運命の糸
二回目の投稿です。ライムもオーラも高次元の魂の持ち主。人と言う入れ物の中に間借りして現世界を生活します。その時々によって入れ物が変わるので、何度も入れ替わっている二人にとっては、生と死は連続性の物。今回も、人生で考えれば壮絶ですが、二人にとっては慣れっこ。そんな物語が紡がれていきます。
「いや~悪いねぇ~これも持って行きな」
「えへへ。ありがと~」
底抜けの明るくしわがれた声の年配の男性の声。
ゆっくりと瞼を開けると、眩しい日の光が射しこんでくる。
「う・・・ん?」
薄汚れた布をかぶせられていたライムがゆっくりと起き上がる。
「お、起きたな。どんだけ寝れば気が済むんだ。まったく」
そう言いながら賞味期限の切れたパンの塊をライムの腰元へドサッと置く。
少し口角を上げて笑う赤髪短髪の少女はオーラ。ライムは半ばボーとしながらゆっくりと立ち上がり、段ボールで出来た空間から出ると息を思いっきり吸い込んだ。
「おかあさまの!!!ばーーーーーかーーーーー!!!!」
すぐそばを流れる川には客のいない小型の船がゆっくりと下流へ流れていく。乗っている船員が声の主を見てギョッとし、少し顔を赤らめて視線を逸らす。しかし気になるのか、チョイチョイ視線がこちらを向きたさそうに頭が揺らめいている。
「ちょっと、な~に、あの娘。気がふれたのかしら。警察に電話した方が良いかしらねぇ~」
土手上からライムの姿を汚らわしいものでも見るかのように軽蔑した視線を送る買い物帰りの女性達。
「ちょ、おま、何やってるんだよ」
オーラは薄汚れた布をライムに被せて段ボールハウスに引きずり戻した。
「オーラおはよう」
「おはようじゃないよ!何やってるのさ!この時代では君は女の子なんだよ。そんな、無防備な格好でどうするのさ!」
布をとって、ライムは自分の体をペタペタと触る。一通り確認が終わると深いため息をつく。
「全部、母上が悪い。見ろよ、この貧相な入れ物!これじゃー戦闘が出来ないじゃないか」
ライムはため息交じりにオーラを見る。年の頃は私と大して変わらぬ入れ物に入ったらしい。健康体にも見えるし、運動もそこそこ出来そうだ。
「な、なに?何をじろじろ見てるんだ?」
「その体と・・・」
「いやだ!!!」
オーラの表情が一瞬で怒りに変わり間を取る。
「なんでだよー。これじゃ~動きづらいじゃない。絶対大人に見えないし。戦闘力激よわだし」
「今回は私はこれで良いの!ライムこそ、男の体で好き勝手にやりたかったんでしょ?」
「まぁ、仕方ないか。こればっかりは運次第だもんなぁ~まったく、ちょっとは休暇をくれても良いと思うんだよね」
ブツブツ言うライムを置き去りに、オーラはハウスから外に出て空を見上げる。スッキリとした雲一つない青空。でも、瞳には無数の赤く薄い糸が沢山見えていた。
「ねぇライム。この世界も沢山の糸が見えるよ」
ガサゴソとハウスの中で着替えながらライムが言う。
「当たり前だろ。生きるものがいるんだから。過去・現在・未来ってあるのは、知ってるだろ」
「知ってるけどさ、結局、糸の行き先は大きく変わらないじゃん。また、悲しいのも沢山あるのかな」
「この薄いのはパンティってものか?どっちが前なんだ?オーラ、ちょっと見てくれ。ん?どうした?そんな顔を真っ赤にして」
「俺が感傷的になっている所にお前はーーー!」
「いや、だって、これをはかないとダメなんだろ?」
「当たり前!ライムだって前の前ぐらいは女だったろ?わからないのかよ?」
オーラに渡されたものを受け取ってスルっとはくとスカートをはいて立ち上がった。
「もう何前回も転生してるんだ、忘れた」
「ちょ、おま、気にしろよ」
グッと背伸びをしてオーラが見ていた赤い糸が無数にある空を見上げる。緑色の髪がくるぶしまであって風に揺らめく。
少し考えるそぶりを見せながら、オーラの方を向いた。
「お腹すいたな」
「いや、パン置いたろ」
「ちょっと飯食いに行こうぜ」
「いやいや、俺はお金持ってないぞ。どうするんだよ」
「大丈夫。チョット運命の糸にお願いするだけさ」
赤髪と緑髪の二人の少女は手を握って街へ駆けて行った。
露出が増えていきますが、ギリ見えそうで見えなさそうな表現で流していきたいと思います。
一週間に最低一回は上げていこうと思います。