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魔人教授の怪奇譚  作者: 泥陀羅没地
第三章:蠢動する人成らざる者
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未明の三つ巴、隔てられた外の狩り

どうも皆さんこんにちは、泥陀羅没地に御座います…投稿が遅れて申し訳無い…不調で頭が働かなくてですね。


少し短いですが、御容赦下さい。

――ザッザッ――


さて…格好付けて戦線の火蓋を落としたは良いものの。


――ドゴォォンッ――

――ズドドッ――

――ビキィッ――


「オイオイどうした爺共ッ、逃げてばかりじゃあ私を殺せねぇぜ!」

「「ヒィィィッ!?」」


どうしようかなコレ!?…普通に死ぬんだがァ!?…。


「「作戦タイーム!」」

「認めねぇ!」


デスヨネー!……いや、本当に不味い。


――ヒュンッ――

――ガリガリガリッ――


単純な身体能力でも私では手に負えないと言うのに、地の利は相手に有る…オマケに――。


「おらよぉ!」

「ブッ――ゴフッ…!?」


既に我々は〝囚われている〟…この屋敷、果てなく広がる屋敷の世界に…つまり、もう逃げ場は無い……唯一の脱出手段は――。


――ヒュウゥッ――


〝彼女〟を瀕死及び殺害する事での屋敷に掛けられた術を解除させる事だ。


「――良いタイミングッ!」


――ガシッ――


吹き飛ばされた先で漸く止まると同時に私の手元には今最も欲しい〝駒〟が現れる。


「行ってき給え〝ぬらりひょん〟、君が食い逃げした分は働いてもらうよ!」

「ヌォォォッ!?!?」


同じく吹き飛ばされたのだろう彼を掴み、彼女の方へと投げ返す…。


「老人を投げ飛ばすとは貴様ァァァァァッ!?!?!?」

「避けるなよ爺ィッ!」

「避けるわッ、避けんと死ぬわッ!」

(チィッ、小娘の本領では流石に儂も奴も一歩劣るかッ)


――ブォンッ――


「チェリャァッ!」

「踏み込みが浅ぇ!」


――ギャリィンッ――


投げ飛ばされた老人が宙を突き進み、やがて地面へ足を着けて眼前の美女へと刀を振るい、美女の刀と老人の刀が火花を散らす。


「――グヌォォッ、重い重いッ!?」

「良々、彼女との接近戦は彼に任せよう…」

(とは言え、結局彼が死ねば矛先は此方に向く…)


そうなれば本末転倒だ、結局は酒吞の一人勝ち…それは困る。


((ならば))


「――〝妖刀解放〟――〝百速婆〟」


鍔迫り合いの最中、ふとぬらりひょんの姿が消える…その突然の出来事に酒吞が一瞬立ち止まり、即座にその身体を反らす…。


――ヒュィンッ――


その直後、彼女の真横を鈍色の刃が過ぎ去り…其の場から飛び退く彼女へ老人は驚きを口にする。


「――ハハッ♪…良いぞ良い…〝そうじゃなきゃなぁ〟!」

「クッ…出来れば使いたくない手札を使ったと言うのに…どんな視力しとるんじゃお前は!?」


そしてまた二人が向かい合ったその瞬間…。


――カァァァッ――


彼女達が身に迫る巨大な魔力の圧力に其の場を飛び退く…。


「「ッ――」」

「チッ……流石に此処までの出力は隠しきれないか」


その刹那、二人の居た箇所を焼き切る魔力の熱線が無限に続く屋敷を突き破り、破壊してゆく…それを見ながら、私は私の隣に現れた彼へと怒りを口にする。


「避けるんじゃないよ、もう少し惹きつけるか足止めしてくれないと…折角のチャンスだったというのに」

「阿呆ッ、儂諸共殺す気…じゃなぁ!?」

「まぁね……まぁ其処は置いておくとしてだ!」


――ガチンッ――


「フゥゥゥッ……良いぜ、2対1か?…ちっとばかし熱くなってきたぜ…久し振りに大暴れ出来そうじゃねぇか♪」

「どうやら彼女もやる気に成ったらしい…分かっているね?」

「無論……〝一時共闘〟じゃな」


(流石にこのままじゃ負けるのならば)

(例え敵でも手を組まざるを得ない)

((コレを殺すのはその後だ))


そして、私とぬらりひょんは殺意に塗れた手と手で握手を交わし、眼前の災厄へと相対するのだった。


「それじゃあ〝彼女〟の足止めは任せたよぬらりひょん君ッ…どうせ君、まだ手札〝溜めてる〟んだろう?」

「ッ……じゃから使いたく無かったんじゃ……!」

「景気良く吐き出し給え、序に相打ちで死んでくれると助かる!」

「貴様を殺すぞ!?」





●○●○●○


――パパパパンッ――


「フフフハハハハッ!――腕、脚、脳ッ、心臓!…そこそこの妖魔が湯水の如くに湧いてくるッ、今年は豊作だねぇ!」

「な、何だこの爺――ィィッ!?」


――ズドンッ――


妖魔の群れが無数の閃光に倒れ伏す…一面に転がる妖魔の死肉の上で、頗る上機嫌に一人の男が高らかに笑う。


「――〝クレイヴ〟、次の波が来ます」

「ククククッ、おかわりか…いやはや、コレでは〝倉庫〟が素材で溢れかえってしまうのでは無いかな?」

「なら、〝国に売る〟…この質なら1匹辺り〝200〟は余裕」

「市場は常に妖魔の素材不足だからねぇ…名だたる企業、国、裏市…買い取り手は多い……だからこその〝魔術師局〟なのだろう…安定した給与を支払い様々な保証を提供する代わりに、討伐した妖魔の大半を国が確保する…企業は国への依頼と言う形で魔術師を動かし、妖魔の素材を得る…日々進化する科学と研究には莫大なリソースが必要なのは当然…其処に渦巻く金の流れはナイアガラ何て目じゃない程に急流で――」

「御託は良いから備えなさい」

「――おっと、コレは失礼…しかし、これだけの素材があれば懸念していた研究データの不足も余裕を持って補えるだろうと思ってね…君も〝私〟なのだから、その気持は分からないでも無いだろう?」


その言葉に女性は沈黙し…話題を逸らすかの様に二人の男女へと指示を出す。


「――兎も角、今は〝全知〟より与えられた仕事を熟しなさい、貴方達の趣味談義は今は控えなさい」

「――うん…それは正しい…それと、後で〝全知〟に〝増員〟要請を出しておく…3人だと効率が悪い…もっと新たな〝心異体〟を増やした方が良い」

「その意見には賛成だねぇ」


そして、またもざわめき出した暗い森を前に3人は、それぞれがそれぞれの手段で妖魔達との蹂躙(戦い)を再開するのだった…。

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