
一応声まで封じてるから詠唱出来ないはず。
カルロ殿下も声が出ないことに気がついたのか私を睨んでいる。
そのままの体勢で今度は審判をしている教授の方を見る。
「これ以上は無意味だと思いますが?」
私の問いかけにカルロ殿下が動けないことを悟ったのか試合終了を宣言した。
「試合終了‼カルロ殿下戦闘続行不能‼勝者シャルネーゼ・アニス!」
終了の宣言を聞きカルロ殿下の魔法を解く。
「き、貴様‼一度ならず二度までも!」
いい加減にしてくれないかな?
「カルロ殿下?貴方は何故負けを認めないのですか?負けを認めればまだ成長も出来るでしょう。いまの貴方の実力は貴方の高慢さがまねいている怠慢からですわ」
「そんなこと…」
「あるぞ、カルロ」
フィルベルト殿下が会話に入ってきた。
「カルロ、お前はプライドが高い。だから負けを認めない。負けを認めその者のに何故助言を求めない?ニルベールやレオナルドなら助言を求めれば指導してくれただろう。ほかの白星騎士団のメンツもだ。それだけでなくこの学園の先輩や教授たち。お前はことこどく学ぶ機会を潰している」
「兄上」
「私はお前に期待していたが間違いだったのか?父上の期待も間違いだったのか?」
「…」
カルロ殿下は反論できずに黙り込み、そして踵を返しスタジアムを後にした。
「フィルベルト殿下ありがとうございます」
私は礼をとりフィルベルト殿下の言葉を待つ。臣下の礼をとらないのはここが学園だから。学園は身分が関係なくなるから。一応だけどね。完全になくなるわけじゃないしね。最低限はね。
「弟が迷惑をかけた」
「お気になさらずに」
そうしてフィルベルト殿下も去って行った。
作者はカルロは勝手に動いてくれるので好きです