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異端はどちらでしょう?
誰も彼も、俺以外の人間が全員おかしくなってしまった。
奇声を上げ、奇行を繰り返し、奇妙な生活を送っている。
何で誰も気が付かないんだよ。気付くことすら出来ないのかよ。
異常と断言出来るその光景に、口を挟むものはいなかった。
それは俺だって例外じゃない。
1度は正気に戻すため語りかけた。
けれど、奇声を上げ続けて会話にすらならなかった。
それどころか、他の人も寄って来て俺を奇声攻めにした。
それが凄く怖かった。
以来俺は、他人に構うことなくやり過ごしてきた。
なぁ、おかしいのは俺なのかよ。
それならもう、いいや。
おかしいのは皆だとしても、異端な世界で生きていくには俺も異端になるしかない。
順応しなければ、俺が異端者として扱われる。
あれ……、異端の定義ってなんだっけ……。