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ヤンキーが逝く異世界生活  作者: 九十九一二三
1/1

プロローグ


ーーー20xx:12:12ーーー


「死ねやっっ!!波動っっ!!」


太陽の光を反射させながら振り下ろされる金属バット。それは寸分違わずに一人の少年の頭部へと振り下ろされる。学生服の前面を開け放っている少年ーーー波動レイターーーはそれを気だるげな視線で眺めていた。


「いきなりなんだよ?てか誰だテメェ?」


すんでのところでその金属バットを掴んだレイタは気だるげな視線のまま相手に問いかける。その態度に苛立った様子の相手はいかつい顔に青筋を浮かべながらレイタのガラ空きになっている腹部に向けて膝蹴りを繰り出した。

その攻撃に焦る事なく、空いた右手でその膝を捌き相手から距離を取る。


「波動ぅ……この俺様を忘れたとは言わせねぇぞ?この間の落とし前つけにきてやったぞコラァッ!!」


「すまん、忘れたわ、お前みたいに喧嘩売ってくるやつなんてアホみたいにいるからな……この間っていつ?」


距離を取りながら相手の顔を見てみるが、いまいち記憶にピンと来ない。特徴があるとすれば坊主頭ということ位である。


「テメェ……人の頭丸刈りにしといて忘れたなんて言わせねぇぞっ!!」


「悪い、俺喧嘩売ってくるやつみんな丸刈りにしてるんだわ」


プルプルと怒りで体を震わす相手に向かって一切の申し訳なさを感じさせない口調で謝罪をするレイタ。その言葉により相手は金属バットを振りかぶりながら距離を詰めてくる。レイタよりも幾分かガタイの良い相手からの一撃を受ければ細身に見えるレイタなどはひとたまりも無い。


「死ねっっっ!!!」


怒声とともに振り抜かれる金属バット。それを危なげなく躱し、身体を小さく折りたたんで相手の懐に潜り込む。そのまま全身のバネを使い強烈な一撃を相手の顎に叩き込む。


「これがろけっとずつきだ、そしてこれが……」


顎に受けた強烈な一撃ーー頭突きにより目の奥で火花が散りバランスを崩す相手、そんな彼のことを御構い無しにレイタは次なる攻撃に移行する。


「ろけっとぱんちじゃぁぁっ!!」


繰り出されるのは捻りを加えた右の拳、それが相手の腹部に突き刺さり、丸刈りにされて怒り狂っていた相手の意識を刈り取った。力なく崩れ落ちた相手を詰まらなそうに見つめた後レイタは踵を返してその場を後にする。


「うーむ、結局誰だったんだ」


そんな力が抜ける言葉を残しながら。


不良


波動レイタは気がつけばそんな風に周りから言われていた。始まりはなんだっただろうか、そんな事を近頃の彼は考えていたりもする。気がつけば喧嘩三昧の毎日、高校ではいつの間にか番長と呼ばれ、知らない人間からどこかの高校と喧嘩があるから来てくれと呼出され、喧嘩をし、呼び出され、喧嘩をする。何度も歯向かわれるのがめんどくさくなった彼は気絶している相手の自慢のリーゼントやらをバリカンで刈っていく。丸刈りにされると知れば喧嘩を売ってくるような奴はいなくなると思っていた。が、丸刈りにした奴からの喧嘩を売られることが増えた。何故だ

両親にはとうの昔に見捨てられており、家で顔を合わせても特に言葉を交わすこともない。


「生まれる世界を間違えたなコリャぁ」


そんな事を呟きながら彼は高校の溜まり場になっている屋上で寝転ぶ。視界に入ってくるのはとてつもなく広い青空。ゆっくりと流れていく雲を眺めながらゆっくりと瞼が閉じられる。しばらくすると寝息が聞こえ出した。


屋上に繋がる扉が静かに開け放たれたのはそんな時だったーーー


ーーー次のニュースです。本日午後13時頃xx高校の屋上で生徒が惨殺されているのが発見されました。少年は日頃から暴力事件を起こしておりその恨みからの犯行では無いかと見て警察は捜査を開始しています。



物語は始まる



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