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カタリベ  作者: 巣月遥
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こどもとこども

 人の心は難しい。改めて感じた。

 前ページで語りなどではなく、会話をいれて普通の小説っぽくヒロインも出してみたのだがどうだろうか。

 その感想はここでは分からないので何らかの手段を使って作者に伝えて欲しいが、それより今は今回の本題について語ろうと思う。

 人の心。

 簡単だとは思っていない。むしろ、難しいのは分かっていたつもりだ。

 しかし、今日は二つの複雑な心理状況に触れ、改めて実感した。

 子供と子供の喧嘩。

 それも、「お前の母ちゃんでべそ」だとか「うっせえバカ!」とか言う様な子供の喧嘩ではない。

 大人になりきれていない、若干厨二病精神が残っている微妙な時期の子供同士だ。

 おそらく僕もその分類に入るのだが、人に嫌われない様に生きて来たせいか、その難しさを自分に置き換える事が出来なかった。

 口喧嘩や殴り合いなどの喧嘩ではない。

 ネット上での、睨み合いの様な喧嘩なのだ。

 僕は小学生を卒業する少し前に、インターネット、具体的に言えばSNSと言う物に触れた。

 そこの中で同い年の友人を集め、今もその友人達との関係は続いている。

 その友人同士二人の喧嘩だから、見て見ぬ振りも出来ない。

 この喧嘩の登場人物は僕を含めて四人いる。

 どれも『同い年の友人』なのだが、男二人、女一人で、男女はカップルとして一つ出来上がっている。

 そのカップルの彼氏の方を男Jと称しよう。

 Jは、不器用な性格をしており、頑固な所もあるし、口調も少し上から目線で、それに対して本人はあまり自覚が無い。そのせいで、伝えたい事も上手く伝わらないのだ。

 僕と出会ってから四年程の年月が流れたが、不器用な所も分かっている自分としては、上手く付き合えているつもりだ。

 もちろんその四年で成長などもある。

 Jとその彼女(女Sと称する)が付き合い始めたのは三年程前だ。

 その頃のJは少し厨二病精神もあり、「俺は嫉妬深い人間だ」と言っていた。

 それは嘘ではなかったようで、Sと『友人』として話していたもう一人の男、Kに嫉妬をし、SNS内でブロックをしてしまう。

「ネットでそんな事はよくある」なんて言って終わらす事も可能だが、どうも二人の間にいる僕やSは居心地が悪い。

 Kはノリの良い関西人という感じで、面白くて話していて楽しいが「あの先公がウザイ」だとか、「あいつがキモイ」とか普通に言ってしまう、割とどこにでもいる様な中学生だ。

 ブロックされた事をきっかけに、そんなKもJの事が嫌いになり、「上から目線でウザイ」などと言い出してしまう。

 嫉妬でブロックなどと言う事をしてしまったJもまだまだ未熟であったし、上から目線でウザイという台詞はやはり少し子供っぽい。

 そんな二人の関係がすぐに良くなるとは思えない。

 だが、そこで人の心は難しい、と感じたものが出てくる訳だ。

 成長もし、口調が上からで不器用な所は変わらないが、嫉妬でブロックなどはしなくなったJはある日「Kに謝りたい」と言い出すのだ。

 しかし、今やKの方もJをブロックしており、Jがブロックを解いただけでは連絡を取る事は出来ないのだ。

 そこで、共通の友人である僕は協力を求められた。

「Kに連絡をさせてくれ」

 居心地の悪かった僕は快諾し、Kに取り入った。

 何とか彼はブロックを解いてくれたのだが、口調が気に入らない、などと言っており、成功しそうにないと思った僕、そしてその話を聞いたSはJに「言葉遣いに気を付けて」と念を押した。

 既にKはJに対してネガティブな思考を持ってしまい、何を言われても、謝られても何かにつけて嫌うのではないか、結局意味ないのではないかと思ってしまう。

 謝る事が成功しても、今後の関係は良くなるのか、居心地が良くなるのか、と言われてもスムーズにうなずく事は出来ない。

 そこで感じたのだ。人の心は難しい、と。

 一度壊れてしまった物は接着剤でくっつけようとも、再び溶接しようとも、痕が残ってしまうのだ。

 綺麗な物を求めるのならば、新しい物を作るしか無い。

 一度壊れた彼らの関係は、はたして新品より良いものになるのだろうか。

 僕は心配だが、彼らを信じようと思う。僕にはそうする事しか出来ないであろう。

 僕はSと話していてもJにブロックされなかったのかって?

 そこで僕の人に嫌われない様に生きる、という性格が出て来たのだ。

 彼に嫌われるのも嫌だから、ブロック出来ない様に仲良くなっておこう、と。

 もちろんJとの会話は楽しいし、Kとは親友だ。

 だから、後悔はしていない。しかし、この様な場面に直面するとこう思ったりもする。Kと一緒にJとの縁を切っていたら、今はどうなっていたのかと。

 僕は過去を振り返っても掘り返さない人間だ。

 過去にある事を悔やんでも既に行動してしまったのだから仕方が無い。これからの事を考える。そう心がけている。

 今の友達は将来、誰が何になるかは分からない。

 大物でも小物でも友人が多くて損する事は無いはずだ。

 楽しみはいっぱいあった方がいいに決まっている。

 もちろんその友人達のどれくらいが完璧に信用出来るかと言われれば、数える程しかいないかもしれないが。

 それでも僕は友人を増やす為に一期一会を大切にしているのだ。

 人によっては逃げている様にも見えるかもしれないが、嫌われない様に人と接するのは間違った事だとは思わない。

 こう言う人間が嫌いだ、と言われてしまえば、その人の前でそう言う事を言わず、見せないだけだから、何の問題もないはずだ。そう信じている。

 今回は具体的に喋ってしまったので、実在する友人達に見られないか心配である。

 Jが謝った翌日の話だが、JとKは普通に友人として話していた。

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