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転生公爵は土属性  作者: 梅雨川
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本当のプロローグ

翌日は朝から慌ただしい日々が続いた。

朝起きて朝食をとった後、すぐにその場で話し合いが行われた。

領内の事情を一手に把握するエリーを傍らに、報告をを受ける。


「昨日の崩落の調査結果についてですが、今だマロン様のご両親の遺体は発見できていません。現場はいまだ調査できない状態とのことです」


部屋で、いつも執事をしている男、ジルマンから話を聞いていた。


どうやら、昨日両親が来なかったのは、事故の為だったらしい。


両親の死。

正直、ここまで自分が落ち込むと思っていなかった。最初こそ、地球にいた両親が本当の両親、だなんておもっていたが、そんなことはなかったらしい。


頬を伝う熱いものを手で拭えば、それは涙だった。


「あれ?」


自分の感情が分からなく。前世の両親が死んだわけでもないのに、涙がこぼれ、嗚咽が出てくる。

心持に、ぽっかりと穴が開いたような感覚に陥る。

思い出は幼少時代の記憶と、両親の部屋。


マロンに愛情をくれた両親。

貴族家に生まれて、愛されていたという事実。

人生で、二回も両親に愛されるなんて、多分に恵まれた環境だった。


エリーが食堂を出て行き、トレーを引いても戻って来た。

それと同時に、十数人の大人たちが食堂に入り、周りに集まってい来る。

な、何事!


先程のしんみりとした空気がさらに強くなり、重さが食堂を支配していた。


「マロン様、こちらにサインと捺印をお願いします」


エリーが、五枚ほどの紙と、二つの捺印、そしてペンを渡してくる。


そこには、領主交代と、クラウディア家当主交代の書類と捺印、そして正式署名欄があった。ここにサインをした時点で、マロンの名前はただの公爵家のマロンではなく、当主としてのマロンになる。


流されるまま、サインをし続け、最後のサインが終わると、40代くらいの女性が前に出てくる。


「マロン・マリス・クラディウス・クラウディア公爵閣下、クラウディア領法に基づき、新たなクラウディア家の当主として認めます」


拍手とともに、この場で、正式にクラウディア家の当主となった。

皆はしんみりしながらも、新たな当主の誕生を祝福していた。役人の中に、誰一人として不満をいだく者はいなかったという。


いきなり大貴族の当主と言われても困る。


「閣下、こちらが今後の予定と、今期の予算案です」


早速、財務の担当をする財務官が書類を渡してくる。


「今後の予定につきまして、エドワード前当主様ならびに奥様の埋葬の儀につきましては、特別予算を組み・・・」


「いや、両親の葬儀はまだ行わない」


マロンは、ここで初手から止めた。


「・・・・理由をお聞かせいただいても?」


財務官は、特に意図せず質問した。

クラウディア領は非常に特殊な地域である。政務官や役人、騎士は何ら当主のやることに反対しない。もし、ここで、マロンが王国に対し戦争を仕掛けても、何も言わず従う事だろう。

そう言う、特殊な地域で、当主の言う事は絶対なのだ。


では、何故この財務官は質問をしたのだろうか。

その理由は数代前の当主にある。

時の領主は思ったのだ。


ここまで従順だと、自分がただしいみちを歩めているか心配だから、道を踏み外しそうになったら止めてくれ、と。


それ以来、代々職に就いている者や有能な人材は、湯分からない指示が出た場合、一応理由を聞いて、その都度修正案を出すようにしている。


「まず、父と母が無くなっているのかどうかまだわからんだろう。それなのに葬儀をするのか?」


確かに。

痛いがまだ見つかっていない以上、失踪という扱いになる。


「承知しました。では次に…」


この後もまたらしい統治者になるためのいくつかの話を聞き、着実に地盤を固めていくのだった、


翌日には全ての移行が終わった

この屋敷は、選抜され、信頼を置く者のみが入れるようになっているため、もはや忠臣と言ってもいい。


「マロン様、三日後にはここを出発し首都の屋敷に移動します。お荷物やご注文は早めにお願いします」


「わかった、ありがとう」


マロンは、部屋で近況を聞き、頷く。


ほとんどワンマン統治且内向的なクラウディア家はまとめるのも早く、分家や親せきが出す頭もないほどに固められていた。

更に、両親の仕事にも一段落ついてからの今回の事故だったため、特に何の弊害もなく移行は進んだ。

と言うか、10歳児に領地経営できるほどの支配体制ってない。当主ほとんど座ったまま仕事じゃん。


「エリー、これからもよろしくな」


これからは、父母と言ってる場合ではない。

信頼のおけるエリーと乗り越えなくてはならない難題も恐らくあるだろう。


「最後まで、おそばにおります」


エリーは深々と頭亜を下げ、忠義を示す。


「ああ、頼んだよ」


10歳の誕生会の日、俺は両親を失なった。

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