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『最弱能力〈眷属創生〉、数を増やしたら世界が壊れた』  作者: ルー


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1/1

洞窟

「……え?」


最初に感じたのは、冷たさだった。


背中に伝わる岩の感触。

湿った空気が肌にまとわりつく。


「……どこだ、ここ……?」


立ち上がろうとして、よろける。

足元は平らじゃない。

周囲は暗く、奥が見えない。


洞窟。


テレビで見たことはある。

だが、自分がいる理由が分からない。


「待て、待て……」


さっきまで、確か

何をしていた?


思い出そうとした瞬間、

心臓が早鐘を打ち始める。


分からない。

分からないことだらけだ。


息が荒くなる。


「夢か……? いや……」


壁に手をつく。

冷たい。

現実だ。


その時、視界に文字が浮かんだ。


能力が発現しました



「……は?」


声が裏返る。


幻覚?

それとも、本当に頭がおかしくなった?


だが、文字は消えない。


〈眷属創生〉

一日に一体、眷属を生み出せる。

眷属は命令に従い、成長する。

眷属も眷属を生み出せるが、能力は半分となる。


「ちょ、ちょっと待て……」


意味が分からない。

眷属? 生み出す?


理解より先に、恐怖が勝った。


暗闇。

出口不明。

一人。


「……一人は、無理だろ……」


震える手で、能力を使う。

空気が、わずかに歪んだ。


岩の上に、

小さな影が現れる。


黒く、頼りない存在。

手のひらサイズ。


「……これが、眷属……?」


弱い。

どう見ても、戦えない。


だが、不思議と分かる。


こいつは、俺の味方だ。


「……周り、見てきてくれ」


自分でも驚くほど、必死な声だった。


眷属は、静かに洞窟の奥へ進んでいく。


その瞬間、

視界が増えた。


別の角度。

低い視点。

眷属の見ている景色。


「……視覚、共有……?」


言葉にした瞬間。


映像の端に、

緑色の何かが映った。


「……は?」


小柄な体。

歯の多い口。

汚れた武器。


ゴブリン。


理解する前に

眷属の視界が大きく揺れた。


踏み潰される感覚。

引き裂かれる音。


「――っ!」


眷属の視界が、途切れた。


同時に、

胸を握り潰されるような感覚が走る。


「……死、んだ……?」


声が出ない。


数秒、ただ呆然とする。


さっきまで、

確かにそこにいた。


俺の味方が。


「……」


気づく。


これは、ゲームでも夢でもない。


この世界には

敵がいる。


しかも、

俺よりずっと強い。


一日に一体。

今日はもう、生み出せない。


「……詰んでるだろ、これ……」


震える膝を抱えながら、

名前だけを思い出す。


「あき……」


俺の名前は、あき。


理由は分からない。

なぜここに来たのかも分からない。


だが、一つだけ理解した。


この能力は、弱い。

少なくとも、今は。


そして

弱いままじゃ、死ぬ

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