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魔人教授の怪奇譚  作者: 泥陀羅没地
第一章:謎だらけの教職者
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熱狂は過ぎ行く

どうも皆様こんにちは、泥陀羅没地です。


今日も遅い投稿と短めです…すまない、本当にすまない。

「――うわあぁぁッ、負けた!…あとちょっとだったのに〜!!!」

「コラ馬鹿者、暴れるんじゃない」


――ゴンッ――


「ミギャッ…傷付いた弟子を殴る何て酷くない師匠!?」

「自身の稼働限界を見誤った馬鹿弟子にはコレくらいの扱いが丁度良いだろう…全力を以て臨むことは素晴らしいが、勝負に充てられてその辺りを疎かにすると生命は不要に散らされる等それこそ論外だ…早死はデメリットしか産まないよ」

「グゥ……反論の余地が無い…助けて椿ちゃん!正論に殺される!」

「あはは…元気なのは良かったけど、流石に今回は結美ちゃんが悪いよ?…でも、お疲れ様」

「そんな〜!」


伽藍洞な医務室の中で、馬鹿弟子に軽い御説教をしながら労う…肉体の損傷は無い…重度の魔力切れによる昏倒のみだが…釘は多く差しておくべきだろう。


「兎も角お疲れ様…優勝には至らなかったとは言え想定よりも好成績を残せたのは重畳だ、君達も今後の課題は見えて来ただろう…今は休息と課題の見直しと課題に対する対処法を思案しておくと良い」


そして、私は医務室から背を向け…会場へ向かう。


「……で、どうだった〝アル〟…収穫は?」

「『言われた通り持ってきたぞ…さぁ、対価を寄越せ』」

「結構……〝狡知〟、コレを解析に掛けてくれ」

「『〝了解〟…〝例の研究〟については〝記憶〟の記録書庫に保管しておこう』」

「分かった……さて、残す所後十数試合…それまでに必要な情報は集めておこうか」


はてさて…新鮮な〝肉〟は何処に保管していたかな?…。



○●○●○●


――ドゴォッ――


「『凄まじい魔術の応酬!…高原選手、大倉選手、依然魔力に衰えが見えません!』」


一方でその頃…試合会場では驚くべき事に二人の魔術師がその身に滾らせる膨大な魔力を用いて、凄まじい魔術合戦を繰り広げていた。


「〝射殺すは土塊の一矢〟!…〝土塊の矢(ロック・アロー)〟!」

「〝吹き乱れろ〟!…〝突き抜ける風(ウィンド・バースト)〟!」


その圧倒的とも言える魔術の規模に、観客は沸き立つ…しかし。


「――ハハッ、ハッハハハッ…!」

「どうだ、見たか…!」


その〝魔術〟の威力の陰に隠された…欺瞞の〝脆弱〟は浅ましい堕落の跡は、〝研鑽を知る者達〟には…小さな〝違和感〟を与えた。


「〝土塊の槍〟…!」


――ガシッ――


そして、その魔術の応酬を暫くして…1人の青年…高原彰人はその手に土塊の槍を握り――。


――ドクンッ――


「〝身体強化〟!……オォォォッ!」


その強化された五体を駆使し…相手へ向けて投げ付けた。


――ブォンッ――


「ッ――!?」


その槍は優に音を超え、崩れながらもその先で風を操る青年へ直撃すると…その意識を奪い、静寂を引き戻す。


「フハッ、あっははは!!!…やったぞ、勝った!」


歓声の中で、その青年はそう言い笑う……その笑みは、酷く〝醜く見えた〟…。



そうして、何人もが負けては勝ち進み、数を半分、また半分と減らし…等々準決勝…。


「……まさか決勝戦じゃ無く、準決勝でお前と当たるとはな…」

「えぇ、長きに渡り競い合った我々(四家)の勝負としては少々華が足りない気がしますね…」

「ちげぇねぇな…しかし、まさかお前様にと拵えてきた隠し玉がお前との勝負以前に割れちまったのは驚いたぜ」

「えぇ、私も…我々はどうやら、他の魔術師を過小に評価し過ぎていた様ですね」

「……んだな、其処は反省しねぇとなぁ…油断大敵を学び直す良い機会に成った」


其処に立ち並ぶのは二人の男女…言わずとしれた名家の二人…二人はそう言い…互いに眼前の相手へ臨戦態勢に移り…そして、言う。


「「それはそうと…」」


それは宿命か、或いは因縁…長きにおいて絡まり、決して離れて切れることは無かった因果の糸。


「巌根と土御門…この二家が同時期に同年代だ…」

「えぇ…ある意味でコレは、互いの家、何方が優れた〝教育〟を施したのかを示す機会なのは確か…ならば」

「「負ける訳には行かない(な!)…!」」


〝土御門〟と〝巌根〟…日本が誇る四大名家が二つの〝戦い〟が、今正に…始まろうとしていた。


「『それでは準決勝!…〝巌根氷太郎〟選手、〝土御門九音〟選手!…両者因縁の勝負が始まります!』」


沈黙…緊張、好奇、興味…様々な視線が飛び交う、恐らくは今年尤も待ち望まれた勝負が今――。


――〝ピィィィッ!!!〟――


〝始まった〟……。




○●○●○●


「そろそろ今年の大会も終わりだなぁ…んん〜!…いや、やっぱ面白えけど腰が痛えわ…」


会場に〝激動する〟…〝青〟と〝赤〟を目にしながら…その黒いローブの男はその身体を軽く捻りそう言い、ケラケラと笑う。


「んで…予想通り〝奴さん等〟は人の話を聞かなかった訳だが…どうだ相棒?」

「…問題無い…タイミングは此方で指定する…お前が〝やれ〟…」

「あいよ〜……しっかし…俺ってば散々忠告してやったのに〜…まぁ、聞いてないって分かった上でやったんだが…可哀想になぁ〜」

「……思っても居ない事を」

「そりゃトーゼン、俺ってば悪党だからな」


そう、轟音と熱狂の中で言葉を交わし合う二人の背後を〝猫〟が通る…。


「……」


〝白い猫〟が…その金の瞳を光らせてそのまま過ぎ去った。


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