殿下、救出
殿下の処理をしたのち、俺は屋敷に戻る。
まさかのざまぁイベント、からの殿下救済イベントと来たか。
しかし、ああも公然でリリス嬢との婚約を破棄して、明日までに生きていられるのだろうか?
刺客が送られてきたら目も当てられない。
「いちおうクラウディア騎士団派遣しようか」
「それがよろしいかと」
エリーのつぶやきにより決定した。
最近分かったこと。エリーがつぶやきしかしない時は何でもOK。
言葉をはさむときは改善した方が良いとき。
うん、政治って簡単。
そこで俺は重要あことを思い出す。
「殿下、どこに泊めようか」
「当家の屋敷では?」
「嫌だよ。リリスの家に睨まれたら嫌だし」
所詮分家でもされど分家。
本家としても分家の話を聞いとかないと後々怖い。
今はまだ殿下に対する風当たりは緩い。
しかし、今後が大変だ。
夜が更け、真っ暗闇になった頃。
クラウディア家の者が殿下の部屋に入る。
王宮で働いていた執事の一人だ。
執事は寝ている殿下の枕元まで行き、ナイフを取り出す。
いざ、振り上げ、殺そうという時。
「でんかああああああ!かくごおおおおおおおおお!」
寝ていた殿下ですら飛び起きるほどの大声を上げ、刃物を真っ直ぐ下ろす。
「ひいいいいいいいい!なんだ貴様!」
執事は殿下を持ち上げ、クローゼットの奥にしまう。
窓ガラスを盛大に素手で割り、執事の腕にも血がにじむ。
「何事だ!」
扉を破り入って来た騎士が見たのは、布団に刺さったナイフと、腕を負傷している執事。
「おい!貴様!殿下はどこだ!」
執事は弱りながらも伝える。
「フードをかぶった男が殿下を背負って外に・・・」
「何!おい、今すぐ検問を張れ!」
「了解です!!」
こうして殿下準死者となった。
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変わってクラディウス屋敷」。
「クラウディア卿、こういうアクションは事前に伝えてくれ」
毛布にくるまり、一向にその場を動かない殿下は俺に向かって苦情を言ってくる。
「殿下。誰もが驚き、誰もが必死になるからこそそこに真実味gあできるのです。今王立騎士はフードをかぶり、殿下を抱える男を探していることでしょう」
騎士団は殿下が捕まったと思い込み、怪しい男が日尾をせおっていると思い込み、目立たない裏路地撫で、人を抱えた男、を探しているだろう。
「そう、これはまさに錯覚です」
錯覚。
あたかも殿下は動けないと思い込ませ、怪しい男が人を背負っている姿を探す。
実際はそんな男はいないし、殿下は表通りを歩いている。
「ないものをあると錯覚させる。いやー楽だねー」
「その通りかと」
屋敷にて殿下と俺は、執務室でお茶をしていた。
ここのところ、特に顕著になったお茶の量。
おいしいのは確かだが、最近トイレがチカイ。
イヤー、まいったねー。