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魔人教授の怪奇譚  作者: 泥陀羅没地
第四章:曲げられた神秘と論理
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有るべき世界の為に

どうも皆様こんにちは、泥陀羅没地に御座います。


先日は投稿出来ずに申し訳無い。


生憎と最近は作者自身が忙しく中々出力する時間が無くてですね…出来るだけ時間を縫いて作成しておりますが、毎日投稿が出来なくなるやも知れないことを告白しておきます…何時もいいねやら感想、誤字脱字の報告等で支えてくれている読者の皆様には申し訳無くおもいます。


なるべく皆様により良い〝作品〟を毎日提供出来るよう、頑張りますのでどうかこれからも御愛読下さい。

――シーンッ――


路地裏に響く、響く、響く…私の声が、不身孝宏のそれはもう自身に満ちた〝問い掛け〟が、湿気た、陰鬱な…不衛生な路地裏に虚しく響き渡る…その問い掛けに返答は無い。


「――返答は無し、つまり対話の余地は無いと…ならば結構、やる事はシンプルだ」


彼等の無言の回答に私は頷き、路地裏の地面を小突く…その瞬間。


――ズドドドドッ――


「「ガァッ…!?」」


この路地裏の地面が隆起し、隠れ潜む者達を空に打ち上げ私の前に放り落とす。


――ドサドサッ――


「無駄な抵抗は止め給え、大人しく私の問いに答えてくれたなら悪い様にはしないよ?」

「――な…にが…?」

「い、隠蔽がバレた…馬鹿な…」


そして改めて、私の目に映るのは二人の〝男〟が岩の〝拘束具〟で全身を覆われ這い蹲る…無論、顔は知らない今始めてこんにちはな赤の他人…接点と言えば彼等が私を〝狙っている〟と言う僅かな〝縁〟だけ。


「さてでは改めて…〝君達〟は〝何処所属〟で〝誰〟なのか、〝私を尾行する目的〟を答えて欲しい」


そんな彼等に私が問うと、彼等は敵愾心の籠もった眼差しで私を睨むだけ…それはまぁ分かりきっていた事だ。


「……そうか、〝沈黙〟か……忠告はしたよ?」


その言葉に彼等が〝冷や汗〟を流す…しかし、私は魔力の放出は疎か、術の構築さえ行わない…彼等の表情が緊張から当惑に変わるのに時間は掛からなかった…だが、その表情はその直後――。


――ズドォッ――


背後から迫る白描の一撃によって砕け散り、或いは突然の相方の死による〝呆然〟を引き摺り出した。


「『――語る口は一つで良かろう…文句は有るまいな、我が主よ?』」

「――うぅん…一応何方がより情報を持っているか分からない以上、下手に片方を殺すのは良策とは言えないかなぁ…まぁ、どうせ何方かは処理するつもりだったんだけどね」


ほら、此方が〝人を殺さない人間〟とか思われると困るし。


「さて…次からはこう〝簡単〟には殺さない…より長く苦しく、精神的に苦しませ、弱らせ…情報を吐かせる…最後に〝問おう〟…君達の〝目的〟が何なのか…答えて貰おう……答えてくれれば君を〝無事に無傷で返す〟…多少の記憶は弄らせて貰うがね」


私の言葉に、彼はその顔を俯かせ…〝葛藤〟する…しかしやがてはその葛藤を終わらせて結論を出す…。


「わ……〝我々の目的〟は…〝世界を正す〟事だッ…」

「〝世界を正す〟とは?」

「――〝魔術の無い世界〟だッ…人類が拓いた〝文明の根幹〟に〝魔術と言う不純物〟が成り代わる等…ましてや〝魔術師〟が我が物顔で非魔術師を見下す等到底許されん…!」

「私としては君等も彼等も等しく〝同レベル〟だと思うがねぇ…」


其処の所はどの時代、どの世界、どの文明においても何ら変わりないか。


「同レベル…だと…巫山戯るな…」

「……ん?」

「巫山戯るなッ…世界の未来を憂いより良い明日を願う我々を〝今を貪る傲慢者〟共と同列に扱うなッ!」


その時、私の言葉が逆鱗にでも触れたのか…尾行者の彼はその身体をジタバタと暴れさせ、顔を赤くする…。


その行為自体に、それほどの意外性も異常も無かった…〝その時〟までは。


――ガチャンッ、ガタガタガタッ――


「……?」

「巫山戯るなッ、巫山戯るな、巫山戯るな、巫山戯ルナァ!」


私はその刹那、身体を藻掻かせて騒ぎ立てるソレの異常性に〝遭遇〟する…その〝異様な怒気〟に。


「『何だ此奴…餓鬼の癇癪か?…喧しいな――』」

「ストップ〝アル〟…何か可笑しい、人間誰しも感情の抑制が効かない時は有るが、それにしたって〝不自然〟だ…」


怒髪天、有頂天、逆鱗に触れる…怒りの大きさを表す尺度として使われる〝表現〟はそれなりに有るが、この〝怒り〟は凡そソレの様な〝正常性〟は見受けられない。


それは日常会話の些末な〝意識の差異〟に理不尽なまでの怒りを覚える様な…子供の様な理性の無い〝我儘な怒り〟の様な…そんな〝不気味で稚拙な怒り〟だった。


過激な思想に染まっているとは言え…〝彼等なりの常識〟が有ればその程度の事で怒る筈が無い……ならば、考えられ得る原因は――。


「我々は〝正義〟の為に、崇高なる使命の為に多くの同胞と共に歩みッ、礎にしてきたのだッ!――貴様等の様な〝弱者を養分にする外道〟共とは違うッ…理想の為に〝自ら〟をも犠牲に出来る我々こそが〝正しい〟のだ――!!!!」


――キィィィンッ――


「ッ――成る程…〝視えた〟ぞ…!」


その時、凄まじい〝力の奔流〟が彼を起点に渦巻いてゆく…その対面に居た私を周囲諸共に吹き飛ばして。


「『〝タカヒロ〟!』」


――ドッ――


その奔流が私をも〝呑み込む〟刹那……アルが私の身体を咥えその場から退く。


「クッ――〝ありがとう助かった〟!」


寸前で抜け出した私は、その拡張を続ける〝奔流〟を前に〝真球状の物体〟をその中に投げ入れる。


「〝圧縮術式装具(プログラム・スフィア)〟――〝展開(エクスペンド)〟」


その投げ入れた〝球体〟が凄まじい〝瘴気の群れ〟に飲み込まれ、その存在を消失させる…その光景に、何も知らぬ者達は〝不発〟かと思うだろう…しかしその直後、その瘴気の躍動は〝この世界〟に何一つの害を起こす事はなく成る…何故ならば〝瘴気の群れ〟と〝我々〟とは次の瞬間――。


――ザザザッ――


我々は無数の数式と汚れない白で作られた無機質な〝心象〟に閉じ込められる。


「――〝GOOD(結構)〟、趣味と〝研究資金目当て〟を兼ねて作った〝消耗型魔術媒体エクスペンド・スクロール〟…術式の性能は本来の〝4分の1〟と言ったところかな?」

「『コレでか…化物め』」

「コレはコストが高いからね、私の構築理論と最高の素材で作った代物だ…効果は推して知るべしと言った所かな……っと」


――ボタボタボタッ――


自身の創作物の自慢をしていた所で、私の身体が膝を突く…何と言う事はない。


――ボロッ――


ただ、瘴気の群れに飲み込まれた片腕から血と肉がズリ落ちただけの事…いや。


「『フンッ…あの瘴気に〝奪られた〟か』」

「フフッ…その様だ、奇妙な術式…いや、〝性質〟か…ッ♪、それにどうやらそれだけじゃない」


――ブンッ――


「〝肉体〟の改造とは…恐ろしい真似をする」


切り離した腕を蹴り飛ばす、それは刹那私の意に反し私へと肉薄しようと手を伸ばし…刹那に私の腕の〝皮を着た自立兵器〟がその身の〝自爆装置〟を起動して爆散する。


「〝性質の分類〟は、そうだな…〝分解と構築〟か…〝生物工学〟と〝人型機械(アンドロイド)〟の融合…そうだね、より的確に表現するならば――。」


その血煙の中に揺らめく〝淀んだ生命〟の成れの果てを私の眼は捉えながら…その千切れ飛んだ腕を〝黒い腕〟で補う…其処には。


「〝肉の歯車〟、〝人造人間〟…否、或いは遥か古来の〝御伽噺〟の名を取り、こう命名するのが妥当かなッ――」


肉と〝赤錆た歯車達〟…機械と人間を半端に混ぜた様な不気味で悍ましい化物の姿が有った…その姿を目にし、私は私の粗末な口と身勝手にも知恵を吸い取るだけの脳髄から知識を引き出し、その化物の名を紡ぐ…。


――「〝造反者(フランケンシュタイン)の怪物〟」――


……と。

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