第20話 悪役。班決めにて
「んん……?」
規則的に感じる身体の揺れで意識が冴えてきた。重い瞼をゆっくりと開けると……
「おはようございます、雄二様」
「ああ、雲雀……おはよう………」
「朝食のご用意ができました」
「ありがとう……」
身体を起こして、腕を伸ばしながら眠気を覚ます。
最近、雲雀が朝起こしてくれるようになった。美人メイドに起こしてもらえるなんてこれほどの幸せはないな。
これだけで終われば。
「今日は林間学校について何かご説明があるのではないでしょうか?」
雲雀の言葉に身体が固まる。
「……雲雀」
「はい」
「俺が目を逸らしていることをサラッと言うんじゃない!!」
雲雀が起こしてくれる日って何かしらあるよな。狙ってんのか?
「嫌だ〜〜!」とベッドでゴロゴロしていると、
「何故、林間学校にそれほど警戒しているのですか? 雄二様はぼっちではないでしょう」
「それはそうだと思うが……結斗がいるってことは美人姉妹もいることだし……」
結斗ラブのあの姉妹のことだ。林間学校というイベントで大人しくしているはずがない。
そして、今回は美人姉妹以外にも色々と厄介なことがあるんだよなぁ!!
「……美人姉妹?」
俺が頭を抱えていると、雲雀が不思議そうに呟く。
「え、あー……な、なんでもないぞ! ほんとなんでもない! 俺、顔洗ってくるわ!」
なんとか誤魔化して部屋を出る。
雲雀は、まだ結斗としか面識がなくて美人姉妹のことは知らないよな。
雲雀には美人姉妹のことは言わなくてもいっか。俺はあまり関わりたくないわけだし。
「美人姉妹……雄二様の気になる方でしょうか」
「以上が主な林間学校の説明だ。1泊2日と短い期間だが、みんなで仲を深めるいい機会だから積極的に関わるように」
担任の竹林先生が声を張って話す。最後の方は、俺をチラッと見た気がする。特に俺はクラスに馴染んで欲しいと思っているのだろう。今ところ、まともに話しているのは結斗だけだしな。
「ちなみ、林間学校初日は俺の誕生日だ。何か準備するなら今のうちに相談しないとだぞ?」
「先生、誕生日プレゼント貰う気満々じゃん!!」
「あ、バレた?」
クラスからドッと笑い声が出る。こういうユーモア溢れる先生が担任だとより親しみやすいよな。
「残りの時間は班決めだな。せっかくだし、自分たちで決めるか」
担任の提案にクラスが賛成と声を上げて、ぞろぞろと席を離れて動いていく。
班は4人編成。すでにできているところもある。
俺は席を動かず、クラスメイトが動くのは眺めているだけ。俺が動いちゃうと変に気を使わせるからな。
それに………
「雄二くーん!」
俺には結斗がいる。班は決まったも同然だろう。
「まひろちゃんとりいなちゃんと僕と雄二くんで班組もう〜!」
「…………」
結斗がいるなら美人姉妹と同じ班なのは当然ですよねー! 最初からちゃんと分かってたよ!
結斗と美人姉妹が俺の席にやってきた。
美人姉妹が目の前にくるとやっぱり緊張するな……冷静に対応を……。
「結斗、誘ってくれてありがとうな」
「僕、雄二くんと林間学校では絶対同じ班になりたいって思っていたからね!」
「そうなのか?」
「うんっ」
相変わらずの純粋で眩しい笑顔。しば犬が目をキラキラさせて尻尾をふりふりしているような幻覚まで見えてきそうだ。
「席も動かないないんて、君は最初から結斗に誘ってもらう気満々だったのかな?」
「ゆいくんの友達だからって余裕ありすぎ〜」
まひろとりいなが俺をよく思わないように話す。むこうからしてみれば、結斗とイチャイチャしたいのに、俺は邪魔だよな。
なので、俺を班に入れるのは反対だと結斗に言うと思いきや……
「まあ君なら結斗を笑顔にできるし……いいか」
「そうだね。一番私たちを邪魔しなさそうだし。ゆいくんとの時間は減っちゃうけど」
「……なんだその、仕方ないな感は」
「まあまあみんな」
4人編成の班なので、結局は結斗と美人姉妹の班に誰か1人入らないといけない。そう考えると俺が適材か。
班活動で結斗と美人姉妹がイチャイチャしているのを間近で見ないといけないな、と苦笑いしている時だった。
「ちょっと待った!!」
…………ん?
これからもどんどん更新頑張ります!
下にある☆☆☆☆☆から応援していただけると励みになりますm(__)m




