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高みの見物

皆さんお早うございます!

今日も頑張っていきましょう!

 その日の夜。4人は村の西外れ、比較的田畑が集中しているエリアの茂みに身を潜めていた。


 作戦はこうだ。4人で身を潜め、矢月と柚子葉の感知能力で村一帯を見張る。害獣...恐らくは召喚獣の類だろう...を発見し次第奇襲で捕獲し、召喚者をたどる。


 この作戦のかなめは、いかに早く召喚獣を見つけられるか。

 感覚を尖らせる柚子葉の顔には、緊張が浮かぶ。


 四月の夜はまだまだ冷える。風に凍えながらも、4人は集中し続けた。


 監視を始めて10分ほど経った時だった、


「見つけた!」


 柚子葉が小さく声を上げた。感知用の結界に反応があったのだ。


「俺も見つけた」


 一瞬遅れて矢月も発見する。


「今どの辺りなんだ?」


 山城問いに、矢月と柚子葉は複雑な表情をする。口を開いたのは矢月だ。


「向かってきている。まっすぐ、こっちに」

「「なっ!」」


 驚く榊と山城。


「なっ! 場所がバレているって事か?」

「そう考えるのが妥当だな......来るぞ!」


 山城との会話を断ち切り、注意を促す。


 見ると、真っ暗な山の木々の間から、のしりのしりと、4足歩行の何かが姿を現した。


 体が村の明かりに照らされ、次第にその姿が明らかになる。


 獅子......のように見えるが、違った。まず色が違う。獅子らしい黄金色では無く、赤い。そして尻尾の先には、何十本もの大きく鋭い針がついている。そして何より、その顔はなんと、人間の男のそれだった。


「あれは......マンティコアだね」


 つぶやく柚子葉。


 確かにそれは、南、東南アジアに伝わる伝説上の生物、マンティコアだった。明らかに野良の獣ではない、召喚獣だ。


 マンティコアはまだ4人の位置を正確には把握していないのか、辺りを無作為に見回している。


「よし、今ならやれる」


 と言って山城は、あろうことかマンティコアに向かって飛び出して行った。


「ちょっと! 山城くん!」


 柚子葉の制止も聞かず、山城は走りながら術の準備に入る。


「主は洪水の上に御座をおく。とこしえの王として、主は御座を...」


 それはなんと、呪文の詠唱だった。


( 旧式アプローチ......山城くん、本当に使えたんだ )


 2日前の模擬戦の際、山城はさり気無く旧式アプローチを使えると豪語していた。あの時はてっきり、矢月に対抗意識を持った事により大言を吐いただけだと思っていたが、実戦レベルだったのか。


 いや、違う。


 柚子葉は気づいた。


( 魔力の練り方が雑だ! あれじゃ目立って気づかれる! )


 だが、もう遅い。


 マンティコアは魔力の気配に気づき、山城を視界に捉える。


「...主は自らの、うわぁ!」


 魔獣に見つかった山城は、恐れをなして声を上げ、その場に尻もちをついてしまった。無論詠唱は中断され、術の行使も...止まる。


 マンティコアが尻尾を高く掲げる。その魔獣の顔が、気のせいか笑っているように見える。


 そして魔獣が尾の先を山城に勢いよく向け、その先についた針が一斉に山城に向かって放たれた。


「う...うわあぁ!」


 山城が顔を庇うように腕を上げ、目を強くつむる。


 だが、予想した痛みや衝撃が山城を襲う事は無かった。


「え...」


 それに気づいた山城は、恐る恐る腕を退け目を開ける。



 そこには、全身を魔獣の針で貫かれた矢月の姿があった。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「やっったあああああぁ! これで1人目だひゃっほおう!」


 村の東側、村を一望出来る山の中腹で、村田 成明はあまりの喜びに小躍りしていた。

 手には双眼鏡、地面には魔法陣が刻まれた小物がいくつか散乱している。


「平和ボケしたガキのくせに、イキってるからこうなるんだ! あ〜あ、あんな雑魚どもが、これから日本を守る希望、だってぇ? ぜんっぜん役に立ってませんよ政府さ〜ん?」


 誰にもバレないと思っているのか、かなり大きな声だ。


「さあ残りの男2人も皆殺しだ! 柚子葉ちゃんは俺の嫁候補だな。 そうすりゃ村の人間達も俺にひれ伏す! でもダメだよぉ? 俺様をニート呼ばわりした分からず屋達は、もう許される権利無いから! ギャッハハ」


 成明の目的は、自分を叱ってきた村人達への仕返しだった。

 事実、26歳にもなって働きもせず、親のすねをかじっている成明は立派なニートである。しかし本人はその真実を受け入れず、親達への逆恨みを年々募らせていった。


 そんな時である。あの男が魔道具を持って来たのは。


『力をやる。その代わり、第六の学生をお引き寄せろ』


 そう男は言った。その後は好きにしていい、とも。


「おびき寄せたんだから好きにするぜ。殺しちまったが文句は言わせねえ。だってあいつらがウザくて弱いのが悪いんだから......」

「誰が弱いって?」


 急に話しかけられた成明は、ギョッとして振り返る。



 そこには、怒りに身を震わせる文明と、無傷の矢月が立っていた。

書いてて感じるんですけど、キャラが勝手に喋るって本当にあるんですね。

成明がめっちゃ喋るんですよ、マジで。

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