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第二章 第十九話:「堺との正式な協定」

堺との交渉が進展しつつある中、俺は敦賀に戻った藤堂宗春から報告を受けた。

「殿、津田宗及は完全には納得しておりませんが、もはや交易の流れを止めることはできないと理解したようです。彼は今後、表立って反対することはないでしょう。」

俺は軽く頷いた。

「つまり、堺の商人たちも本格的に動き始めるということだな。」

「はい。そして、今井宗久をはじめとする賛成派の商人たちが、黒川家との正式な商業協定を結ぶことを提案してきました。」

「正式な協定……具体的には?」

藤堂は持参した巻物を開きながら説明を続ける。

「堺と越前の商人が共同で運営する商会を設立し、交易品の管理や価格の安定化を図る。また、敦賀港に堺商人の常設拠点を置き、直接取引を行う体制を築くというものです。」

俺は巻物の内容をじっくりと確認した。

「つまり、越前が堺の交易ルートの一部となるのではなく、堺と越前が対等な商業拠点として機能するということか。」

「その通りです。これにより、越前は単なる経由地ではなく、日本海交易の要となります。堺の商人にとっても、新たな利益の源泉となるでしょう。」

「それは素晴らしい……だが、当然ながら問題もあるな。」

藤堂は頷いた。

「はい。まず、織田家がこの協定をどう見るか。信長公が商業政策を支持しているとはいえ、堺の商人たちと独自に協定を結ぶことで、織田家内の他の勢力に不信感を抱かせる可能性があります。」

「そうだな……特に柴田勝家のような武断派にとっては、商業の発展が彼らの影響力を削ぐことにつながる。」

俺は深く息を吐いた。

「ならば、先手を打とう。信長公へ正式に報告し、この協定が織田家全体に利益をもたらすものであると伝えるのだ。」

「承知しました。」

藤堂が深く頭を下げる。

「では、信長公へ使者を送ります。加えて、協定締結のために堺から正式な代表団を敦賀へ迎える準備を整えます。」

「それがよい。彼らがこちらへ来ることで、堺の商人たちの覚悟を示すことにもなる。」

俺は再び巻物を手に取り、協定の詳細を検討した。

「この商業協定は、黒川家の未来を左右するものだ。これが成功すれば、越前は真の意味での商業国家への道を歩むことになる。」

俺は静かに拳を握った。

「いよいよ、我々の時代が始まる。」


ついに信長に頼もうか。というところまで来ました。

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