パーティー
この国には、大きく分けて四つの勢力が存在する。
南に居る侯爵家の南侯爵、北の北侯爵、西の西侯爵、そして四公爵家。
侯爵家が何故集まっているかと言うと、保身に入ったからだ。それがもっとも彼らに利益をもたらす。
今、第一王子には北侯爵家が、第二王子には南侯爵家が、第三王子には西伯が付いている。西伯は、西侯爵のナンバーツーだ。
西侯爵はいまだ様子見だ。
そしてここに来て、三王子の不仲。
これは荒れるだろう。
そんな中、クラウディアは特に何も表明してない。
俺も今は日和見だ。
そんなこんなで学園生活を送っていたある日。
首都にある屋敷に来客が来た。
「エルス子爵?誰だっけ」
「エルス子爵は、三侯爵家の丁度中心に領地を持つ無所属派閥の者です」
無所属?
「その子爵が私に用があるのか?」
「はい。お通ししますか?」
子爵の話。
正直暇なので聞くことにする。
「とおしてくれ」
「御意」
使用人に連れられやって来たのは、俺よりちょっと上くらいの若い青年だった。
青年は俺の前に来るときれいなお辞儀をした。
「この度は、急な訪問にお答えいただき、誠にありがとうございます」
エルス子爵の資料に目を通しながらそれにこたえる。
「ああ、気にするな」
私が資料から目を離さないのを見て、動揺していた。
だがすぐに持ち返した。
「ええ、それで、この度はクラウディア公爵にお願いがあり惨状しました」
お願い。
珍しくクラウディア家にお願いに来る家が現れた。
知っての通り、クラウディア家は貴族には嫌われ者だ。
故に、お願いなんてされたことないし、皆いつかわクラウディアを倒そうと思っていることだろう。
すでに他国にまで領地を持っているとも知らずに。
「それで?」
「その件につきましては、こちらでも十分な御礼をご用意しております。なので、是非、当家をクラウディア派閥に加えてはいただけないでしょうか?」
エルス子爵の領地は、平々凡々な領地の為、領主軍や財産には特質した物はなかった。
ただ、三つの侯爵家にとって邪魔だった。
最近では、経済政策におる締め付けを受けているようだ。
「すでに、宣戦布告寸前まで来ています。どうか、なにとぞご英断ください」
彼は、着て間もないのに、それはもう頭が地面に付くほどに頭を下げていた。
こちらとしては入れてもいい。
だが、分家や派閥面子が何ていうか、そこが重要だ。
ふと資料を見ていて気になったことを聞く。
「領地の大きさにしては、ずいぶん人口が少ないな」
「はい、ほとんどの地域が森林の地域でして、何分、山が多いいのです」
この辺りは山間だ。
もしかしたら、鉱山物が取れるかもしれない。
「この辺りの山の採掘権を貰えるか?約三年ほどでいい」
「は?」
エルス子爵は俺の外れた質問に困惑していた。
「採掘権だ、この辺りの山一帯の」
俺は、地図を指さし、具体的な場所を指す。
「ああ、それと領内の減税権も少し」
「あの、それはつまり・・・」
「ああ、きみも今日からクラウディア家だ。おめでとう」
この話で手を打つ。
元々エルス子爵領に葉、手つかずの山が山ほどある。
しかし、今のエルス家にはそれを開拓する財力も技術もない。
「ほ、本当によろしいのですか?」
「ああ、これからよろしくな」