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俺、この人生が終わったら、異世界行ってSSR嫁と冒険するんだ  作者: 新木伸
ハルナテーア編

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19/35

#018.売買契約 「これでハルナの所有者は貴方様となりました」

「はい。三万ギル。確かに頂きました」


 一枚、一枚、硬貨を数え終わってから、奴隷商人は、そう言った。

 小銀貨も三〇〇枚もあると、数えるだけでも大変だ。


 地上に戻ったときには、明け方近くになっていて――。

 まず冒険者ギルドに出頭して、集まりはじめていた捜索隊の面々に頭を下げた。――下げたのは俺たちでなくて、おっさんたちだが。


 俺は大量の魔石を、冒険者ギルドで換金した。


 ほとんどは、黒茶赤といったあたりのクズ魔石で、たいした値段にはならなかったが……。

 いや〝クズ〟とか言っちゃいかんな。おっさんやミランダたち、低レベル冒険者の収入源だ。

 黒魔石の10ギルもあれば、安宿の宿代と一日の食事が賄えるそうだ。赤50ギルで一週間近い生活費になると考えれば、〝クズ〟とかいったらバチがあたりそう。


 しかし俺の〝目的〟のためには、数だけはたくさんあった黒赤茶の魔石は、あまり役に立たなかった。

 初級迷宮では、おもにその三種の魔石しかドロップしないそうである。

 それ以上の色が落ちるのは、『幸運』だのといった特殊なパッシブスキルを持っている場合と、ボスモンスターを倒したときだけだそうで……。


 このボスから出た魔石のコアが、なんと青色で――。


 魔石(青)の買い取り価格――。なんと五万ギル。


 俺は広間で戦った五人での山分けを主張したのだが――。

 おっさんたち三人は、辞退した。命を助けてもらって、もらうわけにはいかないと、その一点張りだった。


「あとこれは、彼女の取り分です」


 俺はさらに二万五千ギルほどをテーブルに置いた。小銀貨にして二五〇枚。


 かなり高額だった魔石(黄)と、魔石(橙)と、その他、クズ魔石――失礼――を、全部合わせると、それなりの額にはなっていた。


「これは受け取れませんな。商品に対して価格以上の対価を受け取っては、商人の信用に関わりますので」

「迷宮の最下層でボスモンスターを倒したという話はお話しましたね。その時点における彼女の所有者は貴方なわけですから、彼女の取り分は、当然、貴方が受け取るべきです」


 向こうは頑とした顔で拒否ってきたが、こっちも、そこは譲れない。

 俺が生きて帰れたのも、ハルナが助けに来てくれたからで……。そのハルナに対して、救助に行く許可を出したのが、この人だからだ。

 なんとしてでも、受け取ってもらわなければ……。


 俺と奴隷商人、二人のあいだで火花が交わされているのを、ハルナが、はらはらした顔で見つめている。


「埒が開かないようですので……、こういう案はどうでしょう?」


 商人が、やがてそう言った。


「なんでしょう?」

「ハルナ。着替えてきなさい」

「はい」


 ハルナが一端、部屋を退出する。数分ぐらい待っていると、やがて現れた彼女は――。


 ふわっとしたドレスを身に着けていた。獣人種専用のドレスらしく、尻尾がごく自然に収まっている。足元は動きやすそうな編み上げブーツ。そして腰には二本の剣を差している。

 彼女、二刀流だったのか……。迷宮では剣を一本しか持っていなかったが。


「こちらの服と装備一式、剣を二本――。こちらすべてで、二万五千ギルでお買い上げいただきたいと思います」


 うーん……。

 高いのか安いのか、ぜんぜんわからん。手に持ってみないと鑑定石で鑑定もできない。


「この剣……、売らないでいてくれたんですね……」


 と、ハルナが言った。奴隷商人は目を細めると、うなずいた。


 おおっと。ハルナが奴隷落ちするまえの所持品かっ。

 なら安いさ! 価値がどうとかいう話じゃない! 安いに決まってるじゃないか!


「了解した」


 それから俺は、奴隷の所有についてのこまごまとした話を聞かされた。

 ハルナの分の人頭税とやらを、1ヶ月以内に払わねばならないらしい。

 正直、頭に入ってこなかった。


 胸の中はしあわせいっぱい。

 俺にもついにカノジョが……、いやヨメさんか?

 スキル『ヨメクル』で導かれたんだから、ヨメでいいのかな? いいんじゃないかな?

 ヒャッホー!


 苦節36年。俺。ついにヨメさんができる。


 ……いや? 苦節3万年なのか?

 まあどっちでもいいが。


「……と、注意点は、以上です」


 奴隷商人の話が終わった。ろくに頭に入らなかったが、ハルナが聞いてくれていたはず。


 最後に、所有権の書き換え。――なるものを行った。

 奴隷商人がなにかのスキルを使うと、それで書き換えが済んだらしい。


「ステータスをご確認ください」


 そう言われたので、確認してみる。


「ステータスオープン」


 ---------------------

 名前:ダイチ

 種族:ヒュース ♂

 年齢:25

 職業:戦士Lv8


 HP :87/87

 MP :25/25

 STR:68

 CON:71

 INT:16

 WIS:23

 DEX:42

 AGI:41

 CHA:28

 LUK:22


 装備 :鉄の剣、革鎧、スモールシールド

 スキルポイント:251

 取得可能スキル:(一覧)

 スキル:

 『大陸共通語/読み書き』『盾装備』『鎧装備』『転職』『剣術』『剣術Ⅱ』『盾防御』 『盾防御Ⅱ』『魔石ドロップ率上昇』『ギルドロップ率上昇』『アイテムドロップ率上昇』『幸運上昇』『魅力上昇』『腕力上昇』『敏捷上昇』『体力上昇』『器用さ上昇』『フットワーク』『集中』『罠発見』『罠解除』『鍵開け』

 呪文:

 「ヒールハンド」「ヒール」「ホーリーシンボル」「プロテクション」「リムーブポイズン」

 転職可能職業:

 「戦士Lv8」「平民Lv5」「狩人Lv5」「修行僧Lv5」「僧侶Lv5」「商人Lv1」「農民Lv1」「木こりLv1」「猟師Lv1」「格闘士Lv1」「シーフLv1」

 所有奴隷:(一覧)

 ▽▽▽

 ---------------------


 「所有奴隷」という欄ができていた。

 そこの中を見ると――。


 ---------------------

 所有奴隷:ハルナテーア

 ---------------------


 確かにハルナの名前があった。


「また主人は奴隷のステータスを見ることができます」

「ええと……。ステータスオープン・ハルナ」


 これでいいのかな? と思ったら、さっそくステータスが開いた。


 ---------------------

 名前:ハルナテーア

 種族:狼牙族

 年齢:17

 職業:獣闘士Lv23


 HP :115/115

 MP : 78/78

 STR:131

 CON:120

 INT:85

 WIS:98

 DEX:87

 AGI:250

 CHA:48

 LUK:20


 装備 :バトルドレス、ブーツ、竜牙点睛、虎牙花月

 スキルポイント:0

 取得可能スキル:(一覧)

 スキル:

 『爪闘技』『剣術Ⅲ』『盾装備Ⅱ』『鎧装備Ⅲ』『二刀流』

 『腕力上昇Ⅱ』『敏捷上昇Ⅳ』『体力上昇Ⅲ』『器用さ上昇Ⅱ』

 『フットワーク』『超集中』『ド根性』『嗅覚Ⅲ』

 『チャージ』『ソニックブーム』『フィニッシュクロウ』『獣咆哮』

 『大陸共通語/会話』『大陸共通語/読み書き』

 『礼儀作法』『もふもふ』

 転職可能職業:

 『戦士Lv10』『村人Lv5』

 所有者:ダイチ

 ---------------------


 おおう。なんか、しゅごい。


 Ⅲだのついてるスキルがある。Ⅳさえある。

 それ以外にも、知らないスキルがたくさんある。

 あとなんだ『もふもふ』って?


 驚くべきは、Lvの高さだ。

 いまの俺より彼女のほうが明らかに強い。

 あと年齢17歳だったのか……。

 うっ……。17歳のヨメさんをもらってしまった。

 いやまだヨメさんと決まったわけじゃないんだけど。彼女の気持ちはまだ聞いていないんだけど。

 しかし俺のほうには「運命の人」と出会ったという感覚があったわけで、彼女もまたそうであったと願いたい。


 ちら、とハルナを見る。彼女が顔を赤らめていることに気がついた。


「あっ、ごめん! 勝手に色々と見ちゃって」

「い、いえっ……。ご主人様にお目汚しを……、あ、あのっ、はしたないスキルがありましても、ご容赦ください……」


 えっ? はしたないって、どれっ!? どれのことっ!?


「所有権の移転は、ご確認できましたでしょうか?」


 奴隷商人の声で、俺とハルナは、我に返った。


「は、はい。……確認しました」

「それでは。ハルナは二度戻ってこないように。……ダイチ様におかれましては、他の奴隷のご用命がありましたら、いつでもどうぞ」

「は、はい」


 そういえばハルナは何度も返品されていたと言っていたな。

 見れば、尻尾がうなだれている。感情が尻尾に出るんだ。おもしろい。


「いままでありがとうございました」


 ハルナが最後に頭を下げる。

 奴隷商人は、目で優しくうなずいただけだった。

次回、ハルナとイチャつきます。


---------------------

今回の話はどうだったでしょうか!


面白かった!


更新がんばれ!


二人の〝初夜〟まであと何日だ! 早く読ませろ!



どれか思っていただけたなら、下の評価ボタンをクリックして応援してくれると、


す~~~ごく、励みになります!


よろしくお願いします!

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