表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/67

第二章 第四十三話:「明国交易への挑戦」

天正五年(1577年)初夏——敦賀城

堺との商業戦争が最終局面を迎えつつある中、俺はさらに大きな目標に目を向けた。それは、明国との直接交易 である。

「殿、いよいよ動かれるのですね。」

藤堂宗春が地図を広げながら言った。

「南蛮商人との交易は成功し、博多との連携も強化されました。しかし、明国との交易となると、やはり障壁が大きいかと。」

「それは承知の上だ。」

俺は地図を指でなぞりながら続けた。

「琉球経由での明国貿易は、基本的に室町幕府の頃から行われていた。しかし、今の日本では正式な勘合貿易は途絶えている。ならば、我々が新たな交易の道を作るまでだ。」

間宮時継が慎重に口を開く。

「明との直接交易は、リスクも大きいですぞ。特に、倭寇の問題が絡めば、向こうの官僚たちが容易に許可を出すとは思えません。」

「だからこそ、倭寇とは違うことを明確にし、我々が正規の交易者であることを示す必要がある。」

俺は微笑んだ。

「そのために、琉球とマカオの南蛮商人を経由し、まずは明の商人たちとの繋がりを作る。」

________________________________________

*博多・神屋宗湛の商館

「明国との直接交易……。」

博多の有力商人・神屋宗湛は、俺の言葉を聞いて静かに考え込んだ。

「確かに、黒川家がこれまで築いた商圏を考えれば、可能性はある。しかし、明国側にその意思があるのか?」

俺は茶を啜りながら答えた。

「そこは、南蛮商人と琉球の力を借りる。我々は琉球経由で明の商人たちと交渉し、南蛮貿易の品々を通じて、向こうに利益を示すのだ。」

神屋宗湛は小さく笑った。

「なるほど、交易は利益こそが全て……明国も結局のところ、商いには逆らえぬというわけですな。」

「その通り。」

俺は扇を閉じ、彼を見据えた。

「琉球の使者を通じて、明国との交易交渉を進める。そして、いずれは日本からの正式な交易団を送り込む。」

________________________________________

*敦賀・黒川家の南蛮商館

「明との交易を試みる、だと?」

マカオにいるポルトガル商人ジョアン・デ・アルメイダは、俺の提案を聞いて驚きを隠せない様子だった。

俺たちは敦賀にある黒川家の南蛮商館で交渉を進めていた。ここは、日本における南蛮貿易の拠点の一つとして機能し、多くの外国商人が行き交う場所である。

「Senhor Kurokawa, 貴殿の大胆さには驚かされる。だが、明国は日本の交易を正式には認めていないのでは?」

「だからこそ、南蛮商人の協力が必要なのだ。」

俺は静かに言った。

「貴殿らの持つ交易網を活かし、琉球やフィリピン経由で明国の商人たちと接触する。その際、南蛮の品々が流通することが明国にとっても利益になると示せば、向こうも動かざるを得なくなる。」

アルメイダはしばらく考え込み、やがて笑った。

「確かに、それは我々にとっても悪くない話だ。よし、協力しよう。」

________________________________________


その夜、俺は港を眺めながら、これからの展開を思案していた。

「明国との交易が成功すれば、黒川家の商圏は東アジア全域に広がる……。」

藤堂宗春が隣で微笑んだ。

「まさに、天下を支える商業国家の道が開かれるということですな。」

「その通りだ。」

俺は波間に浮かぶ南蛮船を見つめながら、静かに呟いた。

「この戦いは、まだ終わらぬ。次は、いかにして明国に黒川家の存在を知らしめるか……それが鍵となる。」


日明貿易は、ハードルが高いかな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ