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第47話 「アンタには、ちゃんとお礼したいから」

「教室がなにやら騒がしいね」

「本当だ。なにかあったのかな」


 日直であるまひろと結斗がゴミ捨て場から教室へ戻ってくると、クラスメイトたちが騒がしい。そして、放課後にも関わらず、かなりの人数が残っている。


「あ! まひろさんだ!」

「まひろさんに聞けばっ」


「おっと。結斗、私の後ろにいて」

「うん? わわっ」


 まひろに気づいたクラスメイトたちはぞくぞくと彼女に詰め寄る。

 結斗は慌ててまひろの後ろに移動し、人混みに巻き込まれずに済んだ。

 

「まひろさん! りいなちゃんとアイツ……笠島が2人で帰ったんだけど!」

「も、もしやあの2人って………ああああっ」


 クラスがより騒がしくなった。特に男子は、りいなに幾度となく遊びの誘い断られ、よりダメージがあるのだろう。


「みんな落ち着いて。りいなたちには先に校門に行っていてくれ、と頼んでいる間だけだよ」


 まひろがそう言うと、クラスの騒めきが収まった。

 まひろを囲んでいた生徒たちは自分の席に戻り、安心したように帰る支度を始めた。部活に急いでいく生徒もいた。


「みんな分かりやすいねぇ。対応が楽だよ」

「あはは……。それで、りいなちゃんと雄二くんは2人で帰ったのかな? それとも2人で打ち上げ? 仲良くなったのは確かだよね!」

「結斗はりいなと笠島くんが仲良くなるのは嬉しいかい?」

「そりゃあもちろん。りいなちゃんに雄二くんの魅力が伝わっているってことだとだし」

「そうだね。笠島くんの魅力……伝わっているといいね」

「うん」





「………」

「………」


 校門を出て、並んで歩く。お互い無言。


 俺は、りいなを改めて見る。

 長いまつ毛に、やや釣り目がちなパッチリ大きな目。スラリと通った鼻筋。制服を押し上げる巨乳。紛れもなく可愛いし、メインヒロイン力を感じる。


「なあ、お礼ってなんだ?」


 お礼という主旨で移動しているのは分かるが、そろそろ内容も教えて欲しい。

 

 歩く足を止めたりいな。俺も止める。


 次の発言を待っていると、りいなは、眉ひとつ歪めず、極めてクールな口調でこう言った。


「私、アンタにはちゃんとお礼したいから色々考えたの」

「お、おう。ありがとう」 

「色々と考えたけど、金品だと気を遣わせるし、お出かけはない」

「まあ、はい」


 選択肢を絞っているような発言。もしや今からお礼を決めるとか……?


「お姉ちゃんはゆいくんと2人っきりだし、すぐに家に帰ってくる可能性は低い」

「ほ、ほう?」

「そして勉強会のお昼休憩中。2人っきりで話していた時に、アンタから出た言葉でピンときた。()()()っていう言葉に」

「手料理……?」


『ちなみ雲雀は料理も得意だ。味は店で出せるレベル』

『私のより?』

『……俺、りいなさんの手料理食べたことないけど』


 確かに話の流れで言っていたな、手料理。って、お礼ってまさか………。


「アンタへのお礼は——手料理にする。だから今から()()()に来て」




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