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俺、この人生が終わったら、異世界行ってSSR嫁と冒険するんだ  作者: 新木伸
ハルナテーア編

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28/35

#027.初夜

 まっすぐに宿に帰った。

 食事の時間だったが、そんなこと、どうでもいい感じで、二階の部屋にあがってゆくと……。


「お湯持ってきましたーっ!」

「お、ゆっ!」


 兄妹が、たらいにお湯を用意してくれていた。

 ずいぶんがんばってくれたのだろう。たらい二つ分もお湯が用意されていた。


 にーっと笑いを浮かべる、その前歯の乳歯が、一本ずつ欠けていたりして、なんとも愛らしい。


 朝、湯を頼んでいた。お駄賃もいっぱいあげていた。

 邪険にするわけにもいかず、「ありがとう」と頭を撫でた。


「明日もまた頼むよ」


 小銅貨3枚を渡して、もういっぺん頭を撫でてやって、くりんと頭を掴んで回れ右させてやって、背中を押してやった。


 部屋のドアをぱたりと締めると、部屋の中には、二人きりとなった。


「せ、せっかくだから、湯を使うか」

「はい。お体を清めさせていただきます」


 昨日と同じように、まず頭から洗ってもらった。

 頭が終われば、次は体だ。


「お召し物を……」

「あ、ああ……」


 どきどきしながら、服を脱いでゆく。

 これは単に体を拭いてもらうだけなのだ、と言い聞かせているものの、動悸は一向に収まってくれない。


 昨日と同じように、背中からはじまって、腕を拭き、後ろから手を回していって、俺の胸と腹とを拭ってゆく。


 そのあいだずっと、彼女の体は俺の背中に密着してきていた。

 もう辛抱たまらなかった。


「終わりました」


 その声が聞こえた途端、俺の理性は決壊して、彼女を抱きしめていた。


「あ、あのっ……」


 ハルナの耳の合間に、しばらく顔をうずめていた。

 ぴくぴくと動く耳が、俺の頬をくすぐってくる。


「あの、匂いが……」

「いま清めてもらったじゃないか」

「いえ……、私の……」


 あっ。そうか。

 俺は今日も昨日も体を拭いてもらったが、ハルナは湯を使っていない。

 迷宮で動き回って戦闘もしてきて、彼女も汗をかいている。二日続けて湯を使わないのは、異世界的にはどうなのか、よくわからないけれど。


 特に今夜は、これからそういうことを、する……かもしれないのだし。

 いや、たぶん、する……んだよな?

 この流れって、そういう流れだよな? 間違いないよな?


 経験ないから!

 DとTの紋章を持つ男だから!

 わかんねーよーっ!!


「今夜はたらいも二つありますし。よろしければ私も、身を清めたいのですが……」

「う、うん。そ、そうだね……」

「す、すいません……。あちらを向いていて頂けると……」

「だが断るッ!」

「えっ?」


 俺はもう一つのたらいの前に陣取ると、彼女を手招いた。

 はいこっち。はいこっちねー。


「だめです。ご主人様にそんなことをさせるわけには――!」

「だめ! するの!」

「はい……」


 俺の気迫に押されたのか、彼女はおとなしく従った。


 俺の時と同じように、まず髪から洗いにかかる。

 たらいのなかに髪をつけて、わっしゃわっしゃとやっているところで――。


「ちょっと待って」


 俺はそう言うと、バックパックの中から灯り石を取り出しにいった。

 部屋に一個だけのカンテラが放つよりも、遙かに明るい光だ。

 灯り石を部屋の隅に置いてくると、はっきりと物が見えるようになった。


「はい。頭。おわり。つぎは体だね」

「えっと……、自分で……」

「だめ」


 ハルナは服を脱いでいった。

 俺の目に背中をさらす。


「あの……。毛深いかもしれません」

「ん?」

「背中が……」


 背中というよりも首の付け根のあたり。その部分がすこしだけ「毛皮」になっていた。


 長い髪だと思っていたが、一部は髪でなくて体毛だったようである。

 毛皮となっているのは、その首筋だけ。他の部分はヒュースと同じだ。


「ヒュースの方は、毛深い女性を嫌うことがあると聞きます。もしお嫌でしたら……」

「いや。ぜんぜんだいじょうぶだよ。さわり心地がよさそうだ」


 首筋の毛皮部分を、タオルで拭った。


「ふわっ……」


 ハルナは手で口を押さえた。

 その手は、すこし前には胸を押さえていた。

 ということは、つまり……。


 俺は顔を近づけて、背中側から覗きこむようにして、フリーとなったハルナの乳房を盗み見た。


 うわあああ。

 すっごい! すっごいよ! これ!

 おぱい! おぱ――! おぱっ!! おぱああ!!


 おふぅ。


 もはや感動を通り越して、これは神秘体験だよ!


「あの? ご主人様?」

「続けるぞ」


 俺は何事もなかったかのように、そう言った。何事もなくはなかった。ぜんぜんなくもなかった。

 だがしかし、声には1ミリも出さずに、そう言った。


 ハルナの白い肌をタオルでこする。

 奴隷生活が長かったのだろうか? まるで日に焼けていない。


「尻尾は洗ったほうがいいのか?」

「あっそこは……。は、はい、お願いします」


 覚悟を固めた声で、ハルナが言った。


 尻尾に触れていいのは、家族のほか、特別に心を許した相手だけ。

 この世に生まれ出でて36年。いつかは〝彼女〟というものができると信じていた。いつかは俺にも――と、夢に描いていた。

 実際の実績は、3万年ほど全敗だったようだが……。


 こんなに美人で。こんなに従順で。こんなに強くて。そしてこんなに胸の大きな女の子がッ。

 俺のことを信じて好意を持ってくれて、だいじな場所(尻尾)に触れさせてくれるなんてッ。

 彼女いない歴3万年で、俺は、よかったのかもしれない。


 迷宮のボス部屋で尻尾に触れたときの続きを行う。あの時にはお互い自制をしていたが、宿屋の部屋ではその必要もない。

 尻尾を洗い終わった。


「前も、拭くよ?」

「……」

「いいかな?」

「……はい」


 尻尾に触れているあいだ、ぴくぴくしていたハルナは、返事を返すのがだいぶ遅かった。

 俺はタオルをいったん洗ってから、綺麗なタオルで彼女の体の前面を拭きにかかった。


 彼女の背中に覆いかぶさるようにして、手を前に回す。


 これはあくまでも体を拭いているだけ……。拭き清めているだけ……。そう……、拭いているだけなんだから……。

 手の動きが変にならないように、最大限、気をつけた。


 だがそうだとしても、体の前面を拭くわけだから、必然的に、俺の手は彼女の神々しくも聖なる膨らみをなぞることになる。

 これは仕方のないことなのだ。仕方のないことで……。ううっ。すげえ重いよ! なんという重量感だよ!


「痛つつ……」


 俺はうめいた。


「? ……どうされましたか? ご主人様?」


 女の子には、きっとわかんないだろうな。興奮しすぎて、痛いなんて。


 あまり胸ばかり拭いているのも変だ。下におりてお腹を拭いてゆく。

 もっと下の部分は、さすがに自分でやってもらった。うん。もちろん俺が拭きたいに決まっているが、さすがに恥ずかしいだろうと思ったので遠慮した。

 そこを自分で拭くときには、ハルナは最後に残った肌着も脱いだ。


 最後に足を拭く。これは俺が拭いた。


 すべてを終える。

 おたがいに全身を清め終わった。

 そしておたがいに肌着さえも身に着けていない。


 部屋の中央で、俺とハルナは向かい合って立っていた。

 胸と下を、ハルナは手で隠している。俺は隠すのは男らしくないと思ったので、手はまっすぐに伸ばしていた。


「ええと。もし嫌だったら、はっきりとそう言ってくれ。そうしたら俺は……」


 もう頭がどうにかなってしまいそうだったが……。いまならまだ止まれる。やめられる。


「ひどいです。ご主人様。このままなのは……。後生ですから、男女の契りを……」


 半分、泣きながら、そう訴えかける彼女に――。

 俺の理性は――。

 もう完全に――。

 蒸発して――。


 俺は彼女をベッドに押し倒した。


 そして俺たちは結ばれた。

お待ちかねの初夜でしたー。つづきはノクターンで(嘘)


第一章「ハルナテーア編」完結しました。

次回からは、第二章「ロリドラゴン編」です。


更新間隔は、すこし落とさせていただきます。

ストックあるうちは、3日ごと更新で頑張ります!

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