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第二章 第四十四話:「琉球との交渉と明国への道」

天正五年(1577年)盛夏——琉球・首里城

明国との交易に乗り出すため、俺は琉球王国との交渉を開始することにした。琉球は明国との朝貢貿易を行っており、公式に明と交易をするための重要な窓口である。この地を経由することができれば、黒川家はさらに広範な交易網を築ける。

琉球王・尚永の使者を通じ、交渉の場は首里城の広間で設けられた。俺は藤堂宗春、間宮時継、斎藤友継とともに琉球を訪れていた。

「黒川殿、琉球にようこそおいでくださいました。」

琉球の摂政、**護佐丸朝敦ごさまる ちょうあつ**が柔和な笑みを浮かべながら迎えた。

「本日はどのような話を持ちかけられるのか、興味深く拝聴いたします。」

「琉球と黒川家の友好関係を築き、交易を発展させたい。」

俺は扇を開き、静かに切り出した。

「我々はすでに南蛮商人との交易を確立し、京や堺の商人たちとも取引を重ねている。しかし、それだけでは足りない。我々はさらに広い市場を求めている。」

護佐丸は茶を啜りながら慎重に頷く。

「黒川殿は、琉球を通じて明国との交易を試みようとしているのですな。」

「その通りだ。」

俺は微笑んだ。

「琉球王国の立場を尊重しつつ、互いに利益のある形で交易を発展させることができると考えている。」

________________________________________

*琉球の対応と交渉の難しさ

護佐丸はしばらく考え込み、やがて言った。

「確かに、黒川家が南蛮貿易を拡大し、博多や京の商人と連携していることは存じております。しかし、琉球は明国との朝貢関係を重視しております。もし黒川家が明との交易を直接試みるとなれば、我々の立場も揺らぐことになりかねません。」

間宮時継が低く呟いた。

「やはり、そう簡単には首を縦には振らぬか……。」

しかし、俺はこの反応を予測していた。

「ならば、琉球王国にも利益を示そう。」

俺は護佐丸を見据え、続けた。

「黒川家は、琉球王国に対して貿易品の安定供給を約束する。特に、日本の良質な鉄、絹、陶器、香木を琉球を経由して供給し、明国との関係を強化する手助けをすることも可能だ。」

護佐丸の目がわずかに光った。

「ほう……。」

「さらに、南蛮商人を通じて、ヨーロッパの貿易品を琉球経由で明に送るというのも一案だ。琉球王国が貿易の要所としての価値をさらに高めることになる。」

藤堂宗春が頷き、補足する。

「要するに、黒川家と組むことで、琉球王国はさらに貿易の中心となり、明国との関係も強固なものとなるのです。」

護佐丸はゆっくりと茶碗を置き、考え込んだ。

________________________________________

*琉球王へ

長い沈黙の後、護佐丸は微笑んだ。

「……貴殿の申し出、興味深いものですな。では、琉球王にお伺いを立てた上で、改めて正式な返答をさせていただきましょう。」

俺は深く頷いた。

「承知した。我々も、その間に準備を進めるとしよう。」

琉球王国の正式な許可が下りれば、明国との交易に向けた大きな前進となる。

俺は、琉球の城下町を見下ろしながら静かに呟いた。

「琉球を味方につければ、明国の市場への道が開ける……次は、いかにして明の官僚たちを説得するか、だな。」

藤堂宗春が微笑む。

「黒川家の交易が、ついに日本を超えて広がる時が来ましたな。」

俺は静かに夜空を見上げた。

「この戦い、ますます面白くなってきた。」


明との貿易は史実では難しい、明の商人が来てくれば簡単なのですが。

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