再会
はじめまして。
文章を書いてみたくなりました。
何かとわからないことだらけですが、よろしくお願いします。
高校の同窓会が開かれることになった。
私が高校を卒業してから数十年、一度も同窓会の連絡が来たことはなかった。
なのでとても驚いたし、嬉しくてすぐに出席の返事をして…思い出した。
行っても、誰も私の事を知らないのではないか、ということを。
私は元々田舎の中学校出身で、まあまあ都会の進学校に進学した。
周りは知らない子ばっかりで、田舎から出てきた私からしたらみんなが輝いて見えた。
必死に勉強して入った学校なのに、みんなは軽々と入ったように見えたし、勉強だけでなく運動もできて、部活も楽しんで、おまけに青春までしているような、そんなきらきらした人たち。
それに対して私は休み時間は図書室に行き、本を読み、授業中にも本を読み、案の定授業についていけずに落ちこぼれつつある毎日だった。
しかしきらきらした人たちは時に優しく、時に面白がって私に話しかけてくれ、私にも「友達」と呼べる存在ができた。
そして数十年たった今
遠方の大学に行ったこと、まだネットがこんなにも普及する前だったこと、就職も遠方だったことなどから連絡を取り続けている友達は本当に数名しかいない。その数名に聞いても「同窓会には行けない、あるいは行けるかギリギリまでわからない」とのこと。
参加の申し込みをしたことを、後悔し始めた。
知らない人たちの中でぽつんとしている自分が見えた気がした。
高校の卒業アルバムを開いて思い出そうにも、なぜか見つからない。
落ち込みながら、「なんとかなる」と言い聞かせて当日を迎えることになった。
同窓会の会場は元同級生がやっている大きな飲食店だった。
受付にいる人たちを見ても…誰も思い出せなくて、緊張感が高まる。
席に着くと、クラス順になっていて、近くに座っているのが数少ない友達であることに気がつき、ほっとする。
「来れたんだね~。」「久しぶり!」
嬉しい再会。
しかし、皆久しぶりに会う別の友達と話したいわけで…私は一人になってしまう。
会場を見渡してみると、確かに見たことがあるような顔がちらほらいる。いわゆる「有名な人たち」だ。
サッカー部、ラグビー部、バスケ部などで活躍し、友達が多い男の子たち。
おしゃれに敏感で、その子のプリクラを持っていると自慢できたかわいい女の子たち。
私は向こうを知っていても向こうは私を知らない。
いよいよ同窓会が始まり、数名が代表して近況報告をし(地元で親の仕事を継いだ社長、海外から一時帰国したサラリーマンなど…リア充ばかり)、
全員で校歌を歌い、ではご歓談を、となったところで…
私は、大勢の人たちの中で、孤独を感じていた。
そんなとき、突然腕を取られた。
「さくらちゃん。」
「えっ。」
どきっとした。みんないい大人になって、それなりにおじさん、おばさんになっているというのにそこにいたのはイケメンの…誰だっけ?
「オレオレ、るいだよ。」
「ああー!」
思い出した。高2の時に同じクラスだった、いつも気だるげな金髪イケメン。私の人生に関わることは無いような人種なのに、面白がってなんやかんやと話しかけてくれてきた時期があった。
「元気だった?今何してるの?」
「元気元気。実は今何もしていないんだ~。るいくんは?」
「営業やってるよ。」教えてくれた会社は、テレビのCMに出てくるような大きな会社で。
「さくらちゃんは、ちゃんと生きてるんだね~。」
「いやいや、専業主婦、いわゆる無職だよ。」
「でもね、同窓会に来てるってことは借金とかなくて、住む家があって、家族もちゃんとしてるってことなんだよ。そうじゃなかったらなかなかこういうところには来れないよ。」
私がちゃんと生きてる…そう思うとなんだか不思議な気分になった。
「ねえ、オレ、社長の考えで『一人一つは推しを持つべし』って言われて、推しの作家を作ったんだけどさくらちゃんの最近読んだ本教えてよ。
突然だな。まさかなろうの短編というわけにもいくまい。図書館で借りた「家事のシステム化」的な本を紹介しておく。
「そうなんだ~。勉強になるね~。ところでさくらちゃんは本は書かないの?」
「えっ。」
「オレの推してる作家さんも専業主婦から作家になったんだよ~。書いてみれば?ずっと本読んでたよね。」
そうそう、ずっと読んでました、本。
だからと言って本が書けるわけではない…。
しかし、何かのスイッチが入ったような気がした。
書いてみたい…。
突然ぼーっとしだした私を置いて、るいくんはお酒を足しに行った。
また一人になった私に、友達が慌てて声をかけてくれる。
「大丈夫?つぼとか買わされなかった?」
「大丈夫…。」
それから、るいくんと話すことは無かった。
話したことがなかった人とも話せたり、連絡を取っていなかった友達と連絡先を交換したり、総合的に見ればとても有意義な同窓会だった。
そして、私に創作意欲が宿った。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
何かと不慣れな点が多いのですが、今後も文章を書いてみたいと思っています。
よろしくお願いします。