登場人物紹介
莢 芙蓉
黒い髪に灰色の瞳を持った十七歳の少女。国でも随一の名家である葵家の血を引く少女。父は皇帝に直接登用された官吏であり、その非凡な才ゆえに一族に疎まれ芙蓉が生まれる前に葵家を追放の身となっていた。父譲りの頭脳を持つ才女で、現在は官吏として朝廷に出仕している。
彼女が移動した部署は仕事が捗りすぎて全員が腑抜けになると言われ、扱いに困った吏部(人事部)によって書庫に閉じ込められることになる。
菫 鈴扇
蘭國國令。菫家の次男。亜麻色の髪に濃い紫の瞳を持つ麗人。有能だが人心を理解しない政策ばかり行っていた。恐ろしく人心を解する官吏がいると知り、王都に芙蓉を自ら引き抜きに向かう。
陸 嬰翔
蘭國國令、副官。淡い赤髪に碧の瞳を持った青年。自由すぎる鈴扇を補佐する優秀な補佐官だが、彼もまた貴族出身の官吏であるため民の心が分からないという難点を持っている。
侯 驟雨
葵國國令。芙蓉が国試を受ける際に後見を引き受けた青年。芙蓉を、翼を窮屈に折りたたまれた鳳凰と称し、国試受験を後押しする。
「王宮に咲いている芙蓉という花を探しているのです」という芙蓉に対し、では自分で探しに行きなさいと諭す。実は歴代の王が一つの貴族に肩入れしてその家紋の花を朝廷に植えたことが問題となったため、外朝には六大家ゆかりの花はないのだが(芙蓉は葵科の植物であるため当然ない)芙蓉はこのことを官吏になるまで知らなかった。
葵 月英
芙蓉の父。名門葵家の三男で、十五歳で国試を通らず官吏に登用された天才。
葵家で迫害を受け、十歳から十五歳の間を葵國にある花額山で仙人のように暮らしていたが、皇帝にその才を見出され朝廷に上がる。
月英が登用された期間はわずか五年であるが、その期間に王は彼の意見を多く聞き入れ、国に多くの変化をもたらした。




