第30話 悪役はおちんちんを確かめる②
――ガラガラッ
「広ーい!」
「へぇー、結構広々してるなぁ」
俺と結斗は腰にタオル巻いて入る。中は、10人くらい入れる大浴場と水風呂。それにサウナも付いている。
誰もおらず、貸切状態。広々とした空間を貸切……ちょっとテンションが上がるよな。
蛇口とシャワーと鏡のついた洗い場でまずは身体を綺麗にするため、洗う。
隣の結斗をチラッと見ると、タオルは膝にかけた状態……ちんちんは見えない。
「ちゃんと綺麗に洗えよ結斗ー」
「うんっ」
俺の意図など知らず素直な返事。
ちんちんは特に綺麗に洗わないといけない……さぁ結斗よ! 俺にちんちんを見せるのだ!!
「よい、しょ……」
結斗が小さく声を漏らしたと思えば立ち上がり……
クルッ
俺に背を向けるように下半身を洗い始めた。
「…………」
俺は自分のちんちんを大切に洗う。洗って……。…………。
ぬおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉいいーーー!!!!!
蛇口からお湯を出して桶に溜めたものを思いっきり頭から被る。勢いが強かったためバシャーン!!!!と地面に打ち付けたお湯が派手な音を出した。
「わぁ、びっくりした!? どうしたの雄二くんっ」
「いや……なんだがお湯を頭から思いっきり被りたくなって……。気にするな。リフレッシュだ」
「そうなんだぁ」
と、結斗はまた背を向けて洗い出す。
そして身体を洗う、という最大のちんちんチャンスで見ることはできなかった……。
………。
………………。
…………………………。
「ふぁ〜〜。いい湯〜〜」
「ああ、いい湯だ〜〜」
肩までお湯に入り、2人してほわーんと頬が緩む。貸切とあり、まったり湯に浸かれる。疲れた体に程よい温度のお湯が染み渡って……癒される……。
ちなみにに結斗の股間部分は、辺な光が入って見れない。なんだよこの、エロゲの全年齢版みたいな対応は。あっ、ここエロゲの世界か。
かといって、変に近づきすぎれば怪しまれる。
まあ美人姉妹も結斗は男だと思わせる発言をしているし、結斗は男だよな、うん。そうだ、そうに決まってる。
だから確認はもう諦めて……。
「明日も楽しみだね、雄二くん」
「ああ、そうだな。明日はよりイベントが詰まってるしな」
「けど明日にはもう帰っちゃうだよね。寂しいなぁ……。でも、雄二くんと友達になれてこうやって林間学校も一緒にいれて……凄く楽しい思い出ができたよ。ありがとうね!」
「……結斗。俺の方こそだ。結斗といると楽しいよ」
「えへへ、やったぁ」
「明日もいい思い出作ろうな」
「うんっ」
お互い微笑み合う。
俺がひたすらちんちんを確認することで頭がいっぱいだったのに、結斗は心に沁みることを言ってきて……なんていい奴なんだっ。そして俺の方は……なんて悪い奴だっ。
罪悪感しかなくて、俯く。結斗の眩しい笑顔は見えれない……。
「身体が熱くなっちゃったから水風呂に入ってくるね」
「おーう……」
湯から上がって水風呂の方へ足を進める。ふと、結斗を見ると冷水に入るためにタオルを外して………
おお! チャンス到来!! あともうちょっと、もうちょっとで見え————
「…………」
ぱおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉん!!!!!!
俺の脳内で象が鳴く映像が流れる。
そして身体は固まる。
「雄二くんみてみて! ライオンの口から水が出ているよ!」
「………」
「雄二くんどうしたの? もしかしてライオンの真似?」
今の俺はポカーンと口を開けて固まっているのだろう。水風呂に入った結斗が不思議そうに見ている。
ガッツリは見えてない。フォルムだけが確認できた。
笠島雄二も一応ヤリチンとしてゲームでは紹介され、実際俺に付いているモノはご立派だ。……雲雀には鼻で笑われたけど。
しかし結斗は……遠くからだったから正確には分からないが……少なくとも俺より1回りはデカい。デカい……。
遠くで見てデカいと思うなら、近くで見たらさらに……。
「結斗……」
「なにかな雄二くん?」
「お前……立派だよ」
「ありがとう?」
中身はヒロインっぽいのに、下半身はしっかり男前……さすが主人公だぜ。
「時間やばっ!?」
脱衣所の時計を見ると、9時35分を差していた。
この後、りいなと話すことになっている。風呂は40分くらいには上がっていると言ったから急がないと……!
「悪い結斗! 部屋の鍵また頼むな! 俺ちょっと用事があるからっ!」
「え、あ、うん……!」
ドタバタと急いで着替えて荷物をまとめ、髪も濡れたまま急いで脱衣所に出た。
「雄二くんとスマホゲームでもして遊びたかったなぁ……」
雄二が脱衣所を出て数分後。結斗はドライヤーをかけ終わり、最後に忘れ物がないか自分のカゴを見て……。
「あっ、雄二くんスマホ忘れてる!」
隣のカゴの中にはポツンと、雄二のスマホが残っていた。慌てて脱衣所を出ていったので、取り忘れてしまったのだろう。
「部屋に帰ってきたら渡してあげよ。でも、ないのに気づいて脱衣所に戻ってくるかな? でもでもここに置いていると取られちゃうかもしれないし……うーん……」
ピロン!
「わぁ!?」
結斗がどうしようか迷っていると、雄二のスマホから音が鳴る。丁度メールがきたようで……。
ホーム画面には、送った主の名前とメッセージが表示されていた。
「この方は………」
雲雀:【雄二様。林間学校は楽しんでおられますか?】




