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俺、この人生が終わったら、異世界行ってSSR嫁と冒険するんだ  作者: 新木伸
ロリドラゴン編

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#030.駄天使タマエルを呼びだして恩恵をもらう 「アイテムボックスくれてやるですよー!」

「おい。偽女神。駄天使タマエル。ポテチばっか食ってんじゃねえぞ。本物の女神様に言いつけるぞ。おーい。女神様。あんたの部下がサボってますよー? エルマリ――」


 本物の女神様の名前を最後まで言い切る前に――。


「――うわああぁぁ! なんですかなんですか! なんなんですかー! タマいきなり脅迫されてますよー! なにこの人間! コワイ!」


 女神像が、いや、正確にいえば駄天使像だが――が、動きはじめた。

 手をばたばた、背中の羽もばたばた、大騒ぎしている。


「め――女神様っ!!」


 ずばっ! ――と、ハルナが平伏する。


 その脇で、立ったままの俺は――。

 駄天使の頭を、ぱしんとはたいた。


「ひっ!! ご主人様! だめです! 女神様にそのような――!!」

「これは女神じゃないし。女神代理の天使だし。しかも駄目な天使で、略して駄天使っていうほうな」

「天罰があたります! おやめください!」


「……あれ? おまえ? なんかどこかで見たような気がするのですよ?」

「もう忘れたのかよ。人の顔」

「あっ? あああーっ! その魂の色! おまえ! このあいだの人間っ!」

「ようやく気づいたのか。……って、ハルナ? どうした?」


 平伏したままのハルナが、俺のズボンの裾を、ぐいぐいと引っぱってきているので、俺はしゃがみこんで、ハルナと目線を合わせた。


「ご主人様は……、か、かみさまとっ……、お知り合いなのでしょうかっ?」

「だからこれ神様じゃなくて……、ポテチ大好きなサボり魔の駄目天使。駄天使で……」


 ハルナが恐縮しきっているので、俺はそう説明してやった。

 だがハルナの緊張は解けない。平伏したまま、がくがくと震えているほどだ。


「なあ。うちのヨ……ええと、コイビト的カンケイであるところの……、は、ハルナが、恐縮しまくっているから――。なんか言ってやってくれ。楽にしていいとか、なんかそんなようなこと」

「おまえはもっと恐縮するですよ! タマ! エライのですよ!」

「本当にエライやつは、自分がエライとか、言わないもんなんだよ」

「頭をあげるです。タマは心が広いのです。フレンドリーに接することを許してやるのです」

「は、はい……」


 ハルナがようやく顔を持ちあげた。


「ところで、このメスは、おまえのなんなのですか?」

「メスゆーな!」


 俺は駄天使の頭をはたいた。


「痛いですよ」

「俺のヨメ……ええと、コイビト的な……、ごにょごにょ……」

「あっ! さっそくノルマ果たしたのですね! よくやったです! あと999回、ガンバるのです!」

「い、いや……、一人いればもう充分だから……」

「なに言ってやがるですか。ハーレム王に、俺は、なる! ――ぐらい言いやがれですよ」


 ハルナは、俺たちの話に、きょとんとした顔。

 このへんの話は、ハルナにはまだしていない。

 スキルの効果で、自分たちが、こういう関係になったなんてことは……。ちょっと言い出しづらくて……。


「ヨメクルは強制ですから。必ず運命の人と引き合わせるのです。引き合わせたそのあとは、しったこっちゃないですが」

「え? なんなの? それ?」

「だから言った通りの意味ですよ? ――おい、そこのメス」

「は、はいっ」

「メスゆーな! 俺のヨメさんを――!」


 大声で言ってしまって、はっとなった。


「いやあのその……。いまのは、その……。俺が勝手にそう思っているっていうだけで……」

「い、いえっ……、あ、あのっ……、光栄……です」

「神様呼びだしといて、イチャついてるこの人間どもに、天罰食らわせてやってもいーですか? それとも爆発させてやりますか?」

「いやすまん。……話を続けてくれ」

「……ハルナ、とかいったですね。この、ええと……。ダイチと出会ったときに、運命の人だ! って感覚、あったですね?」

「はい。ありました!」


 ハルナは強く言う。

 俺はほっとした。よかった。あの感覚は自分だけのものじゃなかったんだ。ハルナもそうだったんだ。

 胸の奥が、じんわりと暖かくなった。


「ユニークスキル『ヨメクル』の効果は、そうやって、世界のどこかにいる運命の人と引き合わせるっていうものデス。ダイチが心配してるみたいな、運命の人を作り出してしまう効果はないですし、心をいじったり、出会ったあとでうまくいくように、あれこれ予定調和を引き起こすようなベンリな効果もないです。二人がいま結ばれているのであれば、それは二人の頑張りの結果です」

「が、頑張りが足りなかったら……? どうなってたんだ……?」

「タマ知らないですよ。NTRルートになってたんじゃないですか?」

「えぬてぃ? ……なんですか?」

「あああ! ハルナは知らなくていいから! まったく知らなくていいことだから!」


 冗談じゃない。ハルナがNTRだなんて、絶対に嫌だ。

 ちなみにNTRっていうのは「寝取られ」の略だ。


 ああー。頑張ってよかったー。


 俺。頑張った。

 ハルナも頑張った。

 脱走してまで頑張ってくれた。いや脱走したわけじゃないけど。奴隷商人の許可は取っていたけど。


 俺たち二人が頑張ったおかげで、俺たちはいま二人でこうしている。

 これは俺たち二人が共同作業でたぐり寄せた幸福だった。


「ハルナ……、俺、ハルナと出会えて幸せだから」

「は、はい……。わ、私も……ですっ」


「ところで――。タマを呼んだのは、ラブラブを見せつけて嫌がらせするためじゃないデスよね?」


「ああ。そういや、神のパズル……とかいうの? それを解いたんだけど」

「あーもーメンドクサイ。人間がクレクレすがりついてくるアレですかー。タマ最近は聞こえないフリしてたのに。なんで呼びだすのですかー」

「――な? こんなの、敬う必要ないだろ?」


 俺はハルナに言った。


「い、いえでも……、神様ですし……。ご主人様と会わせてくれた……んですよね? さっきのお話は、よくわからなかったのですけど」

「ま、まあ……、そこについては、そうだけど……」


「――で、なにが欲しいんですか?」

「なにがもらえるんだ?」

「だからどんなチートが欲しいのかって、タマのほうが聞いているんですけど?」

「え? チートもらえるの?」

「そりゃ神のパズルのご褒美ですから。チート能力だったりチートアイテムだったりするですよ。普通に地虫が地面這い回っているうちに手に入れられるようなものだったら、わざわざ神様がプレゼントする意味ないですし」


 この子、いちいち言いかたにトゲが立つんだけど。……これってやっぱり、素でやってるんだろうなぁ。


「ええと……どんなのでもいいのかな?」

「そのパズルはいちばんカンタンなやつですから、1ポイントしかないので、スゴいものは無理ですよ」

「ポイント制なのかよ!」

「はやく決めるですよ。タマ早く帰ってポテチ食べたいのです」

「もらえるチートの一覧くらいないのかよ……」


 俺は、考えた。考えた。

 いわゆるこの種の転生もので、有り難いチート能力といえば、なんだったっけ?


 鑑定? は……。似たような石を、もう持ってるし。

 割引? は……。なんて地味な! まあ役に立つかもだけど。

 ワープ? その種の瞬間移動系? 空間魔法とか?

 収納? アイテムボックスとかいったっけ? アイテムが無限に入るような特別な……。


「アイテムボックスって、もらえるのかな?」

「地味なの選ぶですねー。勇者の職業とか、大賢者の職業とか、スキルのほうの大賢者とか、もっといいもの、いろいろあるですよー?」

「いやべつに勇者なんて、なりたくないしなー」

「どうせ1ポイントじゃ取れませんケド」


 この子。わざとやってんじゃないんだろうねー。これが素なんだろうねー。


「アイテムボックスは、1ポイントで足りるのか?」

「空間系は、タマ、得意なので、お安いのですよ。じゃあ、スキル『アイテムボックス』を授けてやるです。――はい授けました」

「早いな」

「儀式とかメンドウクサイですよ。マジカンベンなのです。結果は同じだからいいですよね」

「いいけど」

「ではタマはおさらばなのですー。もう二度と呼びだすんじゃねえぞ、です!」


 タマエルは台座の上に戻った。腕組みをして、どやっ、っていうポーズをしたかと思うと……、固まった。

 もとの石像へと戻る。


 もう、叩いても、ちょっぷを入れても、動かなかった。


「ご主人様……、あの、叩くのは……」

「そうだな。俺とハルナを引き合わせてくれた恩人だしな」


 叩くかわりに、なでなで、とやった。

 心なしか、天使像の顔が穏やかになったように思えた。


「ステータスオープン」


 俺はそうつぶやくと、さっそく、スキル一覧を確認してみた。


---------------------

『大陸共通語/読み書き』『盾装備』『鎧装備』『転職』『剣術』『剣術Ⅱ』『盾防御』『盾防御Ⅱ』『魔石ドロップ率上昇』『ギルドロップ率上昇』『アイテムドロップ率上昇』『幸運上昇』『魅力上昇』『腕力上昇』『敏捷上昇』『体力上昇』『器用さ上昇』『フットワーク』『集中』『罠発見』『罠解除』『鍵開け』『チャージ』『火魔法』『土魔法』『アイテムボックス』

---------------------


「お……、あったあった。どれ――」


 アイテムボックスを使おうと思うと、使い方がわかった。

 物をしまうことと、出すこととが、できるようだ。

 しまうのに困っていた青銅の剣を手にして、収納を意識すると、手にした剣が消滅した。


「消えました」


 アイテムボックスの中に、青銅の剣があるとわかる。

 ためしに取り出そうとしてみると、手の中に出現した。


「出てきました」


 ハルナがまじまじと見つめている。

 俺はまたアイテムボックスを使った。


「消えました」

「出てきました」

「消えました」

「出てきました」

「消えました」

「出てきま……って、もう! ご主人様!」

「あはははは! わるいわるい」


 真面目ハルナの反応が楽しくて、つい、何度もやってしまった。


 しかしこれで便利になったなー。


 アイテムボックスの中に、ポーション、薬草、色々なものをしまった。

 特にポーションなどは、戦闘中に使うためには、アイテムボックスに入れておけば便利そうだ。手の中にすぐに呼び出せる。

 あと予備の武器なども持ってこれる。


「もうバックパックなんていらないな」

「いえ。すこしは物を入れて背負っておいたほうがいいかと思います」

「なんで?」

「ご主人様がアイテムボックスというレアスキルを持っていると思われることはないでしょうが……。荷物が極端に少なすぎると、マジックバッグを持っていると、普通はそう思われます」

「あ。そういうアイテムがあるんだ」

「高価ですけれど。Aランクあたりの冒険者では、必需品だそうですよ」


 うーむ……。

 そんなアイテムが普通に売っていて、お金で買えるものであれば、早まったかなー?

 もっと他のスキルにしておけばよかったか……?


 ま。いっかー。

 どうせ貰いもんだし。


「ハルナ。へんな茶々が入ってしまったけど。迷宮攻略の続きをしようか。時間はまだあるし。積載量の心配はなくなったし。どんどん、狩るかー」

「はい!」


 俺たちは一層目の攻略をはじめた。

世の中的には「ガラクタ」となっている神のパズルの破片を集めて、駄天使を呼びだしてゆすっていけば……。


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