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魔人教授の怪奇譚  作者: 泥陀羅没地
第一章:謎だらけの教職者
44/317

後片付け

どうも皆様泥陀羅没地でございます。


投稿が遅くなって済まない…。


そして、コレにて一章は完結、第二章は明日をお楽しみに!…。

――カッ…カッ…カッ…カッ…――


「――いやはや、実に大したものだよ」


閑散とした赤黒い道を進みながら、私は感心しながら虚空に言葉を投げ掛ける。


「遺物そのものの売買ならば、何処の誰でも出来るだろう…だが、事解析から実験となれば膨大な時間と潤沢等では到底足りない〝金〟が掛かる物だ…〝欺瞞の禁薬〟…〝フェイカー・ウィザード〟…運に恵まれたのだろうが、しかし…それでも百数十年しか生きられない生き物の身で、良く〝兵器化〟まで持っていけた物だ……素直に感心し…君を〝優秀な研究者〟だと認めるに何ら異論は無い」


無論、その言葉に返される言葉は無く…屍肉の道を進みながら、私は扉に立ち止まる事無く〝進む〟…。


――ズズズズッ――


「――〝風病の侵槍(ペスト・エア)〟!」


その瞬間、私を出迎えるのは一人の〝魔術師〟による歓迎の魔術だった……だが。


――ズガァンッ――


その魔術は私の身体を通り抜ける、扉を破壊して消滅する…。


「〝霊体化〟…肉体と霊体の〝変換〟だ…奥に魔術師が籠もっていると分かっているのに何もしない馬鹿は居ないさ……さて、自己紹介は不要だね、さっきの彼らとの会話は聞いてただろう?」

「クソッ…まだ終われないのだ…私は…!」

「しかしまぁ――」


――バシュンッ――


「ギァィィッ、あ、ァァッ…う、腕が…」

「〝知識〟は有っても〝商才〟は無かったねぇ…〝毒物〟の取引は治療薬もセットでないと行けない…出なければ誤って毒を摂取した場合、解毒出来なくなるからだ……大方、アレを売った金を資金に治療薬を作ろうとでも考えてたんだろうけど――」

「わ、私を…!…私を殺せば、〝治療薬〟は作れなく成るぞ…!……資料は全て燃やした、治療薬の構想資料もだ…!……もう、私の頭にしか無い…!……お前に私は殺せ「所で君」」


私は腕を抱き寄せ息も絶え絶えな彼へ、一言二言質問を投げる。


「〝夜門〟…瘴気の凝縮による異界化及び魔物創造現象が、もし〝人為的な物〟として…ソレを誰にもバレずに、且つ2ヶ月に1度と言う頻度で起こす様な人物…一体誰だと思う?」

「は?……〝夜門〟は自然災害の様な物だろう?」

「〝常識的には〟…ね、だからこその〝もしも〟だ、君は悪人だが、その知識は目を見張る物が有る…だから、君の見解が聞いてみたい」

「……先ず、夜門は世界各地で置きている…1国家如きでは成し得る事など出来ない筈だ」

「では?…」

「……世界を掌握し、支配できる程の存在……〝神〟ならば、出来るだろうさ」

「ほぉ……神?…荒唐無稽だが、面白い解釈だ」


そうか…神…ね。


「成る程……結構だ…それじゃあ死に給え」

「ッ……貴様、話を聞いていなかったのか!?」


聞きたい事も聞き終え、それじゃあ殺そうかと言うその時、またもその男は吠える…全く、命乞いを聞く暇は無いのだが…。


「無論聞いていたとも」

「ならば、私を殺せばどうなるか分かるはずだ!…既に世界各地で試作品の蔓延は始まっている…私を殺せば、何万人の生命が消える!…仮に私以外で治療薬を作る事が出来たとしても、1年は掛かるだろう!


――パサッ――


私は叫ぶ彼の命乞いを聞き流しながら、懐から一つの資料を取り出し彼へ投げ付ける。


「――何だ、コレは…?」

「〝欺瞞の禁薬〟…いや、君の〝変異薬〟の治療薬のレシピだよ」

「…は?」


その資料の正体を明かすと、彼はその顔を惚けさせ…そして顔を真赤にして叫ぶ。


「う、嘘を吐くな!…私の研究成果をたった数日で他人が理解出来る訳が――」

「妖魔化の原因は肉体と薬品内に内包された妖魔の血液の同化だ、言ってしまえば肉体を蝕む呪毒だ…ならば、肉体に混じってしまった妖魔の血と汚染を消毒すれば良い…呪いの浄化は聖水や浄化の丸薬等手段は豊富だし、後は壊された魔術回路の修復だが…〝日本薬鳴根(ニホンマンドラゴラ)〟の魔術回路活性化を魔術回路再生に使えば良い…手間も時間も掛かるが、死ぬよりはマシだろうさ」

「嘘だ……有り得ない…」


怒りと焦燥に叫ぶ彼へ、私は懇切丁寧に説明する…既にこの薬品の製造方法については八咫烏に送ってある…後は八咫烏から他の外国魔術師局へその情報とレシピを広めれば良い…諸外国は薬物汚染が食い止められてハッピー、日本は外国からの信頼を稼げてハッピー、私はレシピの特許で潤沢な資金を手に入れられてハッピー…良い事づくめだねぇ!…。


「私の…私の研究成果がそんな簡単に…嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘……」

「それじゃあ、そう言うわけだから…君はもう〝不要〟だよ」


――バシュンッ――


壊れたラジオの様に同じ言葉を繰り返す存在と化した彼の首を跳ねる……すると、静寂と死の匂いだけが私を取り囲み…その甘く誘惑的な〝飢え〟の感覚が私を侵す。


「フゥ……コレで一段落だね……」


さて……帰ろうか。



〜〜〜〜〜〜〜


――ゾリゾリゾリッ――


「ッ〜〜〜!?!?」

「やぁアル…終わったよ〜……それで?…満足行く〝食事〟は出来たのかい?」

「『うむ…今はデザートの時間だ…此奴一人で鱈腹喰らえた…満足だ』」


――べキャッ――


「それは結構…それじゃ、そろそろ帰ろうか…字波君には散歩と言ってあるとは言え、2時間以上連絡が無いと不審がられる」

「『うむ、良いぞ……この肉塊どもは?』」

「良いよ良いよ、もうそろそろ〝到着〟するから……ほら、来たよ」


私はそう言い、アルと入口に目を向ける…すると、其処からは全身黒尽くめの〝仮面の団体〟が到着する。


「やぁ…待ってたよ〝屍霊会〟の諸君…契約通り此処に散乱してる血肉は全部持っていって構わないよ…これからも〝長い付き合い〟に成るだろうからね、サービスだ」

「えエ、ボすから聞イてヤスZe…しかしたまゲた、こんな量ノ〝御馳走〟に有りつケルたァ…恩ニ着やすゼ、魔人ノ旦那ァ…〝毛の一本〟も残しやせんぜ?」


私はゾロゾロとこの室内に入り込んでくる彼等にそう言いながら、その場を後にする……その背後では、愉しげな笑い声と仮面を外す音が響いていた…。


「『成る程……妖魔共を死体処理に使うか…やるではないか』」

「足売婆婆をボスとした妖魔で構成された死体処理専門の〝組織〟だよ、死体処理だけじゃなく、情報屋の側面も持つ…そのボスである彼女と偶然知り合ってね」


死体処理の仕方は…言わずとも分かるだろう?…。




――グチャ、グチャ、グチャッ――


――ゴクンッ――

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