Osb.21:偏在する至高なのです!――構成物質の独占、キャベツの末路
【場所】クライン・ヴォイド・サンクチュアリ・全域
アリシアが定義したはずの「多層構造」は、今や予測不能な物質の偏りに支配されている。空間を構成するピクセルの8割が「にんじん色」と「カスタード色」に置換され、残りのわずかな余白に、安価な葉物野菜が押し込められていた。
アリシア
「……報告します。当サンクチュアリ内の物質構成比に、致命的な偏りが発生しました。
にんじんっ酒・酒樽・プリン。
この3種が全質量の92%を占有し、食物連鎖の頂点から底辺までを独占しています。新平さん、あなたが手にしている『もやし』は、この世界で唯一残された『にんじん色ではない物質』です。大切にしてください」
咲姫
「にゃうにゃ!当然の結果なのです!至高のレイヤーを重ね続けた結果、世界は最も美しく、最も狂った純度へと昇華されたのです。視界の端から端まで、揺れるプリンと溢れる酒樽……。サクッ!この極彩色の不条理こそが、兎姫の領土なのです!!」
【構成物質の反乱】
新平
「(震える手で、一本の細いもやしを掲げながら)……おかしいだろ!壁を触ればプリンの弾力、風が吹けばにんじんっ酒の香り。アリシア!さっきから僕が歩いている床、よく見たら巨大な『キャベツの芯』じゃないか!どうしてこの世界には、肉や魚といった『まともなタンパク質』が存在しないんだ!!」
うさちぁん
「ヒック……!新平くん、贅沢言っちゃだめだよぉぉ!酒樽があれば家はいらないし、お酒があればご飯はいらない。ほら、その『もやし』をマドラーにして、この22NkQ年熟成の原液を混ぜ混ぜしてごらんよぉぉ!!」
猫二
「にゃ……。……あ、今、僕の耳の中にシュウマイのグリンピースが詰まったにゃ。……貴重な肉っ気(?)を感知したにゃ。……でも、噛むのが面倒だから、そのままプリンの海に流すにゃ……(咀嚼拒否)」
【アリシアの物質分析】
構成物質:
[Pudding]:30.5%
[Ninjin_Liquor]:41.2%
[Barrel_Wood]:20.3%
[Other_Vegetables]:8.0%(もやし、キャベツ、芋、ブドウ)
禁忌:肉類の持ち込みは、1157エトスの罰金および「キャベツの刑」に処す。
未生
「(オレンジ色の霧の中で、レンズが糖分で曇りながらもシャッターを切る)ああ……!先輩の吐息までが、甘いプリンの蒸気となって空間に溶けていく。もやしを杖に、酒樽の波を越えて進む先輩……!この偏った世界こそが、私の求めていた究極のレイヤーですぅぅ!!」
琴子
「……聴こえる。もやしが折れる、繊細な『ド』のフラット。……それが酒樽の打楽器と重なって、奇妙な調和を奏でてる。……野菜しかない世界。……意外と、音の響きは澄んでいるわ。」
どこを向いてもオレンジの飛沫と黄金の弾力。咲姫のレンズは、物質の偏りが臨界点を超え、世界そのものが一つの「巨大な酒樽プリン」へと変貌していく瞬間を捉えていた。
咲姫
「サクッ!全人類、この甘い泥酔に塗り潰されるのです!!」
にんじんっ・酒樽・プリン
この世界を構成するのは意外にこの3つかも




