#014.迷宮六層へ 「やべえ! シュートかーっ!?」
ミランダたちのはぐれた仲間を探して、五層を探索しているうちに、Lvがまたいくつかあがった。
僧侶もレベル上げをしておこうと思って、いったん僧侶Lv1に転職して、数匹倒すうちに、僧侶もLv5にすることができた。
僧侶だが『剣装備』があるので剣も使える。戦士Lv5でいるときよりも、若干ステータスが減るが、問題はない。
転職せずにずっと僧侶でいる場合は、こんなことはできないはず。
一人パワーレベリング万歳。
僧侶Lv5までに、いくつか新しい呪文を覚えた。
「ヒーリング」と「ホーリーシンボル」と「プロテクション」「リムーブポイズン」だ。
呪文の個別鑑定は行えないので推測になるが、
「ヒーリング」は修行僧の「ヒーリングハンド」と違って、対象に接触せずに回復できる魔法だろう。ようやくまともな回復魔法が手に入ったことになる。
「ホーリーシンボル」は対アンデッドの集団魔法じゃないかと思う。ちょっと手に入るのが遅かった。アンデッド階で持っていれば、もっと楽になったろう。充分楽だったけどな。
「プロテクション」はパーティ全体にかける防御魔法だろう。
「リムーブポイズン」は名前の通りに解毒の魔法だろうな。
そうか……。毒か。
これまで調子よく無双してきていたけど、毒を食らっていたら、アウトだったかも……。
解毒の方法が手に入ったので、まあよしとしよう。
「これでだいたい、半分、探し終わったか」
マップを見て、俺はつぶやいた。
そろそろ紙が足りなくなってきた。ソバカスの似合う道具屋の娘は、気の利いたチョイスをしてくれていたが、筆記具はともかく、紙のほうはそんなに枚数がなかった。
一気に五階層まで攻略するというのは、想定になかったのだろう。
俺にもなかった。
いずれどっぷりハマることは想定していたが、最初の一回の挑戦は、ちょっと様子を見にいって、Lvを1か2ほど上げたら、引き返すつもりでいたのだが……。
あまりにも調子よく進んでしまったので、こんな深層までやってきてしまった。
ミランダの話によれば、この第五層は「深層」となるらしい。
そういえば、いま何時ぐらいなんだろう?
潜ったのはたしか昼前だったから、いまは夕方ぐらいだろうか?
ダンジョンの中なので、まったく時間がわからない。
――とか。気が散っていたからだろう。
俺は足下にあった〝罠〟の存在に気がつかなかった。
足下の床が、急に抜けた。
滑らかな石の床が、まるで滑り台のようになっていて――。
しまった!
これはシュートっていう罠だ!!
俺の体は物凄い速度で暗いトンネンルの中を滑り落ちていった。
◇
【ハルナ視点】
追ってきた匂いが途絶えて、私は足を止めた。
ここまで、ずっとあの人の匂いを追ってきていた。
狼牙族は狼のように鼻が利く。一日も経っていない匂いを追いかけるなど、なんの造作もないことだった。迷宮の中は匂いが散ることもないので、なおのこと追いやすい。
私は自分の鼻で、あの人を見つけられることを微塵も疑っていなかった。
しかし、あの人の匂いは、この五階層のこの場所で途絶えてしまっている。かき消えたかのように、突然、床の一点で消失している。
床を調べてみると、かすかに隙間があるようだった。たぶんシュートの罠だ。罠にかかった者を強制的に下の階層に送る罠だ。
しばらく周囲に触れて仕掛けを探ってみたが、シュートは作動しなかった。
このルートで追いかけることを、私は諦めた。
下におりる階段は見つけてある。シュートはかならず下層に続いている。階段から迂回すれば、あの人のもとにたどり着けるはずだ。
空気の繋がっているところまでいけば、匂いでもわかる。
装備もすこしはドロップしてきていた。
ここまで迷宮を下りてくるあいだに、ドロップ品の剣と、防具を少々、手に入れていた。爪でも戦えるが、ダメージは剣のほうが大きいのでありがたい。
私はブロードソードを構えると、階段を下りていった。
第六層へと――。
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二人の〝初夜〟まであと何日だ! 早く読ませろ!
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