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ばかなの?

最近更新ペースが遅くなっててすみません。

今後もこのくらいのペースになるかもですが、頑張って投稿していきますので、ご理解の程お願い致します。

「ん〜」


 柚子葉は目を覚ました。起き上がって周りを見回すと、自室でない事に気づく。


「そうか、私やづの部屋で寝ちゃったのか」


 体には、冷えないように毛布がかけてあった。矢月がかけてくれたのだろう。柚子葉は嬉しそうに微笑むと、時間を確認する為に時計を見る。


 午前6時30分。外はまだ暗い。


「やづ、いる?」


 ソファから降りて部屋に呼びかけるが、返事はない。その時、テーブルの上に紙切れが置いてあるのに気づいた。


 矢月からの書き置きだ。


 手にとって読んでみると、“行ってくる” とだけ書いてあった。


「まったく...言葉足らずなんだから」


 そう呟いて、これからどうしようかと考えていると、


 ピンポーン


 っと、来客を知らせるチャイムが鳴った。

 こんな朝早くに誰だろうと、インターホンに映る映像を見る。そこには山城を始め、Aクラストップチームの面々が大体揃っていた。


 何事かと思ったが誰も出ないのもまずいと思い、髪を整え入り口に向かい扉を開ける。


 開けるなり、そこには山城の顔。


「なあ一条、話があ...っえ? なんで一条の部屋から加古さんが?」


 しまった!


 今になって、自分が軽率な行動を取ったことに気づく。この時間に男子の部屋から出てくるのは、色々と勘ぐられてしまうかもしれない。


 自分は別に構わないのだが、矢月に迷惑がかかるのは良くない。全力でごまかさなければならない。


「え...ええっと、1人で不安だったから...」


 精一杯不安そうな声を出してみる...が、


(吐きそう...こういうの無理...)


 柚子葉はこういった演技がすこぶる苦手だ。事実、口元がヒクヒクと痙攣しているし、そもそも声に全く不安気は感じられない。


「そんな事なら、俺の部屋に来れば良かったじゃん!柚子葉ちゃん部屋に居なかったから、何事かと思った!」


 大根芝居にあっさり引っかかるアホの榊。


「とりあえずこんな時間に...なにかあったの?」


 まだひきつった笑みを浮かべつつ、柚子葉は強引に話題をそらしにかかる。これには山城が答えた。


「それなんだけど、一条いない? 一緒に話したいんだけど」


 飛び火してしまった。


(やっばいどうしよう!やづが居ないことがバレたら、待機命令を無視してるのがばれる! っていうか本人不在の部屋に私がいるのも、いろいろまずいい!)


 どう答えていいか分からず、柚子葉が完全にフリーズしているところ...


「どうした、こんな朝早くに」


 あくびを押し殺しながら、部屋の奥から居ないはずの矢月が現れた。


(どうして......あ、そっか。式神か)


 一瞬驚いたが、柚子葉はすぐに真実にたどり着く。


 こんな状況だ、在宅確認が行われる可能性は大いにある。用意周到な矢月が、対策を打っていないとは思えない。考えればすぐ分かる話だ。


「一条てめえ...柚子葉ちゃんに謝れ! 心の傷は一生残るんだぞ!」


 矢月の姿を見るなり、アホの榊が喚く。


「俺が()()()をした前提かよ。任務後の報告書を一緒に書いてただけだ。そんなに長い時間居た訳でも無いから安心しろ」


 これに対し、矢月(?)は冷静に答える。


 そのあまりの落ち着き様に、なるほど...っという空気が流れた。


(私......式神に言い訳負けたのか......)


 心の中で、若干落ち込む柚子葉。


「ところで、結局何の用なんだ?」


(あ、話逸らした)


「それなんだけどな...」


 今度は答えるつもりの様で、山城は口を開いた。



「みんなで...拉致された人達を、助けに行かないか?」

「........は?」


 そのあまりにも突然の提案に、柚子葉は思わず変な声を出した。


「いや待って...それって、え、私たちだけで勝手に助けに行こう、って事じゃ無いよね?」

「いや、そういう事なんだけど」


 はあぁ...。


 今度こそため息をつく柚子葉。頭痛もしてきた。


(なに? ばかなの? 私たちみたいな素人が手を出しても、ろくなことにならない。大学生にもなって、そんなことも分かってないっていうの?)


 心の中で割と盛大に毒づく柚子葉。本当は、口に出して罵りたいところだ。


「......寝る」

「お、おい一条!」


 矢月はというと、さっさと奥に戻ってしまった。恐らく、あまり複雑な受け答えができる様に作られた式神ではないのだろう。


(私1人で説得するしか無い...か)


 柚子葉は頭を抱えた。

式神とは大きく分けて、自分で0から作るものと、物の怪のように元から生きている存在を従えるものとの2種類あります。

かの安倍晴明は、そこらへんの葉っぱを式神に変えたりもできたそうな。


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