ムサイ男達とビル崩壊
運命の糸が見えるライム。ライムの影響で少し見えるオーラ。二人はご飯を食べるために何故かアングラな建物へ入ってしまいます。奥には乱暴されつくした少女が横たえられています。二人のタッグで少女を救出して結果的にビルを崩壊させます。
繁華街の路地裏。汚れた服をそのままに力なくうずくまる男たちが数人。二人の少女はおよそ場違いの場所を歩いていた。
「おい、ヤバくないか?」
「いや、こっちで良い。お?この扉の先らしいぞ」
扉を開けようとすると鼻にピアスをした小太りの男が二人の横に歩いてきた。
「なんだ?お前たち?あれか?ここで餌になりに来たのか?ウヒヒヒ」
いけない薬でもやっているのか、口の端から泡とよだれが垂れる。
「ちょ、何するんだよ!」
男がオーラの手を掴んだその瞬間、ライムの体がフッと浮いて、回転しながら男のこめかみに小さくて細い足がクリーンヒットした。男はそのままゆっくりと地面に崩れ落ちるのと同時にライムも地面に着地する。
「よし。威力は全然だけど、行けそう」
「え?って、ちょ、行くのかよ」
手を引くライムが口角を上げて微笑みながら上を指す。
「あの方向に飯の匂いがする」
どう見てもあらゆる意味で闇にしか見えない空間を指さすライムにオーラは戦慄を覚える。
「マジで行くの?」
「いっくよー!」
駆け上がった突き当りのドアを勢いよく開けると、大勢の男に囲まれた少女が床に横たえられていた。
「なんだ?」
「お、追加か?」
「こいつらもやっちゃおうぜ!」
どう見ても数人ではない。闇から次から次へと、むさくるしい男が湧いてくる。
「お、おで、あの赤髪、良い」
天井に頭がつくほどの全裸の巨漢がオーラ目がけてゆっくりと歩いてくる。
「うわっ、ヤバッ。あいつ早速壊しちゃうぜ」
オーラは一瞬、その巨漢の方を向いたが、すぐに元の位置に戻った。歩いていた巨漢は歩みを止め、ゆっくりと崩れる。
「凄いな、オーラ。全然見えなかったよ」
「どうでも良いから、早く出ようぜ。飯食わせてくれなさそうじゃん」
「いや、この娘を助けていくよ。って、ヤバッおもっ」
ライムよりも少し大きなその少女をギリギリ担げない。オーラはやれやれと言った感じで少女を担ぐと外に歩き出した。
「ちょっと待てよ!誰の許可で好き放題やってるんだ!」
ライムの頭をガシッと掴み、リーゼントをした革ジャンの細い男がすごむ。
「あらあら、貴方がリーダーさん?命とお金どちらが大切かしら?」
ライムが口調を変えてゆっくりとその男を見る。あまりの不気味さと気迫に腰を抜かしそうになるが、すんでの所で耐えてライムを男たちの中へ放り投げる。
ドサッと落ちたライムはゆっくりと立ち上がり、男を睨みつけるが周囲の男どもが襲い掛かりライムの服を脱がせにかかる。
「くっ、いつの時代も馬鹿はいるもんだ!」
そう言うと破かれ脱がされた服を一瞬で脱ぎ捨てて男たちの頭上へ飛び出し、一足飛びに革ジャンの男の頭を蹴って天井へ着地する。
「身は軽いようだが、そこからどうする?出口は一か所しかないぞ」
薄っすらと見える小さなお尻が下の男どもをいやらしい表情に変化させる。
「ボス。誘ってますぜ。早くやっちゃいましょうよ」
ライムは多くの赤い糸の中にある最悪の糸を見つけていた。それらをまとめて柱に括り付け、その糸を反動にしてライムの所に戻った。
「なんて、身軽な奴!捕まえろー」
革ジャンの男がそう言うと一気に出口に向けて男どもが集まった。当然、餌に群がる愚かな獣と化した男どもは、ドア付近で身動きが取れなくなる。
「さて、行くよ」
ライムはオーラの手を取って降りるとメキメキっと音がして男どもが崩れながらドアを破壊して積み重なるように倒れた。
「待て!」
「待たないよー」
オーラは捨て台詞を吐くとライムに連れられて走り出す。その瞬間、地響きが大きくなって粉塵が舞い上がり、突風が巻き上がって三人を洋服屋の一角に押し込んだ。
ビルが倒壊し、大勢の人が何事かと集まる。
「お、ちょうど良い所に落ちた。その辺の服を着て逃げよう」
ライムとオーラは助けた少女と共にその場を後にした。
三話目投稿です。一週間に一回の投稿ですが、実は一週間に二話を目標に創作してます。きっと、何かの用事があったりして出来ない時があると思うので、先行して、で、作りすぎて気落ちしない程度に頑張ろうと思います。
読んでくださった方々に感謝です。