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第52話 悪役の夏が始まる

 ——同時刻、澄乃家。


「ご馳走様。ふう、今日も美味しかったよ、りいな」

「ありがとう」


 夕食を食べ終えたりいなとまひろ。今日のメニューはハンバーグであった。


「私が洗い物をするよ。りいなはお風呂に入っておいで」

「分かった」


 りいなが2階から着替えを持ってきて、浴室の方へいく。


 しばらくして、まひろが食器を洗い終わり、冷蔵庫に入れてあるペットボトルのお茶を取り出す。


「おや? なくなってるね……」


 冷蔵庫の中を見た際、何かに気づいた様子のまひろ。


「今日はてっきり、メンチカツと思ったが………一体どこに消えたのやら」






 1学期の終業式。それは、学園生活を一旦お休みするとともに、"夏休み"という学生生活の中で1番のイベントがくるということ。


 蒸し暑い中、体育館で校長先生のお話を聞き、教室でのホームルームが終われば、


「夏休みだぁ! ひゃっほーい!!」


 一番うるさい田嶋を含め、クラスは大盛り上がりである。


「雄二くんっ!」


 今日ばかりは結斗もテンションが高めだ。


「今日から夏休みだねっ。雄二くんは夏休みはなにするの?」

「そうだなぁ。とりあえず、プールか海には行きたいよな」

「僕も行きたいっ!」

「じゃあ一緒に行くか?」

「いいの?」

「当たり前だろ。俺たち友達なんだから」

「うんっ!」


 満面の笑みで頷く結斗を尻目に、後ろから彼女たちが来たことを確認する。この展開ももう慣れたな。


「やあ、結斗、笠島くん。楽しそうな話をしているね」

「笠島ばっかりゆいくんを独占してズルい」

「ふっ、仕方ないさ。俺は結斗の男友達なのだから」

「その自慢げな顔腹立つ〜〜!」

「まひろちゃんとりいなちゃんは夏休みなにするの?」

「私は結斗と一緒ならどこへでも」

「私は海に行きたーい。ゆいくん、水着選んで♪」

「じゃあ2人も海に行こうっ」


 周りを見ると、せっかくの夏休みとあり、美人姉妹を誘いたいクラスメイトたちがチラチラとこちらを見ているが……3人の他人を寄せ付けない良い雰囲気に誘いづらそうだ。

 俺はというと、もう耐性がついたぞ。


「………」

「ん?」


 りいなが俺の方をジーと見てきて、


「笠島も混ぜて欲しいなら、頼み方次第では混ぜてあげても良いけど?」

「こっちのセリフだ。俺が先約で結斗と海行く約束してるし。なー、結斗ー?」

「うん! さっき雄二くんといくって約束したね!」

「ということで、りいなさんが俺へ頼む——いてっ、いてて!? 頬をつねるのは反則だろっ!」

「笠島のクセに生意気っ」

「いつつ、冗談だってっ」


 最近はりいなとも、冗談を交えたりして話すようになったな。まあバットエンドに近づくよりは、仲良くしたほうがいいよなー。


「ちょっと3人とも」

「ん?」

「どうしたの、まひろちゃん?」

「お姉ちゃん?」


 何やらスマホを見て難しい顔をしていたまひろが、再び俺たちの方を向いて、


「これから時間あるかい? ちょっと付き合って欲しいことがあるんだけど」





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