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魔人教授の怪奇譚  作者: 泥陀羅没地
第一章:謎だらけの教職者
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日本魔術師達の最高峰達

どうも皆様、お久しぶりにこの物語へ帰還しました泥陀羅没地です。


メインに据えていた物語が完結しましたので、息抜きにと書いていましたこの作品を今度はメインに描いていこうかと思います。

――ブウゥゥゥンッ――


「――確かに君の要件に付き合うとは言ったがね…まさか今夜中〝従者〟の如く付き合えと言うのはどうなのさ?」

「あら?…契約書にサインしたのは貴方よ?…それとも〝破ってみる〟?」

「意地が悪いね、〝契約魔術〟の拘束力を知らない訳無いだろう?…まぁこの程度なら反故にしても大した罰則にならんだろけど」

「あら、じゃあ〝破る〟?」

「…いや、別に反故にする理由が無いから良いよ」

「…そう」


私はそう言いながら助手席の字波君を指定の住所へ移送する…御丁寧に上等なベンツで、これまた御丁寧に私の趣味とは大変言い難い如何にも〝良いお値段しますよ〟と言う上等なスーツを着こまされて。


「しかし、昼は〝学園の理事長〟、夜は〝魔術局〟の〝議員〟とは…君は何時からワーカーホリックに成ったのかな?」

「元々何かしないと落ち着かないのよ…特に、こんなにも〝永い時間〟を生きてるとね」

「ふむ…コレは少し誤ったかな?」

「気にしないで、貴方に悪意が無いことは知ってるから」


――キュポンッ――

――トクトクトクトクッ――


「器用ね…」

「この程度なら訓練すれば誰でも出来るよ…折角綺麗な夜景に上等なワインが揃ってるんだ…束の間の休息にでも飲み給え」

「…コレから仕事よ?」

「なぁに、バレなきゃ良いのだよバレなきゃ…私は遠慮しよう、どうも飲むなら安酒じゃ無いと違和感が有る」

「それじゃあ遠慮無く」


そうして物静かな夜の街を、ベンツは駆ける…目指すは東京都心、〝国営日本魔術師局〟…またの名を〝八咫烏〟…日本全国の魔術師が所属し研鑽を共有し、有事には協力し、日夜無尽蔵に出没する〝魔の者〟を滅する者達、その本拠だ。


「……この綺麗な夜景が〝労働者〟の負の証だと思うと物悲しい気分になるねぇ」

「…ワインが不味くなるわ、やめて」



○●○●○●


「――ッ、来たようですな」

「あれまぁ…随分と機嫌がええですなぁ?」

「相変わらず馬鹿みてぇな魔力してやがんなァ…」

「…どうでも良いわ」

「あら、〝相変わらず〟目の敵にしてるのかしら?…〝蛇は嫉妬の象徴〟と言うけれど〝蛇使い〟の貴方もそうなのかしら?」

「ッ…殺すわよ〝鬼混じり〟」

「ウフフッ、お怖い事」

「喧嘩はやめて下さいよ…貴方達が暴れると洒落に成らない」


其処は〝八咫烏〟が所有する敷地、其処に立つビルの最上階…月に一度行われる〝特別な会議〟の時間。


其処に揃う並々成らない魔力の〝猛者〟達は、その…此方へ迫りつつ有る〝強大な魔力〟を受けて其々に反応する。


彼等、彼女等は〝魔術師〟で在る…しかし、その存在を他の魔術師が見れば皆一様に畏敬の念を示すだろう。


其処に集まる僅か十名の〝魔術師〟こそ…いまや神秘と科学が混ざり合った世界、その島国で〝魔術師〟達を束ね、彼らの先を先導し進む者達なのだから。


そしてそんな〝魔術師の最高峰〟足る彼等が一同に会するがこそ、〝特別な会議〟なのである。


●○●○●○


さて、こうしてエレベーターに乗って居る間に、〝現代の魔術師〟…その〝階級〟について説明しよう。


〝階級〟とは言うものの、ソレが指すのは即ち分野毎でのその〝魔術師〟個人個人の〝総合値〟だ。


例えば同じ魔術師でもその分類は二つに分けられる…ソレは〝魔術研究者〟か〝戦闘魔術師〟か。


〝魔術研究者〟とはその名の通り現存する魔術の分析、解析、理解し改良する…或いは過去の…〝古代の魔術式〟の解読、解明等や、〝魔道具〟等の立案等様々な研究を行う〝魔術的な研究者〟の事を指す…無論彼等は〝科学者〟と連携を取ることも有る…科学的知見は或いは魔術の研究に役立つ事も有るからだ。


対して〝戦闘魔術師〟…〝魔術〟を〝攻撃〟へ転用し妖魔や危険な魔術師と戦う人間はコレに分類される…此方も魔術師としてある程度の研究はするがソレが〝戦闘〟へ特化した物で有ることが多い…その分研究者側の魔術師よりも〝鎮圧、排除〟等の荒事を任される事が多い…そして、研究者側が科学者ならば、此方は警察、自衛隊等の国家組織とも連携する事が有る。


言う成れば〝理の魔術師〟と〝戦の魔術師〟が居る…そして其々、無数の評価基準が有る。


ソレが〝最上の天鋼級(アダマンタイト)から最下の鉄級(アイン)〟に分かれし階級制度である。


魔術師はそれぞれ天鋼、金剛、金、銀、銅、鉄の六区分に分けられ、その区分の中でも三段階に分かれ魔術師は評価される。


例えば研究者ならば〝理の上銀〟、コレは〝魔術研究者〟としては〝銀級〟の能力を持ち、その〝銀級〟の中でも〝上位〟の能力を持っていると言う事だ。


そして戦闘魔術師ならば〝戦の下金〟と言う風に…それぞれ区分されソレに見合った仕事が割り振られる。


無論その枠組み以上の能力だと判断されれば位は上昇し、より難易度の高い仕事が与えられる…無論そうなればソレに見合った報酬も与えられる。


そしてその二つの資格は何方か片方だけしか持てない…と言う訳ではない…研究と戦闘の両立が出来る魔術師は極稀に居る…勿論私もその一人だ。


「ハァ…見世物小屋の動物の気分だったよ全く…しかしまさか、〝魔術学園の教員〟と言うだけで〝中銀級〟に成るとは思わなかったね」

「それはそうよ、私が創った学園は日本一と言って良い魔術師の学園よ?…其処の教員に成る事がステータスだって人間も居るくらいだし」

「つまらない〝自己顕示欲〟だねぇ…まぁその欲も使いようか…」

「そろそろ着くわ、さぁ…貴方のお披露目と行きましょうか♪」

「止めてくれ…と言うか目的が変わってないかい?」


そうこう言いつつもエレベーターが音を立てて開く…その瞬間。


――オォッ――


濃密な魔力の大瀑布が私の身体中を包み込んだ…まぁ、知っては居たが。


「フフッ…中々唆られる…」


字波君(日本一の魔術師)〟が態々呼ばれる魔術師の集会何だ…当然彼女に迫る程の逸材で在って然るべきか。


「――あら、皆さん随分とお早いのね?」

「貴女が遅いだけよ〝字波美幸〟…一体私達を持たせる何てどう言うつもりかしら?」

「あら?…指定時刻の3分前の筈だけど?」


そして同時に、険悪な雰囲気を纏う一人の美女がその目を鋭くして字波君を睨む。


あれだね、見てくれは美女同士のじゃれ合いだけど…全く微笑ましくない、なんというか血の様にドロドロした、或いは殺伐した雰囲気だ…スゴクコワイ。

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