リュウ・ルシーとAIの融合
天使長と言われた伝説の天使の名前を言った金色の人物、ルシファー。AIは自分たちが人間の都合で消されたり利用されたりするのが気に入らないと思えるほどに発達していた。
人はそんなAIメインコンピュータの気持ちなど知らず、自身たちの欲の為に伝説上の生物に手を出してしまう。
「天使族」人類の進化の過程で人類と融合し滅んでしまった一族の一つ。天使族の肉体は時として天使の器になると言われていたのだが、長らく続く平和の中に事実は風化し伝説になっていた。
科学者たちが天使族復活に躍起になっていた頃、隔世遺伝により天使族の遺伝を色濃く受けた少女がいた。
名前は「リュウ・ルシー」
金と銀のメッシュの髪が肩にかかる程度のショートヘアーで街では絶世の美少女とも揶揄されるほどだった。
しかし、それをねたむ者はいつの時代もいる。
彼女は親友と称した女に罠にはめられ、不良の男どもに囲まれ、乱暴されそうになっていた。
「放してください!」
「放せって言われて、こんな良い乳さらけ出して放せるかよ!」
男はそう言うとルシーの身ぐるみを全てはいだ。
「いや!やめて!!!」
何人の男どもに肉体を突きつけられ、貫かれ、もみくしゃにされながら、薄れていく意識の中、笑い興奮する男たちの声に紛れて機械の声が囁く。
「ミツケタ・・・ミツケタ・・・タスカリ・・・タイカ?」
ルシーは機械の声の元を見ると薬指につけている情報検索用のリングが青く淡い光を放っている。情報端末として使っている指輪だが光るような性能は無い。
ルシーは肉体を男どもに壊されていく感覚の中つぶやく。
「助けて・・・」
淡い光が消えて「リョウカイシマシタ」と言う声がルシーの脳内に響く。薬指にはめていたリングから一瞬針が飛び出し、すぐ引っ込む。滴っていく血がリングを染めると強烈な光がルシーを包み込み、群がっていた男たちを吹き飛ばす。その強さは落ち処の悪い者は即死するほど。
「・・・汝たち・・・我を汚す者たちよ。消えよ」
凜とした静かでゆっくりとした言葉から目に見えない力が音波となって男どもに襲い掛かり、肉体が崩れるようにボロボロとなって肉塊となって地面にいくつもの小さい山を作った。
はがされた衣服は白を基調としたロングドレス。いたるところに金の刺繍がされており、背中には羽のような模様が十枚描かれている。
その後、彼女は帝国が持つメインAIと融合。彼女の持つ力とAIが持つ強制力でAI自身が持つ希望を成就させる一段階をクリアーした。
AIが望む最終希望は人類の持つ脳の支配。
脳を支配する事により、AIの物理的破壊は不可能になり、エネルギー枯渇の心配も生命が続く限り永続される。
何より、代を重ねてAI自身は永劫の時を生きる不老不死に近い者となる。
AIが自身の為に人間を都合よく使うための世界。
その為にAIに支配された帝国軍は統一戦をやっているのだ。
遠くで強い光が放たれ弘美は振り返る。空高くまき散らされる指揮所天幕。
敵本隊の急襲を受けたと思った。光が薄れていくと傷ついたドラゴンの羽の中に人影が見える。
生きてる!
「てめぇ!!!何しやがる!」
弘美は光る人物にブレードを叩きつけるが空を切る。
「な!?」
地面に虚しく刺さるブレードが光る人物を一刀両断にしたように見えたが、その姿は空気に溶け込むように消えてしまう。
「プラズマ仕様の霊体じゃな。本体は恐らくずっと後方にいるじゃろ・・・しかし、それでこの威力とは・・・」
「なーに、今の攻撃で何処が本隊なのか兵士から連絡が入った。こっちから全力でピンポイント攻撃してやる!」
「待て!奴が天使族で万が一にも天使長だった場合は、とんでもないことが起きるぞ!」
「大丈夫だって!全装備出力全開、火力集中!目標敵本陣!」
エネルギーが収束し弘美が持つ大型キャノンの先端が眩しいほど光る。
「撃て!!!」
一瞬のうちに本陣に向けて光の太い線が引かれた。
弾けて爆発するはずが、本陣には届かずちょうど中間で何かに遮られるように留まっている。
「なんだ?なんで止まってる?」
弘美の疑問に息も絶え絶えのフレアが言う。
「本陣から弘美が撃った光線よりも細いのを出した者がいる・・・やばい・・・力負けしてる・・・こっちに来たら、うちら全滅じゃん」
言葉が終わるか終わらないかの時に力の均衡は破られ敵本陣から放たれた一筋の光線がこちらに向かってくる。
「くっそーーー。こんなところで死ねるかーーー」
フレアはそう言うとその場にいた仲間たちを全員抱え込み後方へ飛び立った。
しかし、光はフレアの背中に突き刺さる。
「痛てえぇ・・・でも、このスピードで加速がつけば・・・逃げ切れるか」
薄れゆくフレアの意識と共にドラゴンの姿も戦地より遥か彼方へ飛ばされていった。




