第二章 第五十七話:「新たな展開と展望」
天正六年(1578年)初夏——敦賀城・黒川家本拠
黒川家が正式に勘合符を獲得し、日本の貿易を主導する立場を確立したことで、越前敦賀港は活気に満ちていた。南蛮船や中国船が次々と入港し、商業都市としての成長が加速していた。
「殿、港の整備が進んでおります。」
藤堂宗春が報告する。
「堺の商人たちも協力的になり、新たな交易ルートの確立が進んでおります。」
間宮時継が地図を広げる。
「堺・長崎・博多に加え、琉球との交易が本格化しつつあります。そして次の目標は……。」
俺は地図上の南へ視線を移した。
「東南アジア、そして南蛮勢力との直接交渉だ。」
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*南蛮貿易と東南アジア進出
「スペインとポルトガルの動きにも注意が必要です。」
藤堂宗春が慎重に言った。
「彼らはすでにフィリピンやマラッカを拠点とし、日本との交易を進めていますが、我々が新たに参入すれば、警戒される可能性があります。」
「それを逆手に取る。」
俺は微笑んだ。
「日本の特産品、武具や漆器、茶器、さらに高品質の鉄製品は、東南アジアの王侯たちにとっても魅力的な品だ。我々が南蛮勢力の独占を崩せば、新たな市場を開拓できる。」
間宮時継が笑った。
「つまり、ポルトガルやスペインを利用しつつ、我々独自の交易圏を築くというわけですな。」
「そうだ。そして、それには琉球やマカオの勢力とも慎重に関係を築く必要がある。」
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*織田信長の次なる意向
そんな中、織田信長からの使者が敦賀城を訪れた。
「信長公よりの書状をお届けに参りました。」
書状を開くと、そこには信長の意向が記されていた。
——黒川家の交易を引き続き認める。ただし、南蛮との交渉には織田家としての影響力を示すこと。必要であれば、明国や南蛮との交渉に織田家の名を用いることを許す。——
俺は静かに頷いた。
「つまり、信長公は黒川家をさらに利用し、外交の道具としての価値を見出しているわけか。」
藤堂宗春が笑った。
「殿が信長公にとって必要不可欠な存在になりつつあるということですな。」
「だが、それは同時に、織田家の影響下にあることを意味する。」
間宮時継が慎重に言った。
「つまり、独自の外交を進めるには、さらに慎重に動く必要があるということですね。」
俺は書状を折りたたみ、静かに言った。
「信長公の信頼を保ちつつ、黒川家独自の商業国家としての地位を築く。そのためには……。」
俺は再び地図を見つめた。
「次なる一手は、東南アジアだ。」
黒川家の交易は、新たな段階へと進みます。
•堺の商人たちは黒川家の影響下に入り、国内商業の中心が敦賀へ移る。
•琉球、明国との貿易が本格化し、南蛮貿易への影響力が増す。
•ポルトガル・スペインとの交渉が新たな外交戦略の鍵となる。
•東南アジアへの進出が、新たな市場の開拓と戦略的な展開を生む。
黒川家の商業国家構想は、ここからですね——。
まずは、第二章を終えます。次の投稿は、しばらくお待ち下さい。
続きは、
戦国時代に平和国家を目指す2
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