談話室にて2
「今回、どこまでなら平気ですか?」
「なにがだ?」
「勿論コテンパンにすることです」
やだなぁー。当たり前じゃないか。そんな雰囲気でフィルベルト殿下に尋ねるとみんなの顔が引きつった。
「再戦の理由は本と誘き出しだよね?」
マルクルが確認してくる。
「勿論ですわ。でもやるからには徹底的にやりますわ。今後同じ様にお友達をバカにされたら困りますもの」
フフフと笑う私を見て
「それでこそアニス家だな」
っとつぶやいていたフィルベルト殿下とそれに頷くお兄様なんて知りません。
「で、どうするんだ?」
「どうせ次は魔法も有りにするのでしょう。カルロ殿下は魔法の方がお得意みたいですし。ですから魔法も叶わないことをわからせて差し上げます。あの方の高いプライドなんてぺちゃんこにしてしまいますわ」
「シャルって実は好戦的じゃね?」
「そうよね?外見はお人形みたいなのになんで?」
ちょっと?サラにリューク?ヒソヒソ話してるけど聞こえてるからね?
「っひ‼」
「シ、シャル?」
「どうか致しましたか?」
「な、なんか寒気が…」
「笑顔なのに怖い。さっきより恐い。」
あら、嫌だ。ブリザードが出てましたか。でも、サラは腹黒いと思ってたけど違ったかな?
「サラは腹黒いけどシャルの方が上手だからね。あぁなってしまうんだよ。前はリュークで遊ぶのはサラだったし」
あのー、また人の考えを勝手に呼んでます?なんでドンピシャで答えるのさ!
「似たような思考だからわかるんだよ?」
やっぱり私の顔に出てるの⁇というかその方がいいんだけど。本当マルクルは敵に回したくないや。
「とにかく、フィルベルト殿下今度の勝負は先程以上の人の目に触れます。それでもよろしいですか?」
ダメと言われてもボコるけどね。
「大丈夫だ。なにか言ったら私が抑えよう。勿論外野が言い出した時もだ」
「ありがとうございます」
そう。私が心配なのはカルロ殿下ではなく外野達。この勝負の内容が子息、子女を通じて貴族達の耳に入った時。特にお父様やお兄様を邪魔だと思っている人は必ずなにかし出すと思われる。そう簡単にお父様やお兄様がやられる訳無いけど煩わしいことは無いにこしたことはない。
この学園平民も実は実力さえあれば通えるし奨学金制度もある。でも今回の勝負に関して平民の間で悪く言われることは無い。勝負を受けた時と同じ理由で子ども相手になにしてる、となる。だから外野は貴族一色。対策取りやすいね。
「あと、みんなにお願いがありますの」
「なんだい?」
「今回は誘き出しも含んでいますでしょ?私が勝負しているときはまだ十分に周りをさぐれませんから周りの様子を見ていただきたいのです」
「そんなことくらい大丈夫だよ」
「で、怪しい人が居ても泳がせて下さいね?」
「なんで?そんなことしたらシャルが危ないじゃない‼」
サラが心配してくれる。ありがとう。
「理由なら3つありますわ。まず1つ。実行してからでないと確実に捕まえられないこと。2つ。指示を出している人間が居るかもしれないこと。3つ。複数犯かもしれないことですわね。」
「それがなんで?」
リューク、自分で考える努力しようよ。今回は時間無いから話すけど。
「一つ目は言葉の通りでよろしいですわね?二つ目はトカゲの尻尾切りみたいにされ次以降の手口が巧妙になってしまうのを防ぐためですわ。三つ目はあえて怪しい行動をして実行する人間の目くらましをしている可能性があるためですわ」
みんなポカンとした表情。お兄様はよく出来ましたって感じかな。
「シャル、よくそこまで思いつくね。本当に10歳⁇」
「当たり前ですわ。それ以上の歳に見えますの?誤魔化せてもせいぜい12歳が限度だと思いますわ」
実際肉体年齢10歳だしね。精神年齢は10+前世だけど。
「わかった。私達は周囲に注意しておこう」
「あら?フィルベルト殿下はよろしいですわ。カルロ殿下のお兄様なのです。協力する必要はありませんわ」
「シャルぅ〜」
フィルベルト殿下が仲間外れにするなとでも言いたげに睨んでくる。
「と、いうのは建前です。今回フィルベルト殿下は中立がいいかと思いますわ。ここでフィルベルト殿下がこちら側だと思われれば外野がまた黙っていないと思いますわ」
「わかった。今回は中立となろう」
それでいいのです。
「さて、そろそろお開きにするかな。随分時間がたっているようだ」
そうですね。もう放課になってますし。
フィルベルト殿下の一言でこの場はお開きになった。
さてさて、勝負はどうなるかな。勝負の日までに暇な人が仕掛けてきそうだよね?
私編入したばっかりなんだけどな。あ〜あ、めんどくさい。